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Waves Audio、通称してWAVES(ウェイヴス)と呼ばれるこの会社は、1992年イスラエルにて設立されました。同年、第一号として「Q10 Parametric EQ」をリリース、そして94年には「L1 Ultramaximizer」をリリースします。
L1はマスタリング用ダイナミクスエフェクトとして世界的にヒットし、その後の音楽業界における音圧競争を引き起こす引き金となるほど、爆発的に普及しました。
これによりブランドの地位は確固たるものになり、傑出したプラグインが多数生まれてくる下地ができあがりました。
現在ではオーディオ用プラグインの最古参の一つとして、デファクトスタンダードといって良いほどの地位を築いています。
90年代~00年代に登場した製品は今となっては古さを感じるものの、まだまだ現役で活躍しているものが多数存在し、200以上のプラグインはプロアマ問わずあらゆる現場で使われています。
WAVESのプラグインですが、初期にリリースされたものは非常に軽く、動作が円滑でありながら、クセの無い挙動をするものが多いのが特徴です。
リリース後20年も経った現在でも「Q10 EQ」、「C1 compressor」、「S1 Stereo Imager」のように定番として愛されている製品が多数あり、いずれもシンプルかつクセがなく使いやすいプラグインとなっています。
2010年前後からはロック系を得意とするエンジニア、Eddie Kramer氏の協力によるシリーズや、アビーロードスタジオの機器を再現したものなど、個性的で尖ったものも多数リリース。
アナログとデジタルのいいとこ取りを目指したHybridシリーズの「H-Delay」や「H-Comp」、また過去の銘機を再現したVintageシリーズの「V-Comp」などは、現在の定番プラグインと言って良いでしょう。
このように幅広く多彩な個性を持つ製品が揃っているので、WAVESのプラグインだけで制作のほとんどの部分が賄えると言っても言いすぎではありません。
世に溢れる膨大なプラグインから、何か有料のものが欲しいという初心者の方にも、真っ先におすすめしたいブランドです。

WavesをWavesたらしめる最初期の代表作L1 Ultramaximizerは、スレッショルドを下げるだけでデジタルにあってはならないクリップを回避しながら、的確に音圧だけを上げることができる、簡便かつ優れた機能によって大ヒットしました。
高いサンプリングレートに対応したものでないため、現在の基準ではやや粗く感じることも多いこのプラグインですが、下位のバンドルにも含まれていることもあり、特に宅録を中心に行うアマチュア層にはいまだに幅広く使われている製品です。

L3-16 MultimaximizerはそんなL1の進化版とも言えるもので、16バンドのイコライザーとマキシマイザーを複合したもの。
設定した各帯域ごとに適切な圧縮効果を掛け、明瞭さを保ちつつ音圧を稼ぐことができます。L3-16は下位バンドルには含まれておらず、Horizon以上となります。

最初期に作られて、いまだに当時のままの設計で愛されている数少ないプラグイン。
長く愛される要因はその操作画面にあることは間違いなく、サウンドの幅とパンをイメージした逆三角形はこの上なく直感的。
広げるだけでなく狭めることもできるため、ピンポイントに狙った位置にパンニングを制御することが可能。
イメージャーという名の通り、ステレオソースの指向性を変幻自在に操ることができます。

ディレイとピッチモジュレーションを同居させ、ダブリング効果を手軽に生み出すプラグイン。
Waves初期のころから存在する製品ですが、上のStereo Imagerと同じく直感的かつ明快な作りはさすがの一言で、使い勝手の良さはトップクラス。
サウンドは良い意味でふわふわとした音が作りやすく、普通のダブルボーカルなどの他、パッドやストリングス、バックグラウンドボーカルの処理などにも活躍します。

DTM君「これもたまに使います。ギターやボーカルの存在感/定位を変えたいという時に登場しています。」

ヴィンテージ機器のアナログ的なカーブによる、音楽的表現が可能なパラメトリックEQ。やや古いモデルながら、その使いやすさとクセのない音質で、いまだに幅広く愛されるWavesを代表するイコライザーです。
トラック単体にはもちろん、複数のトラックをまとめたバス用EQとしても優秀で、動作も軽いため基準のEQとして使うのもおすすめです。

周波数ごとのレベル、ステレオの広がりや奥行きをグラフィカルに表示するアナライザー。
ピークやイメージを視認できるアナライザーは地味ながらも重要なプラグインであり、PAZ Analyzerはわかりやすく精密な表示が魅力で、このカテゴリの製品の中でも第一に名の挙がる存在です。

ボーカルから、”サ行”に代表される歯擦音を取り除くディエッサー。世の中に溢れるディエッサーの中でも、当モデルはデファクトスタンダードの地位を確立しており、たった二つのコントロールで望む音質が得られるその簡便さと優れた音質で幅広く使用されています。
下位のバンドルにも含まれるため、宅録などでも使う機会が多いモデルでしょう。

