8ビット/チップチューン・スタイルのシンセ音源特集[記事公開日]2022年6月24日
[最終更新日]2022年06月24日

8ビット/チップチューン音源

独特な雰囲気を持ち、どこか懐かしさを感じる8ビット/チップチューンのシンセサウンド。聴いているとクセになるピコピコとしたサウンドは、長年愛され続けており、さまざまな音源が存在しています。またゲームミュージックの黎明期を支えてきた8ビットサウンドは、クリエイター達に多大な影響を与えてきており、有名作品の多くで使用されてきました。今回は、【8ビット/チップチューン】のサウンドについてご紹介していきます。

8ビット/チップチューンとは?


Ultimate 8-bit Electro Gaming Music Mix 2020 – Chiptune Music Mix

8ビット/チップチューンは、ファミコンやスーパーファミコンなどの80年代のレトロゲームで使用されてきたエレクトロサウンド。多くの方が聴いたことがあるサウンドだと思います。DTMの世界ではサンプリング音源が普及するだいぶ前から存在しており、スペックの低いパソコンでも動作する点も魅力の1つとして挙げられます。基本的なシステムは、パルス波2音、三角波1音、ノイズ発生装置1音の同時発音というシンプルな構成。同時発音数が少ないことからサウンドメイクの幅が狭いにも関わらず、8ビットでしか出すことのできない唯一無二の世界観を演出できます。

「チップチューン」は、80年代に発売され一大ブームとなったPCや家庭用ゲーム機(ファミコン・スーパーファミコンなど)に搭載された内蔵音源チップによって発音されるサウンドで制作される楽曲のジャンルのことを指します。

これらは、現代のDTM環境と異なり

  • 同時発声数が少ない
  • オクターブレンジが狭い
  • 高音域のピッチ精度が荒い
  • 制御システムのクロックに依存し、違和感なく演奏できるテンポが限られる

といった制約の多い環境下で制作するのが最大の特徴といえます。

世代を超えて多くの方を魅了する8ビット/チップチューンサウンドは多様化している現代の音楽シーンで使われることが多く、テクノポップやゲームミュージックをはじめEDMなどでも使用されています。

無料で手に入る8ビット/チップチューン・シンセ音源

高品質でありながらも無料で誰でもダウンロードできるソフトウェアがありますのでご紹介していきます。

ファミシンセ

多くのアーティストに楽曲提供し、ソロアーティストとしても人気の高い前山田健一(ヒャダイン)氏も愛用していることで有名なファミシンセ。
無料で誰でもダウンロードできるにも関わらず、かなり高品質でプロアマ問わず使用者がとても多いです。

【ファミシンセ】という名の通り、ユーザーインターフェースはファミコンを彷彿とさせるデザインとなっており、ゲームを操作するように左側の十字キーと右側のA/Bボタンでサウンドメイクを可能にしたユニークな点は遊び心を感じられます。
直感的な操作感を実現しており、誰でも簡単に懐かしいサウンドを作り上げることが可能。

また、すぐにでも楽曲に使える即戦力プリセットも用意されていますので初心者でも安心して使用できます。

http://mu-station.chillout.jp/ – mu-station

Impakt Sound Works「Supre Audio Boy」

サウンドデザイナーであるAndrew Aversa氏とWilbert Roget, II氏によって、2007年に設立したデベロッパー「Impakt Sound Works」が無料で配布しているSupre Audio Boy。
伝説的な7つのレトロゲーム機とSUPER AUDIO CART PCに収録されていたホームコンピュータ8機種を丁寧にサンプリング。
無料とは思えないほどの豪華な内容となっています。

・4つのレイヤーと細部にまで拘った設定
・アルページエイター/シーケンサー
・大規模な14,000種類以上のサンプル/ループ
・2,500種類以上のスナップショット(プリセット)
を搭載しているため、チップチューンから現代のサウンドまで幅広いジャンルに対応できます。

※ライブラリは、無料のKontakt Playerと互換性がありません。
※Kontakt 5.5.2以上のフルバージョンが必要になります。

https://impactsoundworks.com/product/super-audio-boy/

Magical 8bit Plug2

チップチューンというジャンルにおいて、世界的に活躍する日本の音楽ユニットであるYMCKのYokemura氏が手掛けるフリーソフト「magical 8bit plug 2」
2005年にリリースされて以降、国内外で人気が高いことから年々バージョンアップされており、現代の音楽シーンに欠かせない強力な機能を搭載しています。

