DTM初心者向け入門講座

うたってみたをはじめよう!歌い手に必要な機材を徹底解説!

歌い手になる方法を徹底解説

あなたは「歌い手」という人々をご存じですか?歌い手とはインターネット上で活動するボーカリストのことで、主にニコニコ動画に投稿されるVOCALOID楽曲を歌い、動画にして1つの作品として投稿している人達のことです。

ニコニコ動画といえば「VOCALOID」のイメージが強いですが、それと同じ、あるいはそれ以上に歌い手は人気があり、今現在も大きな盛り上がりを見せています。オリコンランキングにランクインする人気歌い手もいるほどで、もはや「デビューを目指すボーカリスト達の登竜門」となりつつあるのです。

そんな歌い手ですが、一体どのような機材を用意すれば良いのか、どのような作業が必要なのか意外と分からないもの。そこで今回は、ニコニコ動画とYoutubeで実際に活動を行っている歌い手の方にご協力頂き、歌い手デビューのために必要な知識・手順を紹介したいと思います。ここでの記事は宅録でボーカルレコーディングを始めたいバンドマン・シンガーソングライターの方にも役立つ内容となっていますので、是非参考になってみてください!

ご協力頂く歌い手の紹介

Roki氏

今回はシンガーソングライター兼歌い手である「Roki」氏にご協力頂きました。レコーディングで使用している機材はもちろん、セッティングから音源作成までの流れを説明して頂きます。

ボーカルレコーディングに必要な機材

自宅でボーカルをレコーディングするためには様々な機材が必要となります。

自宅レコーディングに必要な9つのアイテム 自宅レコーディングに必要な9つのアイテム

パソコンとDAWソフト

パソコンとDAW Roki氏はパソコンにApple社のiMacを、DAWも同社のLogic Pro Xを使用

ボーカルレコーディングにパソコンとDAW(音楽制作ソフト)は欠かせません。パソコンはMacを使用する必要は必ずしも無く、多く普及しているWindowsでレコーディングは可能です。スペックもさほど必要は無く、一般的なデスクトップパソコンあるいはノートパソコンで十分と言えます。
DTMに使うパソコンの選び方

DAWソフトに関してはレコーディング機能を搭載しているものであれば大丈夫です。ここではLogic(LogicはMac専用なので注意)を取り上げていますが、Steinberg社のCubaseやTASCAM社製のSONAR、Presonus社製のStudio Oneなどもあります。
オススメのDaw(作曲)ソフト一覧

これらは基本有料ですが、機能を制限したフリー版を配布しているメーカーもあるのでチェックしてみましょう。自身でレコーディングからボーカルとオケのミキシングまでやりたいという方は多機能な有料版を導入することをオススメします。
レコーディング機能だけが欲しい場合はフリー版DAWあるいは波形編集ソフトがオススメです。
無料で使えるおすすめのフリーDAWソフト10選

マイクとポップガード

RODE NT1-A RODE NT1-A のマイクとポップガード

ボーカルレコーディングに欠かせないアイテムといえばマイクです。マイクは大きく分けて

  • ダイナミックマイク
  • コンデンサーマイク

という2タイプが存在します。

ダイナミックマイク

ダイナミックマイクは優れた耐久性を持っており、主にライブなどで使われます。音質面ではコンデンサーマイクに劣るものの、比較的リーズナブルな価格で販売されているため導入しやすいのがポイントです。コンデンサーマイクは扱いと管理(保管)が大変(後述)なので、これから歌い手を始める初心者の方にはダイナミックマイクをオススメします。
ボーカル用ダイナミックマイクの選び方

コンデンサーマイク

コンデンサーマイク最大の魅力は繊細でキレイな声が録れるということ。集音性能が非常に高く、環境によっては自分の声はもちろん、外部の雑音まで拾ってしまいます。そのため、「マイク本来の性能を発揮できる適切な環境」が必要となります。また、コンデンサーマイクを使用するにはファンタム電源(後述)とサスペンションホルダーが必要となることを覚えておきましょう。

さらにコンデンサーマイクは湿気と衝撃に弱く、扱いと管理にも神経が必要です。入門機としてダイナミックマイクを導入し、本数を重ねていく内にコンデンサーマイクにシフトしていく、という流れが理想的と言えます。
オススメのボーカル用コンデンサーマイク

