DTMの総合情報サイト

俗にやまびこと称されるディレイエフェクト。残響を与えるリバーブと似た効果ですが、こちらは返ってくる音がしっかり聞こえるのが特徴です。リードギターの奥行きづくりから、ボーカルの馴染ませ、ダブミックスの飛び道具まで用途は幅広く、プラグインの選択肢も豊富。代表的な使い方と、2026年現在で入手しやすい主要な製品を整理して紹介します。
BBD(バケツリレー素子)を利用して、アナログで音の反復を作り出す方式のもの。反復する度に音色が劣化し良い具合に目立たなくなっていくため、音楽的なエフェクトとされています。フィードバック値を大きくすると発振を起こし、それが音楽的に使用されることもあります。
アナログなため本来はハードウェアでしかあり得ないものの、現在のエフェクトプラグインではそれをデジタルでシミュレートしたものも含めてアナログ・ディレイと呼んでいます。
デジタル的に音をそのままコピーして反復させるもの。音の劣化がなくそのままの音が返ってくるため、ダブリングなどには適していますが、同じ音色がそのまま返ると使いにくいことが多く、通常反復音にフィルターを掛けて高域や低域をそぎ落とすということが行われます。
フィルターはディレイプラグインそのものに付いていますが、場合によっては前後にEQを挟むということも行われます。音色は非常にクリアーで、デジタル系はその濁りの無さが好まれて使われます。
ディレイの始祖とも言うべき存在で、ループ状のテープから録音再生を繰り返す事で反復音を得るという構造のものです。反復音には単なる音質劣化に加え、テープが走行するために混入するノイズ、テープ自体の不安定さからくるピッチの揺らぎなどが加わり、非常に独特の効果をもたらします。
後述するダブミックスを行うエンジニアから、ディレイにうるさいロックギタリストにまで、もっとも原始的な存在でありながらも多くのミュージシャンから愛されており、シミュレートされたプラグインの数もその分膨大です。
ギターを弾く人にとってディレイはもっとも馴染み深いエフェクトの一つでしょう。リードギターにしっかりとしたディレイを掛けて奥行きを表現する、あるいはやや短めのディレイを掛け存在感を増す、といったような使い方が代表的な使用法となります。
その他にも極々短いタイムで掛けるスラップバックディレイ、8分音符のフレーズを16分音符のシーケンスのように聞こえさせる付点8分ディレイなど、特殊な使い方もしばしば行われます。
また、クリーントーンでのカッティングなどに猛烈な劣化具合でアナログディレイを掛けるというような手法もダブミックス(後述)では行われます。
ボーカルに使う場合、リバーブの補助のような位置で使われることが多く、主にテンポにシンクロさせたタイムを使用し、薄く掛けることでバックとの馴染みを良くするといった用途がほとんどです。
バラードなどでは空間の大きさを表現するために深めに掛けることもありますが、ギターなどと違い、ボーカルは非常にディレイの乗りが良く、かけ過ぎると悪目立ちしやすい傾向にあるため、あくまでも薄めにとどめておくのが基本です。
ただし、フレーズの最後の歌詞だけを延々繰り返させるなど、ディレイそのものの効果を表現として利用することもあり、そのような使用法では大胆に掛けることになります。
ドラムにも場合によってディレイが掛けられる場合があります。さすがにバスドラムに掛けることはほとんどありませんが、スネアドラムに薄く掛けることでダブルトラック的なサウンドを作り出したり、オーバーヘッドなど、シンバル類に掛けることでリバーブとは違った残響効果を狙うこともできるでしょう。
またテンポに合わせたディレイを上手く使えば、非常に面白いリズムトラックをディレイだけで作り出すことも可能で、例えばギターにおける付点8分ディレイはドラムにも応用可能です。
またフィードバック量をオートメーションで操作することで、有機的にリズムを変えていくなど、現代のDAWを使っての制作環境のなか、そのアイデアは無限とも言えるでしょう。
ダブ(Dub)とはダビング(Dubbing)を略したもので、既存の楽曲にディレイやピッチシフターなどを掛けることで、音響的に独創的なサウンドを狙って行われるミックスのテクニック。
元々は70年代ごろからレゲエのエンジニアによって使われた手法であり、既存の楽曲から一部のパートを敢えて抜いたり、過激なエフェクトなどを掛けることで、原曲の別バージョンとして作られてきたのが始まりです。
その後はエレクトロニカなどの電子音楽系のジャンルに飛び火し、現在では一つのミックステクニックとして定着しています。
ディレイはダブミックスの際にもっともよく使われるエフェクトの一つで、何度もディレイ音をフィードバックさせてその際に起こる劣化を利用したり、反復ごとに音程を変えていく、あるいは反復を逆再生するリバースディレイなど、様々な手法が利用されます。
テープエコー系の劣化の激しいディレイはこの用途に向いているため特によく利用され、フィードバックごとにピッチシフトを掛ける機能が付くプラグインなどもあります。このダブミックスで使われる対象の楽器としては、ドラムがもっとも多く、他にもギターや場合によってはボーカルに使われることもあります。
独特のトリップ感が存在し魅力的なサウンドではありますが、演奏のダイナミクスや微細な部分に拘らずに、音響的な気持ちよさやトリップ感などを最優先に作られるミックスであるためか、演奏を本分とするミュージシャンではなく、エンジニアやDJなどによって発展させられてきました。

