進化を遂げ抜群の柔軟性を実現したシンセ音源「UVI Falcon 2.5」レビュー[記事公開日]2021年10月29日
[最終更新日]2021年10月29日

電子楽器の中でも、最も知名度の高い存在であるシンセサイザー。楽器としての歴史こそ短いものの、汎用性の高さや著しい進化を遂げていることから音楽制作に「必須ツール」といっても過言ではないでしょう。今回は、2021年10月上旬にメジャーアップデートを発表し、更なる進化を遂げた「UVI(ユーブイアイ)/Falcon 2.5(ファルコン)」の紹介です。

  • UVIとはどんなメーカー?
  • Falcon 2.5のアップデート内容
  • Falcon 2.5の特徴
  • 拡張音源(エキスパンション)の解説とオススメを紹介

についてまとめていきたいと思います。

DTM君

DTM君「正直言って、かなりオススメです。
もっと早く導入しておけば良かった、、、。
と感じてしまうほどでした。
約1週間使用して感じたことや、特徴や魅力を徹底レビューしていきたいと思います。」

楽器店で購入した場合、上のように、ダウンロードコードが記載された用紙のみが入っています。公式サイトで購入する場合は、ダウンロードコードがメールで送付されます。

UVI Falcon 2 – Supernice!DTM機材

UVIとはどんなメーカー?

UVIは、フランスの首都であるパリを拠点に「ソフトウェア音源」「プラグインエフェクト」「サウンドウェア」で世界的に高い人気を博しているメーカー。正式名称は「UVI Sounds & Software」といいます。25年以上に渡って数多くのソフトウェアを展開しており、全て安定したクオリティでプロ・アマ問わず多くの愛用者がいます。「MOTU(モツ)」のソフトサンプラー「MachFive 3(マッチファイブ)」の開発元としても有名です。

UVI製品の特徴として挙げられるのは、サンプリングとシンセシスのハイブリッド仕様である独自のUVIエンジンを採用しているという点。近年、多くのメーカーがアナログ回路のモデリングを採用している中、サンプリングにこだわった製品を開発しています。

Falcon 2.5のアップデート内容

2015年にUVIのフラッグシップモデルとして誕生しロングヒットを飛ばしているFalconは、人気の高さから度々アップデートがされており、その音楽シーンに沿った機能が追加されています。基本的には既存ユーザーは無償でアップデートできるため、これからも目が離せない存在です。特に今回は、「メジャーバージョンアップ」ということもあり、強力な機能が追加されています。

新たに100以上のファクトリープリセットを追加

これらの新しいプリセットは、

  • Lo-Fi(ローファイ)
  • Retrowave(レトロウェーブ)
  • Sequence Exploration(シーケンスエクスプローション)
  • Rain Sequencer(レインシーケンサー)
  • VCF-20 Synths

の5カテゴリーに分けて追加収録。
最新のウェーブテーブルサウンドから従来のMSモノシンセサウンドまで収録されています。どれもが即戦力として使用できるのでサウンドメイクが苦手な方でも安心して使用できます。

新しいシーケンサーとユーティリティの追加

シーケンサーやMIDIユーティリティなど、スクリプトベースのイベントモジュールを新たに多数追加しました。
新たに追加されたシーケンサーカテゴリーは以下

  • Cartesian Sequencer
  • Rain Sequencer
  • Euclidean Keys
  • Wave Sequencer
  • Warp Sequencer
  • Probability Arp
  • Note Pan

イベントタブでエディットします

新たに追加されたMIDIユーティリティは以下↓

  • MIDI Record(ドラック&ドロップ書き出しに対応したインラインMIDIレコーダー)
  • MIDI Delay(ピッチドリフトに対応した伝統的なMIDIイベントディレイ)
  • MIDI Monitor(イベントタイプフィルターを装備したMIDI入力モニター)
  • Velocity Test(モノ・ポリ切替可能なベロシティモニター)

これらを駆使して、直感的で柔軟な操作性でサウンドメイクが可能になります。

新エフェクトの追加

歪み系エフェクターとして定評のある「Tube Screamer(チューブスクリーマー)」のドライブ感を再現したTS Overdrive。

MSのVCF(rev-2)を再現したVCF-20のシングルバージョン(モーフィング可能なHP/LP)とデュアルバージョン(個別のLPとHP)の2つのバリエーションが追加されました。

新モジュレーターを2つ追加

  • Multi LFO:サイン、三角、矩形、ノコギリ、ランダム波形の自由に組み合わせて独自の変化をLFOを発生
  • Smooth Random:時間経過に沿った、ゆったりとした変調に最適な、滑らかなランダムLFOモジュール

の計2種類が追加。
動きのあるサウンドが更に作りやすくなりました。

Falcon 2.5の特徴

実際の使用感も交えてFalconの特徴/魅力をご紹介していきます。Falconにしかない独自のユニークな機能も追加されていますので、シンセ選びで悩んでいる方は参考にしてください!

