ピアノ音源の選び方とおすすめソフト

[記事公開日]2021/7/2 [最終更新日]2026/9/27
[編集者]神崎聡

ピアノ音源

ピアノ音源はシンプルが故に「選ぶのがとても難しい音源」と言われています。
各社から様々な製品が販売されていますが、ピアノ未経験の方からは「どれも同じにしか聴こえない」という声も。
一体何を基準に選択すれば良いのでしょうか。

ピアノ音源の選び方

ポップスやロックがメインならDAW付属音源で

ピアノ音源は「自身が取り組む音楽ジャンル」に合わせて選ぶのがオススメです。
例えば、ポップスやロック、ダンスミュージックをメインにしている場合はDAW付属の物やエントリークラスの製品で十分と言えます。

なぜなら、これらのジャンルでは高品位なピアノ音源特有の空気感や繊細な演奏ニュアンスがあまり求められないからです。
それよりか、「音に厚みがあるか」、「生々しさはあるか」という点が重視されます。

最近のDAWソフト付属音源は無料ではありますがクオリティが高く、楽曲制作において必要十分な音質・機能を備えています。
付属音源では満足できないという方でも、5,000円〜10,000円程度でエントリークラスの音源を購入できるので探してみましょう。

バラードやピアノソロなら妥協せずハイエンド音源を

一方、ピアノという楽器を主軸に置く音楽ジャンルの場合、「妥協せずにハイエンド音源選ぶ」ことを強くオススメします。
ピアノソロをはじめ、バラードや劇伴など、生々しいピアノサウンドが求められる音楽ジャンルは多数存在しますが、完成度を高めたいのであれば高品位な音源を選択する以外方法は無いと言えます。

上述にもありますが、ピアノはシンプルな故に選ぶのが難しいと同時に「クオリティと価格が完全に比例する音源」でもあります。
高品位な音源はサウンドが生々しいだけでなく、キーノイズやペダルノイズがナチュラルに表現されていたり、本物のグランドピアノを弾いているかのような打鍵感があります。

その一方で、あまりに生々しすぎてポップスやロックに用いるとピアノが浮いてしまうケースも多々あるので注意が必要です。

モデリング元となったピアノ

ソフトウェアのピアノ音源は、実在するピアノを録音(サンプリング)したり、物理モデリングで再現したりして作られています。
同じグランドピアノでもメーカーや機種によって音のキャラクターは大きく異なるため、「どのピアノを元にしているか」は音源選びの重要なポイントです。
ここでは、ピアノ音源に収録されることの多い代表的なピアノメーカーと、その音の特徴を紹介します。

なお、実際のピアノの音色は調律や整音、個体差、録音環境によっても大きく変わります。
ここで挙げる音の特徴は、あくまで一般的に語られる傾向として参考にしてください。

Steinway & Sons(スタインウェイ)

1853年にニューヨークで創業したピアノメーカーで、1880年にはドイツ・ハンブルクにも工場を開設しました。
現在もニューヨークとハンブルクの2拠点でピアノを製造しています。
フラッグシップのコンサートグランドModel Dは全長274cmで、世界中のコンサートホールで使われている定番中の定番です。

響板の設計による豊かな響きと長いサステインが特徴。
一般に、ハンブルク製はやや明るく緻密、ニューヨーク製はやや温かく開放的なサウンドと評されることが多いですが、工場による差より個体差のほうが大きいという声もあります。

ピアノ音源で最も多くサンプリングされているピアノと言ってよく、Ivory 3 German D(ハンブルク製Model D)やHans Zimmer Piano、Addictive KeysのStudio Grand、EASTWEST Pianosなどが収録しています。

YAMAHA(ヤマハ)

1887年に山葉寅楠が浜松で創業した日本のメーカーです。
フラッグシップのコンサートグランドCFXは2010年に発表された全長275cmのモデルで、2022年には新しいCFXが発表されています。

ヤマハのピアノは一般に、明るく輪郭のはっきりしたサウンドが持ち味とされます。
特にC7は、音源メーカーからも「明るくバランスが良い」「ポップスやロック、ジャズの定番」と紹介されることが多く、バンドアンサンブルの中でも埋もれにくいピアノです。

CFXはVIENNA YAMAHA CFXやNOIRE、C7はIvory II Grand PianosやKeyscape、EASTWEST Pianosが収録しています。
アップライトのU3/U5も、Addictive KeysやOriginals Cinematic Soft Piano、Ivory II Upright Pianosで聴くことができます。

Bösendorfer(ベーゼンドルファー)

1828年にウィーンで創業した老舗メーカーで、2008年からはヤマハのグループ企業となっています。
フラッグシップの290 Imperialは全長290cmで、通常の88鍵に低音側の9鍵を加えた97鍵を備えているのが最大の特徴です。

