《音作りの万能調味料》おすすめのリバーブプラグイン[記事公開日]2021年4月29日
[最終更新日]2021年05月8日

リバーブプラグイン

リバーブは音源に残響を付加するためのもので、音楽制作には必要不可欠なものです。コンプレッサー/EQと並んで使用頻度が高く、あらゆる楽器に使用し、その種類も豊富です。音質の差が最終ミックスに出やすいエフェクトで、購入の価値が感じられるエフェクトプラグインの一つでしょう。ここではその使い方から、おすすめのプラグインまでを紹介します。

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DTM君「リバーブは複雑でわかりにくいパラメータが多く、あまり考えずに何となく使ってしまいますよね。最近のプラグインでは、ボーカル用/ギター用/ドラム用と楽器毎に最適なプリセットが用意されています。はじめは楽器にあったプリセットを選択し、それを少しずつ編集していくという使い方で大丈夫ですよ。」

リバーブプラグインの使い方

アンビエンスを加える

現代では、クリアな音源を作るために最大限まで反響を抑えて録音するのが一般的です。そのようにして録音された音源は完全にドライな状態となっており、そのままでは不自然になるため、最低限の反響を加えてやる必要があります。そのために使われるリバーブはルームやスタジオタイプが一般的で、リバーブタイムも短めに軽く掛けることになります。

楽器の空間的距離を調節する(奥行きをつくる)

リバーブが掛かっている感覚がしっかりと得られるのは、この目的で掛けられている場合です。空間の演出のために使われるリバーブで、バラードなどで広がりのある空間が感じられるのは、ホールや教会などの大きな空間の濃密な響きが足されているため。逆にスピーディな曲では減衰を早めにして、タイトに掛けることで、リバーブが楽曲の邪魔をしないようにセッティングされます。

各パートの空気感を纏める

別々に録音された楽器や歌を、あたかも一つの部屋で演奏しているように聴かせるためには、響きの統一が必要です。そのためにもリバーブが使われます。ルームや小さめのホールなどが一般的で、楽器によってセンド量に若干の差が設けられます。

リバーブを使う時の注意点

低音のだぶつき

リバーブは掛ける楽器数が多いほど、不必要にうるさくなりやすく、特に多すぎる低音はミックスの破綻につながります。そのため、リバーブの前や後にEQを挟み、そこで低音をカットする方法がよく使われます。またリバーブプラグインの設定項目にダンピングなどのEQ項目が含まれていることも多く、そこでも同じような効果を得ることができます。

かけ過ぎ注意

濃密なリバーブは気持ち良く響くため、ついついかけ過ぎてしまいがち。ですが残響が過ぎて、コードの響きが曖昧になってしまったり、楽器のアタック成分が犠牲になってしまっては、良くありません。音源を繰り返し聞きながら適量を見極めましょう。

リバーブのパラメータの解説

Type:リバーブの種類を決定。下記参照。
Predelay:リバーブ音が原音からどれぐらい離れて響き出すかを調整。リバーブの強弱に大きく関わります。
Time:残響が鳴っている時間をコントロールします。
Size:空間の大きさを設定。大きいほどスケールの大きい響きになります。
Diffusion:響き音の拡散具合を設定。上げると残響音が中央に寄っていき、下げると乱反射するように拡散します。
Decay / Tail:残響音の減衰時間を設定。上げると響きが長く続き、下げるとすぐに減衰して消えます。
Wet / Mix:エフェクト音と原音との割合を設定。リバーブは通常センドで掛けるため、100%で問題ありません。

リバーブの種類

歴史的に様々なリバーブが登場しましたが、現在ではそれらがほぼ全てシミュレートされており、プラグインとして使うことができます。

ルーム

部屋の鳴りをシミュレートしたもの。空間も狭いため、響きの時間は短めで、それぞれ別々に録音されたトラックを馴染ませるためには必須のものです。似たタイプのものとして、Studioなどもこの中に入ると見て良いでしょう。

