おすすめのピッチ補正ソフト[記事公開日]2014年11月8日
[最終更新日]2022年03月31日

ピッチ補正ソフトは「ボーカルのピッチ(音程)をミリ単位で補正して整える」ために用いられます。主に音程を外したボーカルトラックの補正に使われますが、話題の「ケロケロボイス」や、「コーラス(ハモり)」の生成にも使用することが可能です。

このソフトは歌モノの楽曲をメインにするクリエイター、ボーカロイドを使った楽曲を制作するボカロP、自身の歌声を動画共有サイトに投稿する歌い手にもオススメ。無償配布されているものは少なく、基本的には市販されている有料の物を導入することになります。

数年前までは種類が少なくとても高価なソフトだったものの、最近はDAWにも付属されている他、リーズナブルな価格で導入できるエントリーモデルもラインナップされており、導入の敷居は大きく下がっています。歌モノをメインに据えている現代ミュージシャンにはほぼ必須のアイテムと言えるでしょう。

ピッチ補正ソフトで出来ること

オーディオのピッチを細かく補正できる

ボーカルを中心としたオーディオデータのピッチを簡単に補正することができます。使用するソフトによって操作が変わるものの、多くがオーディオを解析してMIDIデータのように表示し、音の一つ一つを上下にずらしてピッチを補正していきます。

補正はミリ単位で行うことができ、ほんの少しずらすだけで聞こえ方が変化します。性能の良い補正ソフトなら半音あるいは一音ほど音を外しても難なく補正することができ、仕上がりがとても自然なので、補正していることもわかりません。逆に性能の低いソフトは早い段階で音に違和感が生じる上、音質の劣化も顕著です。

ケロケロボイスに加工できる

現代のポップミュージックに用いられるボーカルエフェクトといえばケロケロボイスです。ケロケロボイスはAntares社の定番ピッチ補正ソフトであるAuto-Tuneで加工するのが一般的ですが、市販の他社製ソフトはもちろん、DAW付属のソフトでも作り出すことができます。

ハモりを簡単に生成できる

歌モノに欠かせないハモりもピッチ補正ソフトで生成することが可能です。やり方は簡単で、複製した主旋律のオーディオを補正ソフトで解析し、ハーモニーになるように上下にずらすだけ。ハモりをレコーディングする必要が無くなり、作業効率も大きく向上することでしょう。

ボーカル以外の楽器にも使える

ピッチ補正ソフトはリードギターなど、ボーカル以外の生演奏にも使用することができます。例えば、リードギターは正確にチューニングを行ってもピッチがずれてしまうことがあり、その場合は再レコーディングをしなければなりません。

ピッチ補正ソフトを使えばずれているピッチを簡単に補正できるため、わざわざレコーディングをやり直す必要がなくなります。そこまで大きなずれは無いものの、どうしても気になってしまうポイントがある場合に試してみると良いでしょう。

オススメのピッチ補正ソフト

Celemony MELODYNE 4

MELODYNE(メロダイン)は世界中のミュージシャン・エンジニアに愛用されている超定番のピッチ補正ソフトです。最新バージョンであるMELODYNE 4が2016年1月に登場し、その性能の高さが話題となっています。

MELODYNEはピッチだけでなく、フォルマントやタイミング、音量までも自由自在にコントロールできるのが特徴です。多少強引な補正でも違和感の無いサウンドに仕上げる高性能エンジンを搭載しており、その優れた音質は数あるピッチ補正ソフトの中でも最高峰と呼ばれています。

解析したオーディオはDAWのピアノロールにあるノート同様グラフィカルに表示。上下にスライドしてピッチを補正していきます。それに加えピッチがカーブで表示されており、どのポイントがどれだけずれているか瞬時に判断できるのも魅力です。

最新バージョンである4には楽器が持つ「倍音」をコントロールできる機能や、C3をカットする、D4をブーストするといった具合に「音階毎にイコライジング」できる機能、既にミックスダウンされた音源の「演奏や音色の調整」ができる脅威の機能も備えています。

ラインナップも充実していおり、全ての機能を搭載したプロユースのMELODYNE STUDIO、ほぼ全ての機能を搭載したハイアマチュア向けのEDITOR、スタンダードモデルのASSISTANT、そしてエントリーモデルのESSENTIALといった計4 種類の中から選ぶことができます。初心者からプロエンジニアまで、全てのユーザー層に対応するラインナップを用意しているのもポイントです。

Celemony MELODYNE 4 – Supernice!DTM

Antares Auto Tune 8

Auto TuneはMelodyneと肩を並べる業界標準のタイミング・ピッチ補正ソフトです。1997年に登場し、今現在も世界中のミュージシャン・エンジニアから愛用され続けている歴史あるソフトとなります。

Auto Tuneが注目を浴びた要因の一つに、1998年に発売されたアメリカの歌手、CherのBelieveという曲のヒットがあります。ボーカルに本ソフト用いたこの曲は全世界で1000万枚を売り上げる大ヒットとなり、それがきっかけで世界中のポップ系ミュージシャンがAuto Tuneを導入したと言われています。

そんなAuto Tuneにはピッチを設定したスケールに合わせて自動補正してくれる「オートマティックモード」と、ピッチをグラフィカルに表示して手動補正できる「グラフィカルモード」の2種類が用意されています。前者はボーカルのケロケロ加工に使い、後者は細かいピッチ補正に使うのが一般的です。

最新バージョンであるバージョン8はナチュラルな音質と優れた操作性が魅力で、Flex Tuneと呼ばれるオートマティックモード用の新機能が注目されています。

これはメロディが設定したスケールに近づいた時のみ自動補正を行う機能で、ボーカルをよりダイナミックに、より人間的に仕上げることができます。オートマティックモードによる自動補正は便利な反面、どうしても機械的なサウンドになりがちです。

Flex Tune機能を用いることでその機械感が軽減され、補正を感じさせないナチュラルな仕上がりになります。超低レイテンシーモードなど、ライブパフォーマンスにも使える機能が実装されています。

グラフィカルモードにはプロジェクトの再生中に編集が行えるエディットツールや、選択したピットのフィードバック、インターフェースのカスマイズオプションなどの機能を実装。さらに使いやすさが増しており、バージョンを重ねるにつれてより洗練されていることがよくわかります。

Antares Auto Tune 8 – Supernice!DTM

iZotope Nectar

iZotope Nectar

11種類のエフェクトを搭載、12のジャンルに分かれた110種類のスタイルから好みのサウンドを選択できるボーカル・プロセッシング・ソフトウェア。

ゲート、コンプレッサー、サチュレーション、 EQ、ディ・エッサー、リミッター、リバーブ、ディレイなどのエフェクターに加え。「ピッチ・コレクション」、息つぎ検知機能「ブレス・コントロール」、ボーカルにダブりを加えることができる「ダブラー」、暖かみを加える「サチュレーション」機能など充実。自動ピッチ補正と波形表示による手動補正も対応しています。

iZotope Nectar – Supernice!DTM


Waves Tune

Waves Tune

高級プラグインで有名なWAVESのボーカル補正ソフト。
単体としてだけでなく、同社のマルチソフト音源「WAVES Vocal」や「WAVES Transform」にもバンドルされています。

Tune が含まれるバンドル
Waves GOLD
Waves Diamond
WAVES Platinum
・WAVES MERCURY
・WAVES HORIZON
…他