リバーブの定番開発者として知られるValhalla DSPの完全無料ディレイ。アナログエコーのキャラクターに、Bode型の周波数シフターを組み合わせたユニークな設計で、フィードバックと同時にピッチをずらしていくことができます。
フランジング、バーバーポール、コーラスから、サイケデリックでカオスな飛び道具的サウンドまで広くカバーし、無料ディレイの中でも頭ひとつ抜けた存在。Valhalla DSPの音作りの手触りを知る入門用としても最適です。
ここからは有償ディレイプラグインの定番〜推し製品を紹介します。まず一覧で性格を比較してから、各製品の詳細を見ていきましょう。
タイプ列は「テープエコー/BBD(アナログ)/デジタル/ハイブリッド/特殊」を中心に、モデリング元となった実機があれば併記しています。
| 製品名 | タイプ | モデリング元・コンセプト |
|---|---|---|
| Valhalla DSPValhallaDelay | マルチ(テープ/BBD/デジタル/ピッチ) | 17モードを1本に統合 |
| UADGalaxy Tape Echo | テープエコー | Roland RE-201 Space Echo |
| WavesH-Delay | ハイブリッド | PCM42系のデジタル+アナログ感 |
| Native InstrumentsReplika XT | マルチ(5モード) | Modern/Vintage Digital/Diffusion/Analogue/Tape |
| IK MultimediaT-RackS Space Delay | テープエコー | Roland RE-201 Space Echo |
| ArturiaDelay TAPE-201 | テープエコー | Roland RE-201 Space Echo |
| ArturiaDelay BRIGADE | BBD(アナログ) | Electro-Harmonix Memory Man |
| ArturiaDelay ETERNITY | デジタル | オリジナル設計(フィルター+ピッチ) |
| AUDIOTHINGWires | 特殊(ワイヤーレコーダー) | 東欧軍用MN61ワイヤーレコーダー |
| AUDIOTHINGOuter Space | テープエコー | Roland RE-201(テープ3種+12モード) |
| SoundtoysEchoBoy | マルチ(30スタイル) | テープ/デジタル/ローファイ統合 |
| SoundtoysCrystallizer | 特殊(リバース/グラニュラー) | Eventide H3000「Crystal Echoes」 |
| D16 GroupSlate Digital Repeater | マルチ(23モデル) | テープ/オイル缶/Cooper Time Cube他 |
| FabFilterTimeless 3 | テープエコー寄りマルチ | サウンドデザイン指向ディレイ |

ValhallaDelayは同社の代表作のひとつで、テープからBBD、デジタル、ピッチシフト、リバース、ロウファイまで、17種類のディレイモードを1本に収めたフラッグシップディレイ。
Single/Dual/Ratio/Ping Pong/Quadの5つのStyleと組み合わせることで、シンプルなスラップバックから、複雑なリズミックパターン、揺らぎのあるアンビエントまで自在に作り込めます。
Diffusionによる滑らかなリバーブ的余韻、ビート同期、最大20秒のディレイタイムなど、現代的なディレイに必要な機能を一通り揃えており、無料のFreqEchoから本格運用にステップアップしたいユーザーにとって最有力候補となるでしょう。

ヴィンテージ・テープエコーの代名詞ともいえるRoland RE-201 Space Echoを、Universal Audioが緻密にモデリングしたプラグイン。
3基のプレイバックヘッドの組み合わせ、テープ走行のワウ/フラッター、内蔵スプリングリバーブのスプリングタンクまで再現し、サチュレーションの飽和感や発振寸前のフィードバック挙動を実機さながらに再現します。
Apolloインターフェースのアクセラレートはもちろん、UAD Nativeとしてホスト単体でも動作するため、Apolloユーザーでなくとも導入可能です。
UAD Galaxy Tape Echo – Supernice!DTM機材