ホール

ホールの鳴りをシミュレートしたもので、小ホールから大ホールまで、様々なものがあります。音楽的に彩りを加えるためのリバーブとしては効果的で、特にバラードなどには最適。その他、反射が大きく巨大な空間を再現したものとしては、教会やトンネルなどのタイプも存在します。

プレート

歴史的に見ても最初期のリバーブで、鉄板に向けて音源を鳴らすことで、その鉄板が共鳴し、金属的な響きを得ることができるというもの。当時は鉄板を実際に運んでいたようですが、現在ではプラグインでシミュレートされているものが一般的。響きが美しいため、今でもボーカルに使用されることが多いリバーブです。

スプリング

バネを張ったリバーブタンクに信号を通し、バネを伝って跳ね返ってきた音を原音に加えて作り出すリバーブ。バネの振動はしばらく続くため、それにより残響が得られ、独特の金属的な質感を得ることになります。ギターアンプに搭載され、サーフミュージックなどでは特によく使われました。通常のミックスで使われる場合は、その独特な質感が必要な時のみでしょう。

シマーリバーブ、その他

シマーリバーブは、高品質ギターエフェクターを生み出すブランドstrymonが作り出したリバーブ。残響音にピッチシフトでオクターブ上の音を重ねることで、えも言われぬ非現実的で幻想的な空間を生み出します。

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昨今このように非現実的な空間を作り出せるリバーブが増えており、宇宙的な響きを生み出すEventide Blackhole、残響のサウンドを積極的に編集できるZynaptiq ADAPTIVERBもそのような特徴を持ちます。またAbleton Live11に付属するHybrid ReverbはIRリバーブと従来からのアルゴリズムリバーブを混成させて新たな響きを作るという、デジタルならではの独自の機能を持ち、オリジナルのリバーブを簡単に得ることができます。

このような非現実的な空間を作るリバーブは、通常のルームやホールのリバーブとは違い、多くは音作りのための積極的なツールとして使われます。残響そのものがサウンド的に大きな役割を担い、楽曲のためになくてはならない要素として働きます。

コンボリューションリバーブとは?

実際の場所の響きをデータとして参照し、そこから残響を得るリバーブ。場所の響きをサンプリングしたデータはIRデータ(Impulse Response)と呼ばれるため、IRリバーブ、サンプリングリバーブなどとも呼ばれます。実際の場所がモチーフとなるため、有名なホールやスタジオ、教会、あるいは峡谷や渓谷などの屋外に至るまで、実在の場所をサンプリングしたデータがIRデータとして販売されています。

現在ではさして珍しい存在ではなく、Logicの「Space Designer」やCubaseの「REVerence」など、DAWソフト付属のリバーブにもコンボリューションリバーブが搭載されているのが普通。演算が複雑なため、CPUの負荷が高いのがデメリットです。IRデータは通常のリバーブのほか、ギターアンプのキャビネットシミュレーターなどにも使用されています。

おすすめのリバーブプラグイン

リバーブは、主要DAWソフトウェアには必ずといっていいほど付属されているプラグインです。例えばLogic Pro XではChromaVerb、EnVerb、Space Designerなど複数のリバーブが用意されており、あらゆる楽器に対応できます。しかし音質のクオリティが高くプリセットが豊富な有償プラグインはやはり別格。独自の残響空間/こだわりのリバーブサウンドは別途求めなければなりません。

ここからは有償で手に入るおすすめのリバーブプラグインを見ていきましょう。
まずは自分の作る音楽のジャンルに合ったもの、あるいは設定や編集ができそうかどうか、という辺りから選んでみると良いでしょう。ミックスに時間を掛けたくないという場合は、AI機能が付いたものを選んでみるというのも一手です。

WAVES Renaissance Reverb

WAVESのRenaissance(ルネッサンス)シリーズに位置するリバーブ。シリーズ内の有名なEQやAXXに比べると、少し知名度は落ちますが、旧き良きヴィンテージサウンドに、とっつきやすいクラシカルな操作性が合わさって、大変使いやすいリバーブとなっています。ほとんどのパラメータは定番のものばかりですが、ダンピングなどを使い、残響成分の質感をコントロールできるのは強み。リバーブタイプも王道のものが12種と、必要十分に揃っており、初心者にも特におすすめなプラグインです。