豊富なオシレーター

Falconには、とても多くのオシレーターが装備されています。基本的なものから、シンプルなサンプル再生、Pluck、Wavetable、IRCAM Multi Granularなどのユニークなものまで、幅広いシンセサイジングに対応。オシレーターはサウンドメイクの核となる部分なので、とても魅力的なポイントと言えます。

特に魅力的なのは異なる種類のオシレーターを重ねて独自のハイブリッドインストゥルメントを構成できる所でしょう。重ねられるオシレーターの数と組み合わせに制限が無いので、かなり細かくサウンドメイクすることができます。(※重ねられるオシレーターの数は、コンピューターの処理能力に依存します。)

DTM君

DTM君「ボクが特に注目したのは、多様なノイズを生成できる点です。ノイズは効果音やパーカッション系のサウンドメイクにかなり役立ちます。」

ハイクオリティかつ豊富なエフェクト

90以上のエフェクトが装備されており。

  • Delay
  • Reverb
  • Modulation
  • Filter
  • Equalizer
  • Amps and Stereo
  • Drive and Distortion
  • Dynamics
  • Analysis

のような汎用性の高い基本的なものから、ユニークなものまで用意されており、カテゴリー分けされているので選びやすいようになっています。特に魅力的なのは、UVIのエフェクトの中で人気の高い「Sparkverb(スパークバーブ)」が用意されている点。高品質かつPCへの負荷が極めて少ないのでとてもオススメです。

サウンドを自由に操作するモジュレーションジェネレーター

Falcon2.5には

  • AHD
  • Analog ADSR
  • Attack Decay
  • DAHDSR
  • Drunk
  • LFO
  • Multi Envelope
  • Step Envelope

以上、9つのモジューレーションジェネレーターが搭載されています。これらは、Falcon上の各パラメーターに割り当てることができるのでこれらを駆使できるようになれば面白いサウンドを無限に生み出すことができます。

DTM君

DTM君「ボクが特に気に入っているのは「AHD」です。AHDは時間経過による変化を加えることができます。簡単に動きのあるサウンドが作れるのでとても、汎用性が高い便利な機能だと感じました。プリセットも用意されているので面倒なセッティング不要で直感的に選択できます。」

拡張音源(エキスパンション)の解説とオススメを紹介

Falconは、別途販売されている拡張音源を購入することで音源プリセットを追加することができます。どれもかなりクオリティが高く、即戦力。拡張音源は、「コンセプト」ごとに分けられているので自身の制作ジャンルに合ったものを選択する必要があります。

SubCulture Orchestral

オーケストラサウンドを追求した弦楽器、木管、金管、打楽器が収録された拡張音源。ダークで幻想的な世界観を簡単に作り出せるプリセットが多数収録されています。

DTM君

DTM君「ボクの個人的な感想としては、
オールラウンダ―ではないが、シネマティックサウンドとしてはかなり使い勝手が良い!
と感じました。
つまり、ゲーム音楽・映画など劇伴作家にオススメです。」

SubCulture

動きのあるダークなシンセサウンドが収録された拡張音源。アナログサウンドならではの芯通ったサウンドは、存在感抜群です。丁寧に制作されたエレクトロサウンドは、主役にも脇役にもなれます。映画音楽はもちろん、EDMなどのジャンルでも活躍してくれるでしょう。

Cinematic Shades

不気味な雰囲気を簡単に呼び出せる拡張音源。重苦しいものから、霊妙で幻想的なサウンドまで収録されています。没入感のあるサウンドを求めている方にピッタリ。歌モノには不向きですが、映画音楽にマッチするためサウンドデザイナーにオススメです。

Inner Dimensions

どこか懐かしさを感じるデジタルサウンドが収録された拡張音源。深く耳に響くものから自然なメロディまで多数のプリセットが収録されています。どれも印象に残るものばかりで、アイドルソングなどにも使いやすいのではないでしょうか。各パラメータを把握しやすいUIも嬉しいですね。

Hypnotic Dive

サイケデリックでエレクトロなサウンドを収録した拡張音源。幻想的なパッド、定番のシンセリードからアクセントに丁度いい効果音などさまざまなサウンドがカテゴリー別で収録されています。

DTM君

DTM君「僕自身、公式トレーラー映像を聴いてすぐに購入しました。エレクトロニックミュージックに必要なものを、ほとんど収録しています。特に強烈なリードが気に入っています。実際に、面倒なサウンドメイクの時間が減ったのでかなり重宝しています。」

Kinetics

シャープで芯のある金属のような響きを提供してくれる拡張音源。
プリセットは、太陽の音(The Sun/Le SOLEIL)と月の音(The Moon/La LUNE)の2種類に分けられ、それぞれをさらに

  • アンビエント
  • モーション
  • リズム

としてカテゴリー分けされています。
アニメやゲームで使用されていそうなプリセットが多いと感じました。

LoFi Dreams

独特な空気感を放つローファイサウンドが収録された拡張音源、レトロでモダンな印象です。スムーズなアコースティックピアノ、ソウルフルなギター、ドラムなどの汎用性の高い楽器を多数収録しています。ローテンポな楽曲に向いています。