コンデンサーマイクを使うならポップガードは必要

ポップガードはレコーディング時の「吹かれ」を防止するために使います。マイクに息を吹きかけると「ボフっ」というノイズが発生しますが、ポップガードはそれを防ぐことができます。また、「マイクとの適切な距離が取れる」という効果もあるので、是非とも導入しておきたいアイテムです。

ROKI氏が使用するマイク

写真はRODE社のNT-1Aというコンデンサーマイクです。これは入門用コンデンサーマイクの大定番であり、ポップガードやショックマウンドなど、コンデンサーマイクを用いたレコーディングに必要なアイテムが付属します。値段も手頃なので初めてのコンデンサーマイクにオススメですし、多くの歌い手あるいはシンガーソングライターが使っている実績あるモデルでもあります。

RODE NT1-Aの価格比較 – Supernice!DTM機材

マイクスタンド


マイクスタンド:CLASSIC PRO / CDA10B

意外と忘れがちなのがマイクスタンドです。基本的にボーカルレコーディングは立って行うため、マイクスタンドは欠かせないアイテムとなります。多くのスタジオや音楽室に用意されているブームスタンドから卓上スタンドまで、様々なタイプが存在します。

ボーカルレコーディングにはブームスタンドが定番ですが、自宅で録音する際にはサイズが大きく、部屋のスペースを録ってしまうデメリットもあります。畳んで収納できるものの、一々セッティングするのも面倒かと思います。

ROKI氏が使用するマイクスタンド

ROKI氏が使用する「デスクアームタイプのマイクスタンド」は机に固定するタイプのマイクスタンドで、部屋のスペースを一切取りません。使用する度にセッティングする必要も無く、宅録ボーカルレコーディングの強い味方となる便利アイテムと言えるでしょう。部屋のスペースの問題でスタンドを設置できない方は試してみてはいかがでしょうか?

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マイクケーブル

マイクケーブルは取り込んだ声をパソコンまで伝達する重要なアイテムです。決して高価なケーブルは必要なく、大手メーカーが販売している定番商品を、「できるだけ短く」使うのがポイントとなります。ただし、あまりに短すぎると使い勝手が悪くなり、長すぎると音質の劣化が顕著になります。自宅で使うなら「3m~5m」の物が良いでしょう。

オーディオインターフェイス

TASCAM US-366 TASCAM US-366

マイクとパソコンのパイプ役として機能するアイテムがオーディオインターフェイスです。これが無いとマイクを使ってボーカルをレコーディングすることが出来ませんので必ず用意することになります。

実際問題、オーディオインターフェースが無くてもPC用マイクなどを使えば、ボーカルのレコーディング自体は可能です。しかしながら、パソコン本体から発される「ジー」や「ザー」といったノイズ(雑音)が録り音に入ってしまうため、その音質は決して優れたものとは言えないでしょう。オーディオインターフェイスを経由することで、ノイズの少ないクリアな声を取り込むことができます。

また、マイクケーブルの端子である「XLR」を接続するためにもオーディオインターフェイスは欠かせません。一般的なパソコンにはXLR端子の入出力が搭載されていないため、ダイナミックあるいはコンデンサーマイクを使用する場合、インターフェースが必須となります。

さらに、オーディオインターフェースにはコンデンサーマイクを使うために用いられる「ファンタム電源」が内蔵されています。ファンタム電源がないとコンデンサーマイクを動作させることができないので、導入を検討している方は「+48Vファンタム電源」と書かれた製品を選ぶようにしましょう。レコーディングに必要な「DAW(音楽製作ソフトウェア)」が付属する製品もあるので、モデル選びは入念に行ってください。
DTM初心者におすすめのオーディオインターフェイス

ROKI氏が使用するオーディオインターフェイス

写真はTASCAM社のUS-366というモデルで、こちらも入門用オーディオインターフェイスの定番です。Roki氏は「大学の先輩に勧められて選んだ」とのことです。

US-366の特徴として「ループバック機能」が搭載されていることが挙げられます。これはいわば「パソコン内の音をミックスして録音・配信」することができる機能で、ニコニコ生放送やツイキャスで自身の歌を生配信する時に役立ちます。多くの歌い手・シンガーソングライターが動画投稿のみならず生配信をしている今、ループバック機能を搭載したインターフェースは必須と言えるのではないでしょうか。
TASCAM US-366