アナログとデジタルのハイブリッドを信条とするWaves Hシリーズのディレイ。
Lo-Fiボタンやアナログモードによって、サウンドの質感を細かく調整でき、Waves PCM42系のフィルタリング、フランジング、フェージングまで内包。プリセットも豊富で、ノーマルなディレイとして1本持っておくと重宝するでしょう。
サブスクのWaves Creative Access Essential/Ultimateにも収録され、永続ライセンスのバンドル各種でも入手可能です。
収録バンドル製品:
WAVES Gold
WAVES Diamond
WAVES Platinum
WAVES HORIZON
WAVES Mercury – Supernice!DTM機材

定番バンドルKOMPLETEに含まれる多機能ディレイの拡張版。
Modern/Vintage Digital/Diffusion/Analogue/Tapeの5モードを切り替えられ、Single/Dualの構成や、フランジャー・コーラス・周波数シフター・ピッチシフター・マイクロピッチャーといった7種のモジュレーションも内蔵。
クリーンなデジタルディレイから、ぼやけたテープエコー、シネマティックな浮遊感のあるディレイまで1本でこなせるオールラウンダーで、KOMPLETEシリーズに含まれているため使用者も多い製品です。

DTM君「Replikaはとにかく取り回しが軽快で、ボーカルの薄掛けから、シンセに大胆なテープ感を載せる用途まで対応できるんですよね。KOMPLETEを既に持っているなら真っ先に開いてみてほしい一本です。」

ヴィンテージ・テープエコーの銘機、Roland RE-201 Space Echoを忠実にシミュレートしたディレイ。3基のプレイバックヘッド、可変スピードモーター、スプリングリバーブを内蔵し、12種のヘッドコンビネーションを実機同様に切り替えられます。
その上でパンニングの柔軟さ、ハイパス/ローパスフィルター、ダッキング機能など、現代の制作で求められる機能を追加。T-RackS 6本体にも収録されているため、マスタリング/ミックス用のIKエコシステムにそのまま組み込めるのも強みです。

DTM君「ディレイとしても優秀なんですが、ボクはディレイの成分をゼロにして『プリアンプ』として使うことがたまに、いや頻繁にあります。音が太くリッチになるんですよね。この使い方、是非試してみてください☆」
IK Multimedia T-RackS Space Delay – Supernice!DTM機材

ハードウェア・モデリングで定評のあるArturiaが手掛ける、Roland RE-201 Space Echoのプラグインモデリング。同社独自のTAEモデリング技術により、3基のテープヘッドとスプリングリバーブを組み合わせる12通りのモード、ヘッド毎の独立した再生レート、ピッチダブリングまで丁寧に再現しています。
原音を残しつつ揺れる質感を加える”色付け”用途から、フィードバックを上げてセルフオシレーションで音を増幅させる飛び道具まで対応。
Radiohead、Brian Eno、Lee “Scratch” Perryらが愛した質感をDAWの中で扱える1本で、Arturia FX Collectionにも収録されます。

Electro-Harmonix Memory ManをモチーフとしたBBD(バケツリレー素子)方式アナログディレイのプラグイン化。
TAE/PhiモデリングでBBDの劣化したフィードバック、コーラス/ビブラート用のLFO、サチュレートしたヘッドルームまで再現し、ローファイで温かい雰囲気のディレイを得意とします。
実機にはなかったDAW同期、EQ、モジュレーション・アサインなどの現代的な機能も追加されており、ギターのスラップバックから、シンセに揺らぎを足す用途まで活躍。Delay TAPE-201と組み合わせると、テープエコーとBBDで音色のキャラクターを使い分けられます。

Arturiaがゼロから設計したオリジナルのデジタルディレイ。
多彩なフィルター、ピッチシフター、リバースなどを組み合わせ、シンセサイザーのように”音作り”までを行えるところが特徴で、テープエコーやBBDを再現した姉妹機(Delay TAPE-201/Delay BRIGADE)とは異なる方向性のサウンドを提供します。
グリッチ的なリズミックパターン、シマー風のキラキラした残響、極端なピッチシフトディレイなど、3本のArturiaディレイの中ではもっとも実験的な使い方に向く存在。すべてArturia FX Collectionに収録されており、3製品セットで導入できるのも魅力です。
Arturia FX Collection – Supernice!DTM機材

東欧で軍用に開発されたMN61ワイヤーレコーダーを再現したユニークなプラグイン。実機はテープではなく磁気ワイヤーを記録媒体とするレコーダーで、録音再生という本来の使用法からかけ離れた場所で前衛的なミュージシャンによって使われてきた歴史を持ちます。
ローファイなノイズと、独特の音質劣化によるサウンドの揺れが加わり、テープエコーともBBDとも異なるサウンドキャラクターを得られるのが魅力。使いどころは限られますが、はまったときの存在感は唯一無二で、サウンドデザインの飛び道具としても重宝します。
AUDIOTHING Wires – Supernice!DTM機材