V-EQ3はNeve1073、1066、V-EQ4はNeve1081をそれぞれ再現したイコライザーです。60~70年代のクラシカルなアナログサウンドを手軽に得ることができ、Wavesのヴィンテージ系イコライザーの中では特に代表的なモデルです。
V-EQ3の方は3バンドで、用意されている周波数の選択肢も少なく、V-EQ4はそれに比べて4バンドEQとなっており、周波数帯域も細かくセッティングできるためやや細やか。いずれもアナログ的な音質を加えることができ、それを目的として掛ける手もあります。

Wavesを代表するコンプレッサー。V-CompはNeve2254を模したコンプレッサーで、コンプレッサーとリミッターを別々に搭載しています。
インプットで入力値を調整し、レシオとリリースで掛かり具合を調整、アウトプットで出力を決めるというシンプルな操作性を持っており、レシオやリリースタイムの設定値などはオリジナル同様に固定値を選んでいく方式となっています。
入力値を上げてしっかり掛けることで、アナログ感のある歪みが得られ、音がぐっと前にくる感覚があります。

トランス、真空管、トランジスタの動作をモデリングしたアナログ感のある音質と、デジタルならではの使いやすさや操作性などを同居させたモデルです。
Hybridシリーズに共通する、アナログ感を調整するためのAnalogコントロールもさることながら、このモデルの最大のポイントはMIXコントロールによりドライ音とウェット音のバランスを調整できるところ。
コンプを通した音と原音を混ぜていく”パラレルコンプ”と言われる手法は、本来非常に煩雑な作業を要求されるものですが、このモデルであればMixコントロールを動かすだけでそれが実現可能です。

Hybridシリーズにおけるディレイエフェクト。H-Comp同様Analogコントロールを装備しており、このAnalogやLoFiボタンを利用することで、アナログディレイからテープエコーまで、様々な音質のディレイを再現可能。調整幅の広い可変フィルターによって、より細かなセッティングもできるようになっています。
ステレオ出力でのピンポンディレイ、コーラス効果を付加するモジュレーションディレイまで、通常のディレイで可能な範囲のサウンドはほぼ網羅しており、デジタルならではの使い勝手と優れたアナログディレイが合体した、まさにハイブリッドなプラグインと言えます。
IK MultimediaのAmplitubeやNIのGuitar Rigなどと同カテゴリの、ギター用アンプシミュレータープラグイン。
ヴィンテージから現代に至るまでの代表的なギターアンプ、エフェクターを網羅しており、その範囲はベースアンプにまで及びます。キャビネットとマイキングの組み合わせなども多数ありながら簡便な操作も魅力で、ギターのみならずオルガンやシンセに通すなど、多彩な使い方が考えられるプラグインです。
WAVESの製品は複数のものをまとめて一つにセットにした「バンドル」で購入するのがお得で、コストパフォーマンスは単品購入の比ではありません。
中でも代表的なバンドルは、ブランド初期から存在する定番のものを集めたDIAMOND、GOLDなど、Wavesのレギュラーラインとも言えるバンドル製品です。
これよりも上位のものに至っては、エフェクトプラグインはこれ一つで事足りるほどの充実ぶりです。
その他にはHybridの名を冠するHシリーズ、Neveのシミュレートプラグインが揃ったVシリーズ、著名なエンジニアとタッグを組んで作り上げたEddie KramerシリーズやChris Lord-Algeシリーズ、著名スタジオと共同開発されたAbbey Road Collectionなど、それぞれ似た傾向、同系統のシリーズのものをセットにして販売されます。
下に行くほど上位となります。上位になるほど内包プラグインの数は多く、下位に内包されるものは全て入った上で、それに積み増しされる形で増えていきます。
最上位のMercuryはWavesの大多数のプラグインを網羅しますが、値段も桁外れに高くなります。

DTM君「WAVESでは年に1,2度セールを開催することがあるので、そのタイミングで欲しいバンドルを手に入れると良いと思います。」
| 項目 | プラグイン数 | 代表的プラグイン |
|---|---|---|
| Silver | 16 | Q10 EQ、L1 Ultramaximixer、S1 Stereo Imager、Doubler、Trueverb |
| Gold | 42 | H-Delay、H-comp、V-Comp、V-EQ、Sibilance、GTR3 |
| Platinum | 54 | L3 Multimaximizer、PuigTec EQ |
| Diamond | 69 | Center、Z-Noise |
| Horizon | 76 | Kramer HLS Channel、L3-16 Multimaximizer |
| Mercury | 171 | SSL 4000 Collection、Abbey Road Collectionなどを除くほぼ全てのエフェクトプラグイン |
現在のようにプラグインが大量になかった時期、Wavesのプラグインは飛び抜けて高価な品でしたが、現在ではずいぶんと手に入れやすい価格になっています。
初心者から熟練者まで、幅広く使っていける優れた製品が揃っており、プラグインの王道としてまずここから触れていくことで、自分の中にも基準がしっかりと作られていくでしょう。
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