Ableton Liveについて[記事公開日]2014年11月4日
[最終更新日]2021年06月21日

Ableton Live

「Live」ドイツに本社を置くAbleton社が手がける音楽制作ソフトウェアです。主にエレクトロ系やダンス系の楽曲制作を得意とし、DJプレイなどのライブパフォーマンスにも対応。リアルタイム性に優れた機能を多数搭載しているのが特徴で、世界中のクラブ系ミュージシャンが愛用していることで知られています。

本ソフトの特徴は「直感的な操作で楽曲を構築できる」ことです。楽譜や音楽理論は必要なく、音をパズルのよう組み合わせて作り上げていくため、作曲初心者の方でも簡単に曲を作ることができます。もちろんレコーディング機能など、一般的なDAWに搭載されている要素は全て備えています。

また、Liveはベースラインやドラム、シンセフレーズや声ネタなど、膨大な量のループ素材を付属しています。上述にもありますが、それらを駆使することで楽曲制作はもちろん、本格的なデジタルDJプレイを楽しむことが可能です。

「できること」の幅広さは現行DAW中でもトップクラス。クラブ系ミュージックをメインにしている方は、Liveを選んでおけば間違いないでしょう。

Liveの強みと選ぶ利点

低いマシン負荷と高い安定性

ableton live9のインターフェイス

Liveは「世界で最も実用的なDAW」と呼ばれており、多機能かつ安定性に長けているのが特徴のソフトウェアです。ある雑誌がプロミュージシャンを対象に「あなたがLiveを選んだ理由を教えてください」というアンケートを取ったところ、「動作が安定しているから」という回答がダントツだったと言われています。

Liveはマシン負荷が低く、クラッシュするリスクも他のDAWよりも低いため、ライブなどの「PCトラブルが起きてはいけない場」で使われています。世界中のプロから信頼を勝ち取っている本ソフトは、ライブパフォーマンス用DAWとして、今も尚トップの地位を築いているのです。

楽曲制作とライブセットがイコールである

一般的なDAWはライブ利用を念頭に考えて設計されていませんが、Liveには「セッションビュー」および「アレンジビュー」といった役割が異なる2種類の画面が用意されており、これらを使い分けることで通常音源とライブパフォーナンス用音源、それぞれを個別に作成することが可能となっています。

セッションビューはスロットに入れた音素材を上から下に再生していく画面で、素材をどんどん追加していき、リアルタイムで楽曲を構築していく機能です。ループ再生がメインの画面であり、ライブパフォーマンスに用いられることが殆どです。

一方アレンジビューは一般的なDAWと同じく、配置したクリップが左から右に流れている再生されていく画面です。こちらはメインとなる楽曲制作に用いられます。

両画面は連動しており、アレンジビューのクリップをセッションビューに移行させること、もしくはその逆が簡単操作で実現します。つまり、アレンジビューで細かく打ち込んだオリジナル曲を、即座にライブ用音源として再構築できる訳です。ライブパフォーマンスでの使用を前提に考えられている数少ないDAWなのです。

MAX FOR LIVEでパーソナルなDAW環境を実現

Liveにはソフトウェアシンセサイザーやレコーディングソフトを作成するプログラミング言語、「MAX/MSP」の能力を抜粋した「MAX FOR LIVE」と呼ばれる機能が搭載されています。

MAX FOR LIVEにより、世界で一つだけのオリジナルシンセサイザーを作れるのはもちろん、インターネット上に公開されているプログラムを読み込んで自身のシステムに導入することができます。

プログラムはMaxforLive.comで公開されており、人気のあるもの、気に入ったものをどんどん取り入れていくことが可能です。音を変化させるエフェクターからシンセサイザー、制作環境を向上させるものまで、多種多様なパッチが公開されています。自分だけのDAW環境を構築できる、珍しくも実用的な機能と言えるでしょう。

オートメーション・カーブを書くことが可能に

外部MIDIフェーダーを使うとリアルタイムにパラメーター変更を記憶することができるようになりました。もちろんマウスを使用してもできます。ボリュームカーブやフィルター・カーブなどもこれでカンタンに対応できますね。