爽やかな配色が目を惹く洗練されたユーザーインターフェースを搭載。

特徴は、汎用のシンセでは再現しにくい疑似三角波やロービットノイズを搭載しており、8bit音源特有の高速アルペジオ、音色/音程を細かくコントロールできるエフェクトなどが搭載されています。
また、効果音やドラム風音色の制作に役立つ「周波数スウィープ(自動音程変化)機能」を搭載しているためユニークなサウンドも簡単に生成できます。

https://impactsoundworks.com/product/super-audio-boy/ – YMCK

有料で手に入るおすすめの8ビット/チップチューン音源

近年販売されている8ビット音源は、現代の音楽シーンに欠かせない数多くの強力な機能を搭載したものが多数販売されています。
それぞれの特徴について解説していきますので、ご自身の環境や制作スタイルにマッチしたものを見つけてみてください。

UVI 8-bit Synth

UVI 8-bit Synth

Falconをはじめ、多くのシンセソフトで定評のあるUVI社が発売する「8-bit Synth」。
本製品の特徴は、知名度の高いさまざまなハードウェアのサウンドをそのままサンプリングした点でしょう。
サンプリング方式を採用しているため、Commodore 64、Game Boy、SID Station、Mode Machine等々から作成したパッチは、ハードウェアならではの魅力や個性を細かなところまで収録しています。

収録されている膨大な即戦力プリセットはクラシックビデオゲーム風の響きからモダンジャンルなどといったさまざまな音色が用意されており、気に入ったプリセットを読み込むだけで簡単に理想のサウンドを自身の楽曲に組み込むことが可能。
ベース、ブラス、チップMOD、コード、コンポジット、ドラムス、効果音、キーボードとベル、リード、パッド、プラック、ポリシンセ、スイープと波形にカテゴリー分けされているのでスムーズな制作を実現7してくれます。

UVI社ならではの強力なデュアルレイヤーエンジンが搭載。
2つの完全独立されたレイヤーは、
レイヤー1:SIDサウンド
レイヤー2:GameBoy、Mode Machine、Commodore 64などのデバイスサウンドにアクセス可能
といった構成となっています。
各デバイスの本来のサウンドを活かしつつも、幅広いサウンドメイクが可能になっています。

また、表現力を広げる機能も搭載。
・アンプリチュード
・マルチモードフィルター
・ADSRエンベロープジェネレーター
・ピッチ
・ポルタメント
・ステレオコントロール
・ユニゾン
などを使用すれば、従来の8ビットでは不可能だったことも可能になります。

注意点として挙げると、サンプリング音源であるためデータサイズが大きい点です。
公式によると12.8GB(FLACロスレス圧縮済、非圧縮WAVサイズは35.01GB)の容量が必要になります。
導入の際は、ストレージに余裕があるかチェックしてください。

UVI 8-bit Synth – Supernice!DTM機材

AUDIOTHING MINIBIT

AUDIOTHING MINIBIT

サンプルパック/ソフト音源/プラグインエフェクトなど、数多くの製品をお手ごろな価格で提供しているAUDIOTHING社の8ビット/チップチューン・スタイルのシンセ音源。
波形は帯域制限されず、エイリアシングを生成。
内蔵のビットクラッシャーを使用することで、さらに騒々しくレトロなサウンドを作成できます。

また、複数の宛先と同期された8ステップステッパー/シーケンサーを備えおり、騒々しいスネアのようなステップからアンビエントサブまでカバー。
多くのシーンで重宝することでしょう。

ピッチ、ボリューム、カットオフ、共振、波形、ダウンサンプリングなど、いくつかのパラメータを自動化するために使用できる8ステップシーケンサを搭載。
波形をシーケンシングすると、初期のトラッカーやウェーブテーブルシンセサイザーを連想させるサウンドが生成されます。
各トラックは、右側のサイコロボタンを使用してランダム化することもできます。

カスタム波形エディタには、プリセットごとに32ステップと8つの波形スロットが装備。
波形を描画するには、エディタをクリックしてドラッグするだけの簡単操作なので初心者でも安心です。

AUDIOTHING MINIBIT – Supernice!DTM機材