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DTM君「こんにちはDTM君です。先日、ギター博士が曲作りの相談がしたいとうちにやってきました。今回はその時のお話を少しだけさせてください…」
ギター博士「コンコン…ガチャ。おぉDTM君。実は最近ファンキーな新曲を作ってみたのぢゃが…何というか…ノリノリになれないというか…“グルーブ感”が足りないような気がするんぢゃよ…どうにかならんかのぅ」
DTM君「グルーブですか…ちょっと曲のプロジェクトを見せてもらっていいですか?どれどれっと…あードラムが“ベタ打ち”じゃないですか。これじゃあグルーブは生まれにくいと思いますよ」
ギター博士「そうじゃよねぇ…リアルなドラムならなんとなくわかるんじゃが、ワシ機械が苦手なので、打ち込みとかどうしたらいいかわからないんじゃよ。」
DTM君「打ち込みのドラムはノートの位置をずらしたりベロシティを調整して人間っぽさを演出していくんです。ちょっといじってみますね」
ひょんなことからギター博士にドラムトラックの打ち込みを教えることになったDTM君。まずはギター博士が持ってきた音源をみなさんも聴いてみましょう。
このドラム音源のリズムが活き活きと躍動するように、MIDIノートを編集していきます。
DTM君「ファンキーな楽曲だから、前のめりな感じで叩いているのかな……キックを“走り気味”にして、スネアだけ“もたつかせる”のが良いかも」
まずDTM君は、“この楽曲はどんなドラマーが叩いているのか?”ということを、想像することから始めた様子。このイメージはとても大切です。実際に音を鳴らしているのはドラム音源ですが、それを人が叩いているかのように仕上げるためには、“人間のドラマー特有のクセや特徴”をノートとベロシティに反映させる必要があるからです。
例えば、今回ギター博士が持ってきたファンキーな音源の場合、無表情で淡々と叩くドラマーよりも、ノリノリで楽しそうに叩いているドラマーの方が、何となくイメージに合う気がしませんか? 多少、リズムがずれようがお構いなし。ギター博士やベーシストとアイコンタクトをし、グルーブを意識してフィーリングで叩く。そんなドラマーの絵が、DTM君の頭の中で浮かんだようですね。
その結果、彼が手始めに行ったのが“ノート位置の調整”です。下の画像をご覧下さい。
ここでは、キックのノートを拍より前に、スネアを後ろにずらしています。この調整で、キックの“走ってる感”とスネアの“もたついている感”を表現。“走り”と“もたつき”はそれぞれ対称的ですが、この二つが“グルーブ感”のあるドラムに仕上げるための重要な鍵です。
実際にノートを調整すると、ドラム単体ではリズムがよれよれで、聴き心地の悪いサウンドに仕上がるかもしれません。しかし、そこにベースやギターがミックスされると、あたかも人間が叩いているかのような、絶妙なグルーブ感が生み出されるのです。単体で聴いた時には微妙かもしれませんが、アンサンブルに混ぜると自然に聴こえるので、多少リズムがよれていても気にしなくてOKです。
今回は、かなりファンキーな印象にするために拍の頭のノートもずらしていまが、基本的には“拍の頭はピッタリ合わせ、他のノートを左右にずらす”のがオススメ。拍の頭以外をずらすだけでも、自然なグルーブ感を得ることができますよ。
DTM君「ベロシティを調整して強弱をハッキリさせよう……」
次に、DTM君が取り掛かったのがベロシティの調整。ベロシティ調整前の画像を見てわかるように、ベタ打ち状態では、ほぼ全てのノートのベロシティが同じパラメータとなっています。
DTM君は、これを人間が叩いているかのように、要所要所で細かく調整。ベロシティ調整後の画像を見ればわかるように、強弱がかなりハッキリしています。この強弱の差が“人間らしさ”を演出します。
例えば、ベロシティ調整後の画像に“キックが二連する部分”があるかと思います。画像を見て分かるように、一発目のベロシティは弱く、二発目は強く設定していますが、これだけでとても人間らしいキックの鳴り方を表現できるのです。
これは実際にキックのペダルを踏んでみると分かりますが、ドラマーは一発目にペダルを踏んだ反発で二発目を踏むもの。つまり、一発目よりも、二発目の方が強い力で踏む傾向にあるのです。
それをベロシティで表現するため、DTM君は上記のような設定にした様子。ドラムは反発を利用した奏法が多いので、反発を意識したベロシティ設定ができると、とても人間らしいドラムトラックが作れるでしょう。
DTM君「そもそも博士ってどんな方法でドラムを打ち込んでいるのですか?」
ギター博士「マウスでぽちぽちっと打ち込んでおる。そこにギターやベースをレコーディングしてミックスすればグルーブが生まれると思ってな」
DTM君「なるほど。それも良いと思いますけど、より人間らしさ・グルーブ感を求めるならMIDIキーボードでリアルタイムレコーディングをした方が良いかもしれませんよ。DAWのクリックに合わせて本物のドラムを叩くイメージで打ち込むんです」
ギター博士のように、「生演奏によるグルーブは理解しているけれど、それをDTMで再現する方法が分からない」という方は意外と多いもの。そんな方にオススメしたいのが、MIDIキーボードあるいはMIDIパッドによる“リアルタイムレコーディング”です。
リアルタイムレコーディングは、DAWのクリック音に合わせ、リアルタイムでキックやスネアドラムを打ち込んでいくレコーディング方法。「リズム感が求められるのでは?」と思うかもしれませんが、一音ずつキーボードやパッドを叩いて打ち込むので、決して難しくありません。
やり方は簡単で、まずはキーボードやパッドを叩くと音が鳴るようセッティングします。続いて、DAWの“RECボタン”で録音スタート。すると、レコーディングが始まるので、メトロノームのクリックに合わせて対応するキーボード(キックなど)を叩き、打ち込んでいきます。クリックの音をよく聴き、キック単から打ち込んでスネア、ハイハット、タム、オーバーヘッドなどの順番でレコーディングします。(もちろん順番は自由です)
具体的な操作手順はDAWによって違うので省きますが、リアルタイムレコーディングに慣れると作業効率がアップするほか、“自然とグルーブ感のあるドラム”になるのでオススメです。
おすすめのMIDIキーボード
ギター博士にドラムの打ち込みを任されたDTM君。今回は博士が持ってきたドラムのベロシティとノート位置を調整したようです。その結果がこちら。
DTM君「どうですか?べた打ちの状態から、結構変わりましたね!」
ギター博士「そうぢゃな!今日はありがとうDTM君!ワシはそろそろ帰るゾィ!」
DTM君「え!?もう帰るんですか!?」
ギター博士「洗濯物を干さねばならんからな!!それじゃあ後の調整は頼んだゾィ!ぢゃあの!!!!バタッ!」
DTM君「やれやれ…最後に、今回のポイントをまとめて終わりにしましょう」
DTM君「次回はドラムトラックのパラアウトについて解説していきますよ! お楽しみに!」
ギター博士「まだまだ続くゾィ!」
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