Voklm

霊妙なアトモスフィアや叙情的な雰囲気、動きを加える美しいヒューマンボイスが収録された拡張音源。
これらのプリセットは

  • アルペジオ&シーケンス
  • アトモスフィア
  • ドローン
  • エフェクト
  • パッド
  • ボイスインストゥルメント

などにカテゴリー分けされており、目的のサウンドを見つけやすい仕様になっています。不気味で幻想的なサウンドは、世界観を作り上げる際に役に立ちます。歌モノで使用する場面は少ないと思いますが、ゲームや映画などの劇伴で重宝することでしょう。

Plurality

幻想的で表現力豊かなエッセンシャルシネマシティックサウンドが収録された拡張音源。

  • ハウンティングストリングス
  • フルート
  • メロディックパーカッション
  • アトモスフィアパッド
  • アンビエントサウンドスケープ

が用意されており、どれも映画音楽にピッタリです。
シネマティックサウンドに特化しているので、サウンドデザイナーにオススメ。

Savage

迫りくるようなアップテンポビートや強烈なシンセサウンドが収録された拡張音源。EDMやテクノミュージックを主体の音楽と相性が良さそうです。

  • リズムループ
  • ベース
  • リード
  • アルペジオ
  • ヒット

など、音楽制作に必要な要素が全て揃っています。

TITANIUM

ハイクオリティなシンセサウンドが収録された拡張音源。太いベース、存在感溢れるリード、包み込むようなパッドなど、インスピレーション刺激するプリセットは即戦力。エレクトロニックミュージックだけでなく、ジャンル問わず使用できます。使い勝手の良いサウンドばかりなので、全ての音楽家にオススメ。

Eternal Funk

80年代の音楽シーンを彷彿させる懐かしいサウンドが収録された拡張音源。一度聞いただけで、耳に残る特徴的なサウンドです。

  • シンセベース
  • リード
  • ブラス
  • ギター
  • エレクトリックピアノ
  • アコースティックドラム

まで、幅広く用意されています。

Pulsar

繊細かつ力強いシンセサウンドが多数収録された拡張音源。僕自身、公式トレーラー映像をみて即決で購入しました。各パラメータを把握しやすい、UIは思い通りのサウンドメイクを提供してくれますので、サウンドにこだわりたい方にピッタリ。Falconに搭載されたモジュレーションジェネレーターと組み合わせれば無限のサウンドを生み出せるのでとてもオススメです。

Devinity

アトランタを拠点にするエレクトロニックミュージシャン/サウンドデザイナーであるRichard Devineの手によって制作された拡張音源。独特の世界観を演出するループとメロディックなシンセサウンドは、耳馴染みが良く、聴き飽きないサウンドです。歌モノから劇伴まで幅広く使用できるオールラウンダ―です。

Digital Motion

ビンテージデジタルから最新のハイブリッドサウンドまで、世代を超えて使用できるFMシンセの拡張音源。FMシンセは、サウンドメイクが凄く難しいのでとても重宝します。

  • ベル
  • パッド
  • キーボード
  • オルガン
  • リード
  • ベース
  • アトモスフィア

にカテゴリー分けされています。FMシンセならではの、明瞭なサウンドをすぐに楽曲に取り入れることができます。

Analog Motion

アナログシンセの黄金時代の豊かでダイナミックなエレクトリックサウンドが多数収録された拡張音源。アナログならではの、丸みにあるサウンドはとても懐かしく、80年代の音楽シーンを彷彿とさせます。

DTM君

DTM君「ボクもこの拡張音源を導入しました!そのまま使うのも良いのですが、アルペジエーターと組み合わせると直感的な楽曲制作ができるようになりました。アイデアが思いつかない時に重宝します。」

Atmospherics

ふわっと浮かび上がるような落ち着きのあるサウンドが収録された拡張音源。重厚で暗いなウンドから、突き抜けるようなクリアトーンまで、取り揃えています。

Ether Fields

業界屈指のサウンドデザイナーとして知られるSimon Stockhausenが手掛けた拡張音源。煌びやかリード、ミステリアスなパッドが印象的。J-POPとの相性が良好な印象です。

Spectre

アルペジオ、ベース、ベル、ドラム、効果音、キーボード、リード、パッド、プラックサウンド、シーケンス、ボイスを収録した豪華な拡張音源。

DTM君

DTM君「個人的に拡張音源の中で一番オススメです!
使い勝手の良い即戦力プリセットは、ジャンル問わず使用可能。
Falconの標準機能と組み合わせれば、思いもよらない面白いサウンドと出会うことができます。」


DTM君

DTM君「以上、ver2.5に進化したシンセサイザー音源「Falcon2.5」についてレビューしていきました。

導入して、楽曲制作の幅が確実に広がったとおもいます。

これまで多くのソフト音源を使用してきましたがかなりオススメす!

是非、お試しください!」