YAMAHA AG06 ミキサー:YAMAHA AG06

ちなみに、Roki氏はUS-366とは別にYAMAHAのウェブキャスティングミキサー、AG06も導入しています。
より扱いやすく多機能なアイテムで生配信をしたいと思い導入したようです。このシリーズは初音ミクがデザインされたモデルで大きな話題を呼び、ボーカルレコーディングから生配信までカバーするため優等生的な製品です。これから本格的に歌い手あるいはシンガーソングライター活動を始める方にはこのモデルが最適ではないでしょうか。

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ヘッドフォン

SONY MDR-CD900ST SONY MDR-CD900ST

レコーディング時は自分の声とオケを聴きながら録ることになります。そのためにもイヤホンあるいはヘッドフォンが必要となりますが、ここではヘッドフォンを強くオススメします。

その理由として、ヘッドフォンの方が音の解像度や広がりをチェックしやすく、自身の声を正確にモニター(確認)して録音することができるからです。ピッチやリズムが合っているか確認しながらレコーディングできるのは重要であり、どれだけ歌唱力があっても正確なモニターが出来なければ良いボーカルは録れないといっても過言ではありません。

ヘッドフォンには密閉型をはじめ開放型、半開放型などの種類がありますが、ボーカルレコーディングにおいては密閉型のモデルを選ぶことをオススメします(開放型および半開放型は密閉型に比べて遮音性が劣るため、レコーディング時にモニターするボーカルやオケが音漏れし、それをマイクが拾ってしまう可能性があるためです)。

特にコンデンサーマイクは想像以上に音を拾うため、できるだけ遮音性に優れた密閉型ヘッドフォンを使用し、レコーディングに臨むのが良いでしょう。詳しくはこちらのページでも解説しているので参考になさってください。
おすすめの定番モニターヘッドフォン

ROKI氏が使用するヘッドフォン

写真は密閉型ヘッドフォンの大定番、SONYのMDR-CD900STです。業界標準と言われるほど定番のアイテムで、正確なモニターが出来るのはもちろん、密閉型なので音漏れをしにくいのもポイントです。

マイクプリアンプ

ART「TUBE MP STUDIO V3」 ART「TUBE MP STUDIO V3」

マイクプリアンプは必ずしも必要となるアイテムではありません。なぜなら、オーディオインターフェースに既に搭載されているからです。それでも個別に導入するメリットとしては、「より太く艶のあるボーカルを録ることができる」という点が挙げられます。

オーディオインターフェースに搭載されているマイクプリアンプは、低価格帯の製品なら多くがコストダウンを図るために性能が落とされています。そのため、ハイエンドモデルならともかく、低価格帯のインターフェースを使っている歌い手・シンガーソングライターの多くがマイクプリアンプを個別に用意していることが多いとのことです。

ROKI氏が使用するマイクプリアンプ

写真はART社のTUBE MP STUDIO V3であり、本物の真空管を搭載したコストパフォーマンスに優れたモデルです。真空管特有の暖かみあるサウンドをレコーディングすることができ、パートに合わせて最適なプリセットを選択できるVOICING機能をしているのも特徴です。

このモデルは真空管を自身で交換することができ、Roki氏はTUNG-SOL社製の真空管に予め交換して使用しているとのことでした。交換前はノイズが目立っていたものの、交換後はそれが無くなり、クリアなサウンドで録ることができるようになったとのことです。

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繰り返しますがマイクプリアンプは、初期段階では必ずしも必要になるアイテムではありませんので、歌い手・シンガーソングライター活動を始めた後、より優れた音質でレコーディングをしてみたくなったら色々なモデルを試してみることをオススメです。

自宅でボーカルをレコーディングする際の注意点

自宅でボーカルをレコーディングする際に注意したいのはやはり「音漏れ」です。海外ならともかく、日本では近所迷惑になることが殆どで、何かしら対策を打たないと音漏れが問題になることでしょう。

例えば、とても高価ではありますがYAMAHAからアビテックスと呼ばれる設置型の防音室が販売されています。防音室の中なら音量を気にせずボーカルを録ることができますが、プロ仕様の製品となるので、初心者に導入は難しいでしょう。

最近では段ボールで作られている「だんぼっち」と呼ばれる個人用防音室も登場しています。こちらはアビテックスに比べリーズナブルな価格で販売されており、個人での導入も十分可能です。もし部屋にスペースがあり、予算に余裕があるのであれば導入を検討してみるのも良いでしょう。

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リフレクションフィルター

リフレクションフィルター

もう一点注意しなければならないのが「部屋鳴り」です。広さに余裕のある部屋でレコーディングする場合、声と一緒に部屋の中の反響音もマイクが拾ってしまいます。実際にレコーディングしてみて、もし録り音に芯が無く、残響感のあるサウンドになっていたら部屋鳴り対策を施す必要がある訳です。