70年代初期の有名なテープエコーをシミュレートしたディレイ。テープの種類はOriginal/Modern/Oldの3種を切り替えられ、それぞれ異なる音質のディレイを演出可能です。
再生ヘッドは3基あり、それぞれにボリュームとパンを設定可能。フィルターやダッキングのコントロールに加え、テープの回転数に応じたピッチ変化を再現するなど、緻密なシミュレートが特徴。
2023年のv2.0でインターフェースが刷新され、12種のエコー/リバーブモード、最大16倍オーバーサンプリングなど現代的な仕様にアップデートされています。ダブミックスからエレキギター、シンセまで幅広く活躍する一本です。
AUDIOTHING Outer Space – Supernice!DTM機材

業務用クオリティを謳うSoundtoysのディレイ。スタジオクオリティのデジタル・ディレイから、テープエコー、ローファイディレイ、Ampex ATR-102モデリングのテープサチュレーションまで、シンプルな操作系の裏に30種類ものスタイルを内包しています。
最大の特徴は楽曲のテンポにシンクロさせた上で走り気味/タメ気味のリズムの揺れを設定したり、拍ごとにディレイ音のアクセントを付ける「Groove」「Feel」「Accent」コントロールで、有機的にグルーブ感を演出できる点。
EQ、モジュレーション、サチュレーターなど音質を調整する部分も万全で、プリセットも膨大。他のどんなディレイとも一線を画す音楽的なディレイとして、長年プロエンジニアの定番に居続けています。

80年代以降のヒット曲で耳にするEventide H3000ディレイマシンのプリセット「Crystal Echoes」を再現したプラグイン。Soundtoysの創業者陣はもともとEventideでH3000の開発に関わっており、その手による”本家”再現プラグインとも言える存在です。本質的にはリバースディレイの一種ですが、デチューン・エコーやピッチシフトを併用することで、グラニュラーシンセのようなキラキラと揺らめくサウンドを得られるユニークな製品。任意の幅でサウンドをスライスし、それをリバースさせたり、ピッチシフトさせたりすることで、トリップしたようなサイケなサウンドから、パッドのような浮遊感まで様々な表現が可能。通常のディレイとしても優秀で、ドラム専用のプリセットフォルダもあり、多彩な楽器に応用できます。

D16 GroupとSlate Digitalの共同開発によるディレイ。通常のデジタルディレイを始めとし、テープエコー、オイルカン・ディレイ、Cooper Time CubeやLexicon PCM 42系まで、過去70年間に開発された23種類のヴィンテージディレイモデルを1本に収録しています。
ステレオのチャンネルごとにドライ/ウェットの設定はもちろん、独立したフィルター、フィードバック・モジュレーションなどを持ち、ヒップホップやレゲエなどへ特に高い適性を持ちながらも、収録されたディレイの種類は屈指で、あらゆるジャンルに使える多機能さを備えています。
SLATE DIGITAL Repeater Delay – Supernice!DTM機材

定番の地位を確立しているFabFilter製のテープエコー系ディレイ。
同社の他製品同様、視認性の高いインターフェースを持ち、シンセサイザー並みのモジュレーション、ダッキング、ワウ、フラッター、ディフュージョンのコントロールなど、サウンドを変質させるための機能を網羅。単なるディレイを超えたサウンドデザインツールとして機能させることが可能です。
しかしそのサウンドの本質はヴィンテージなサチュレーションを持ったアナログエコーであり、音楽的にも好ましく優れたところはさすがの一言。ノーマルなディレイとしても、ダブミックスのツールとしても、リズミックな飛び道具としても、あらゆる用途で活躍します。
FabFilter Timeless 3 – Supernice!DTM機材
残響を与えるエフェクトとしてはリバーブと並んでよく使われるため、有料の高品質なものを揃える価値が高いのがディレイです。DAW付属のものに物足りなくなったら、テープエコー系、BBD系、デジタル系、リバース系といった得意ジャンルから自分の制作スタイルに合うものを選んで導入してみるのが良いでしょう。
プラグインの売れ筋を…
Sサウンドハウスで探す
R楽天で探す
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。
2024/12/9
2022/1/22
2024/4/29
2024/11/9
2024/9/2
2022/2/13
2026/5/5
2025/3/2
2015/10/16
2025/4/1
2023/5/28
2024/5/22