オーディオデータをMIDIへ変換

Live9 の最大の魅力の一つがこれ。Audio to MIDI 機能です。コード/モノフォニックのメロディ/オーディオのドラムループなど、あらゆるオーディオデータを解析して自動的にMIDIに変換することが可能になりました。

動画のように

  • ボイスパーカッションを打ち込みドラムに
  • アコースティックギターの音を他のMIDI楽器に
  • 木琴の音をシンセ風に

変換することだってできるんです。

MIDI編集機能の強化

実にLiveらしい機能がこちら。
選択したMIDIノートをワンクリックで反転、逆転、トランスポーズ、スピードアップ/ダウンすることができるようになりました。

ミュージシャンのインスピレーションを刺激するワープ機能

Liveにはオーディオを自動的にスライスしてバラバラにするワープ機能が用意されています。通常、オーディオのスライスは手作業で行うものですが、位置の指定やテンポなどを細かく設定する必要があります。

それを全て自動で処理してくれるのがワープ機能です。テンポが自動同期されるだけでなく、バラバラにしたオーディオをパッドにアサインする、クオンタイズしてタイミングのヨレを修正するといったこともできます。ワープポイントは手動で設定することもできるので、より細かく追い込むことも可能です。

他社と共同開発した専用設計のハードウェアコントローラー

Liveは専用設計のハードウェアコントローラーを併用することでその真価を発揮します。AbletonはAKAIやNOVATIONといった有名メーカーと共同開発をしたコントローラーを販売しており、導入することで製作時の作業効率が向上するのはもちろん、より高度なライブパフォーマンスも可能となります。

楽曲制作がメインの方は市販のMIDIコントローラーでも良いでしょうが、Liveを使ってリアルタイム性が求められるパフォーマンスをしたい方は一度試してみることをオススメします。

Novation LaunchPad / Launchkey シリーズ

Novation LaunchPad Novation Launchkey MK2

Novationからは、Ableton Liveとの連携が強化されたMIDIコントローラーが充実しています。
NovationとAbletonの共同開発で生まれたLive用MIDIコントローラー「LaunchPad」では、8×8個のボタンを操作してクリップの再生/ドラムラックでのビートの構築/ボリューム/パン/エフェクトのセンドなどの制御が可能です。蛍光色のボタンがずらっと並ぶインターフェイスも美しく、ライブパフォーマンスやDJプレイに最適。
「Launchkey」はLaunchPadスタイルのパッドを搭載しながらも、キーボードでの演奏に比重を置いたMIDIキーボードとなっています。

以下、リリースが新しい順に紹介していきます。

Novation Launchpad Mini MK2 – Supernice!DTM
Novation Launchkey Mini MK2 – Supernice!DTM
Novation Launchkey MK2 – Supernice!DTM
Novation Launch Control – Supernice!DTM

Akai APC40/APC20/APC MINI

AKAI APC40 AKAI APC20

こちらはAKIがAbletonと共同開発したMIDIコントローラー。

Akai APC40 – Supernice!DTM
Akai APC20 – Supernice!DTM
AKAI APC MINI – Supernice!DTM

11種類の音源と41種類のプラグインが付属

クラシックなドラムマシーンのサウンドを収録したDrum Machinesや、各社から販売されているライブラリを読み込みできるSampler、Operatorという名の万能シンセサイザーなど、楽曲制作に必要なソフトウェア音源11種類付属(最上位版のSuiteのみ)

特にOperatorは高い評価を得ているFMシンセ音源であり、サイン波を筆頭に様々な波長を合成して音作りをしていきます。あらゆる局面に使えるオールラウンダーなシンセサイザーとしてユーザーからとても重宝されています。

また、シンプルかつ基本的なポイントを押さえたAnalogというシンセ音源も付属。2つのオシレーターとパラメーター、エフェクトを加えて音作りをするスタンダードな構造のものとなっています。シンセサイザーの操作に慣れている方はもちろん、初心者の方でも直感的に操作し、使いこなすことができるでしょう。

Sampler

AKAI S1000、S3000、GigaStudio、EXS、SoundFont、Kontaktなど様々なライブラリを使用、モーフィング・フィルタやポリフォニック・モジュレーションなどパラメータを編集することで波形を合成したりライブ演奏することで新しい音色を作り出すことが可能です。