部屋鳴りは吸音対策がされた部屋でレコーディングすることで改善できますが、「リフレクションフィルター」と呼ばれる機材を導入すれば簡単に対策できます。
以前は高価なアイテムでしたが近年はリーズナブルな製品も多く登場し、卓上タイプのフィルターまでリリースされているので導入の敷居は下がっているかと思います。部屋鳴りに悩まされている方は是非導入してみましょう。

SE ELECTRONICS RF-X

SE ELECTRONICS RF-X

SE ELECTRONICS社のリフレクションフィルターの定番モデル「The Reflexion Filter」のコストダウンモデルです。外観にアルミ素材を、内部に特殊な繊維を用いた吸音材を採用し、部屋鳴りと外部ノイズを限りなくカットする構造になっています。ホームレコーディング用に設計されており、リーズナブルでありながらリフレクションフィルターとしての役割をしっかり果たし、「持ち歩けるレコーディングブース」として今も尚人気があります。ストレートタイプのマイクスタンドで組み合わせて使うことが推奨されています。

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実際に歌ってみたを作ってみよう!

必要機材の説明と注意点の話が終わったところで、実際に曲を決めてから音源を作成するまでの手順を説明していきます。

まずは機材をセッティングする

オーディオインターフェイスの接続

歌いたい曲が既に決まっているのであればさっそく機材のセッティングを始めましょう。USBケーブルでパソコンとオーディオインターフェースを接続し、マイクやヘッドフォンも繫いでいきます。一点注意しなければならないのが、コンデンサーマイクを使用する際は「ファンタム電源をオンにする」必要があるということ。

ファンタム電源のスイッチ

ファンタム電源については他のページで説明しているので割愛しますが、「コンデンサーマイクを接続してからオンにする」という手順を守らないと故障する恐れがあるので注意しましょう。

コンデンサーマイクを接続してからON

ヘッドフォンを装着してレコーディング

ボーカルレコーディング

DAW内にカラオケ音源とインサートし、レコーディングトラックをオンにしてボーカルを録っていきます。クリッピング(音割れ)しないように適切なインプットレベルを設定し、ヘッドフォンを装着してレコーディングスタートです。顔とマイクの距離は「指三本分」と言われていますが、近すぎず遠すぎず、本チャンを録る前に何回かテストを行い、適切な距離を決めてみましょう。

録り終えたボーカルの編集

ボーカルの編集

レコーディングが終わったら取りこんだ波形(ボーカルのオーディオファイル)を編集していきます。一発で完璧に録れれば問題ありませんが、多くの場合ミスした部分だけをピンポイントに録りなおすことになるでしょう。

もし何らかのミスで部分的に別録りした場合、複数のオーディオファイル(例えば1番のサビだけなど)を全て結合し、一本のファイルにまとめる作業を行う必要があります。ファイルが複数になるとミキシング時に管理が面倒になる上、トラックも必要以上に増えるのでパソコンのCPU負荷も余計に掛かってしまいます。予め一本にまとめておくことで、ミキシング作業が捗ることでしょう。

ボーカルとオケをミックスする

必要なボーカルデータが揃ったらカラオケ音源とミックスします。

歌い手界隈のミックス事情

Roki氏は自分でミックスは行わず知人にミックスを依頼しているとのこと。自身でレコーディングからミキシングまで完結させたい人はともかく、特にこだわりが無いのであれば専門的な知識と機材を持っている「ミックス師」に依頼するのが良いでしょう。
ミックス師はツイッターなどのSNSで依頼を募集しているケースが多いので、知り合いにいないのであれば募集を探して声を掛けてみましょう。作業は無償あるいは有償で受けているので、事前にどちらなのか確認しておくことをオススメします。

DTM博士流、ミックスダウンのコツ

今回のまとめ

いかがだったでしょうか。完成した音源は動画にエンコードし、ニコニコ動画およびYoutube に投稿して公開となります。宅録用機材が充実した今、年齢に関わらず誰でも歌い手デビューが出来るようになりました。今回ご紹介した内容を元に、あなたも人気歌い手を目指して活動を始めてみてはいかがでしょうか?

Roki

Roki

大阪府出身。歌い手として活動しつつ弾き語りや作詞作曲、ゲーム実況など幅広く活動している。

Twitter ID:Roki_stereo

撮影:池添ミズキ
加工:Roki

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