メーカーはそのサウンドを「オーケストラ的」と表現しており、基音のしっかりした太い低音と繊細な高音が持ち味とされます。
拡張された低音弦は弾かなくても共鳴して響きに厚みを加えるため、重厚で深みのある響きが得られます。

Ivory II Grand PianosとEASTWEST Pianosが290 Imperialを収録しています。

Fazioli(ファツィオリ)

1981年にパオロ・ファツィオリがイタリア北部のサチーレで創業した新興メーカーです。
手作業中心で生産台数はごく少なく、F308は全長308cmと市販ピアノとして最長クラスのコンサートグランドで、音色を変えずに音量を下げる第4のペダルを備えています。

メーカーは並外れたパワーと豊かな倍音を特徴に挙げています。

EZkeys 2のコア音源がF212を収録しているほか、Ivory II Italian Grandもイタリア製10フィートのコンサートグランドを収録しています。

C. Bechstein(ベヒシュタイン)

1853年にベルリンで創業したドイツのメーカーで、ドビュッシーが高く評価したことでも知られています。

甘く歌うような音色で、金属的な響きが少ないと評されることが多いピアノです。
EASTWEST PianosがコンサートグランドのD-280を収録しているほか、物理モデリング音源のPianoteqもメーカー公認のモデルを用意しています。

KAWAI(カワイ)

1927年に河合小市が浜松で創業した日本のメーカーです。
最上位ブランドShigeru Kawaiのコンサートグランド SK-EXは、2002年のチャイコフスキー国際コンクールで公式ピアノに採用されました。

サンプリング音源で収録される例は多くありませんが、Pianoteqがメーカー公認のモデルとしてSK-EXを収録しており、広いダイナミックレンジとパワーのあるサウンドを再現しています。

オススメのソフトウェアピアノ音源

ここからは、オススメのソフトウェアピアノ音源を3つのカテゴリに分けて紹介します。
ポップスやロックのアレンジに気軽に使える定番音源、コンサートグランドを収録したハイエンド音源、映画音楽やアンビエント向けの個性派音源の順に見ていきましょう。

扱いやすい定番ピアノ音源

動作が軽く、作曲支援機能や音作りの自由度に優れた定番の音源です。
ポップスやロックのバッキングから宅録まで幅広く活躍します。

製品名 方式 収録ピアノ 対応フォーマット 必要容量
Toontrack EZkeys 2 サンプリング Fazioli F212 VST3・AU・AAX・スタンドアロン 5GB
XLN Audio Addictive Keys サンプリング Steinway Model D、Yamaha U3ほか VST・VST3・AU・AAX・スタンドアロン ―

コンサートグランドを収録したハイエンド音源

世界的なコンサートグランドを膨大なサンプル数で収録した、本格派のピアノ音源です。
ピアノソロやバラード、劇伴など、ピアノそのものを聴かせる楽曲にオススメです。

製品名 方式 収録ピアノ 対応フォーマット 必要容量
VIENNA YAMAHA CFX サンプリング Yamaha CFX VST・VST3・AU・AAX・スタンドアロン 35GB(Standard)/71GB(Full)
Spectrasonics Keyscape サンプリング LA Custom C7(Yamaha C7)ほか鍵盤楽器多数 VST・AU・AAX・スタンドアロン 80GB
EASTWEST Pianos サンプリング Bechstein D-280、Steinway D、Bösendorfer 290、Yamaha C7 VST2・VST3・AU・AAX・スタンドアロン 約260GB
Synthogy Ivory II Grand Pianos サンプリング Bösendorfer 290 Imperial、Steinway D、Yamaha C7 VST・AU・AAX・スタンドアロン 77GB
Synthogy Ivory 3 German D サンプリング Steinway D-274(ハンブルク製) VST3・AU・AAX・スタンドアロン 42GB
Synthogy Ivory II Italian Grand サンプリング イタリア製10フィート・コンサートグランド VST・AU・AAX・スタンドアロン 28GB
Synthogy Ivory II Upright Pianos サンプリング Yamaha U5ほかアップライト4台 VST・AU・AAX・スタンドアロン ―

映画音楽・アンビエント向けの個性派ピアノ音源

フェルトを挟んだ柔らかな音色や、ホールの空気感まで収録した情景的なサウンドが特徴の音源です。
劇伴やアンビエント、ローファイなど、雰囲気を重視した楽曲で活躍します。

製品名 方式 収録ピアノ 対応フォーマット 必要容量
SPITFIRE AUDIO HANS ZIMMER PIANO サンプリング Steinway Model D Kontakt Player 452.7GB
Native Instruments NOIRE サンプリング Yamaha CFX Kontakt Player 16GB
SPITFIRE AUDIO ORIGINALS CINEMATIC SOFT PIANO サンプリング Yamaha U3(フェルト) VST3・AU・AAX・スタンドアロン 2GB
SPITFIRE AUDIO ORIGINALS FELT PIANO サンプリング フェルトピアノ VST3・AU・AAX・スタンドアロン 3GB

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