Looper

Looper

延々と音を重ねて録音できるプラグイン。
コンピュターに触れることなく録音・オーバーダビング・取り消しなどの操作が可能。

また任意の数のLooperを同期することもできます。


Drum Machines

Drum Machines

Drum MachinesはLiveの目玉機能であり、リズムの打ち込みはもちろん、パッドを叩いてライブパフォーマンスをする際にも使えます。画面内に用意された16個の箱にはドラムを始め、様々なサンプルを読み込ませることが可能。それぞれハードウェアコントローラーのキーにアサインすることができ、対応したキーを叩くと音が鳴る仕組みです。アイデア次第で様々な使い方のでき、いわば魔法の箱のようなツールと言えるでしょう。

Session Drums

レコーディング・セッションのニュアンスを反映したアコースティック・ドラムのライブラリ。
各ドラムのクローズマイク・オーバーヘッド・ルームマイク、演奏するドラムスティックも通常のものからマレット・ブラシなど選択することが可能。とことんまでドラムの音作りにこだわることができるプラグインです。


新しいサウンド

Konkrete Breaks:特別なMIDIクリップのセット。編集が簡単で、サウンド別に分類されています。

Retro Synths:Minimoogのベースサウンド、Roland TB-303、Casio CZシリーズのPD音源など、4,000を超える優れたシンセのサンプル・コレクション。

The Forge by Hecq:ミュージシャンでありサウンドデザイナーでもあるHecqによるサウンド・ループ・ドラムのワンショット。

Breakbeats by KutMasta Kurt:プロデューサーKutmasta Kurtによる、ビンテージサウンドを奏でるヒップホップブレーク・キット・ワンショットです。

Piano, Guitars and Bass:巧みにマルチサンプルされたコンサートグランドピアノ、エレキギターやベースのセット。

Orchestral Instruments:金管楽器、パーカッション、弦楽器、木管楽器の幅広いコレクション

Digicussion:Uppercussionの強烈で明瞭なドラムサウンドをフィーチャーしたブースターショットです。

Bomblastic:ヒップホップのドラムキットライブラリ

※上記はいずれも Live 9 Standard/Suite に搭載されている機能です。

ミックス&マスタリングに使える優秀なプラグイン群

Liveには40種類以上のプラグインが付属されていますが、中でも高い評価を得ているのがEQ Eightと呼ばれるイコライザーです。DAW付属のプラグインは完成度の面でイマイチという場合が多いですが、EQ Eightには音源の周波帯を目視できるアナライザーが搭載されており、カット&ブースト時の音質はもちろん、操作性にも優れています。

他にもシンプルながらパンチのあるラウドネスを加えるCompresserや、80年代のSSLコンソールに搭載されていたバスコンプレッサーをモデリングしたGlue Compressor、ほどよく音を歪ませてサチュレーション効果を加える Dynamic Tube、ダンス系ミュージックのマスタリングに最適なLimiterなど、ミックス&マスタリングに必要な基本プラグインをほぼ網羅。ギターアンプシミュレーターなどギタリスト向けのプラグインも備えており、バンドサウンドがメインのミュージシャンからも好評です。

Ableton Liveのシリーズ

最新版は 9 (2013年3月発売)

Ableton Suite

Ableton Live Suite

Ableton Liveの最上位版。
Liveの他に6種類のシンセ(Sampler, Operator, Collision, Electric, Tension, Analog)やサンプリングマシーン(Essential Instrument Collection , Session Drums, Drum Machines, Latin Percussion)など高品質なサウンドライブラリが付属。

ableton Live 9 Suite – Supernice!DTM

Ableton Live STANDARD

Ableton Live STANDARD

通常版。
互いに作用しあいながら機能する「セッションビュー」と「アレンジメントビュー」を使ってインスピレーションの鮮度を保ったまま音のアイデアをスケッチすることができる総合型Dawソフトとは一線を画すオリジナリティが特徴。「Vocoder」「Looper」「Frequency Shifter」など魅力的なエフェクターも内蔵しています。

Ableton Live 9 STANDARD – Supernice!DTM

Ableton Live Intro

Ableton Live Intro

初心者向けバージョン。
1万円を切る価格でDJリミックス・トラックメイキングが可能な、これからAbleton Liveを使ってみようと思っている人向けの入門ソフト。

Ableton Live Intro – Supernice!DTM