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iZotope R4

現在iZotopeの傘下となったExponential Audio社がリリースしていた最高級リバーブ、クラシカルなハードウェアリバーブが持つ暖かみのある質感をDAW上に再現し、WarpやFreezeなどの飛び道具系エフェクトをもフィーチュアした多機能な製品です。質感はハードウェアのものを踏襲しながらも、残響のテール部分を制御したり、テンポとの同期などはソフトウェア製品ならではの特徴。多岐に渡るパラメータは扱いが難しいものの、1200ものプリセットを持ち、欲しいものはその中にほぼ存在しているはずです。

iZotope Neoverb

iZotope社がその傘下に収めたExponential Audioの技術を取り込んで、アレンジして作り上げた、同社の看板となるリバーブ。3種のリバーブを合成し、空間を作り上げるBlend Padを筆頭に、入力信号とリバーブそのものに別個でEQを掛けられる機能、そしてそれら全てを細かく調整できる多数のパラメータがセットとなっています。中でも綿密に掛けられるEQ機能は、リバーブによる低音のだぶつきなどを制御するために有効です。iZotopeの代名詞とも言える、AIによって自動でリバーブを作り出すアシスタント機能を持っており、操作が複雑な割に誰でも使えるところも見逃せない点でしょう。

iZotope Neoverb – Supernice!DTM機材

FabFilter Pro-R

昨今爆発的な人気を誇るFabfilterのリバーブ。ルームモデルにはアンビエンスルームから教会までをカバーし、音の明暗をコントロールするBrightness、ミックス後の調整ができるPostEQの搭載など、通常リバーブとして必要なほぼ全ての要素を搭載。とりわけFabfilter プラグインの特徴である、ずば抜けた視認性の良さはこの製品でも魅力で、複雑なパラメータとそれに伴う質感の変化が掴みにくい、リバーブエフェクトの編集をわかりやすくアシストしてくれます。音は素直で爽やかであり、原音の良さを引き立ててくれるため、あらゆるソースに無理なく使うことができます。

FabFilter Pro-R – Supernice!DTM機材

Zynaptiq ADAPTIVERB

反射に依存しないという、従来のリバーブとは異なるメカニズムによる残響を生み出す革新的なプラグイン。反響に伴う音の濁りから逃れているため、リバーブにつきものの音のだぶつきなどが皆無で、原音の明瞭さを保ちます。フィルタリングやエフェクトなどを駆使することで、非現実的な空間も簡単に作ることができ、シンセがメインとなる音楽には特に好相性。通常のリバーブには見られない、ややこしいパラメータの名前が並びますが、実際に音を聴きながらの設定は思うよりも簡単に行え、プリセットも独創的なものを含み、膨大に用意されています。

Zynaptiq ADAPTIVERB – Supernice!DTM機材

Nugen Audio Paragon

7.1chサウランドにまで対応する業務用のリバーブプラグイン。IRデータの再合成を行い、3D空間を緻密に編集して残響を発生させるという、他のコンボリューションリバーブに見られない技術で作られています。通常のリバーブに見られるパラメータの他、LCRの3箇所と左右バックに位置するLsRsの5箇所を動かすことで空間を編集可能。IRデータも直接エディットでき、その編集能力はあらゆるリバーブプラグインの中でも屈指。あらかじめ音源ソースがセットしてあり、すぐさまプレビューできたりするところもユーザーフレンドリーな設計です。

Nugen Audio Paragon – Supernice!DTM機材

UAD EMT 140 Plate

UADプラグイン

1950年代にドイツで開発され、60~70年代にあらゆるスタジオで使われたプレートリバーブの銘機EMT140をシミュレートしたプラグイン。導入するためには、Universal Audioのハードウェアを使ったUAD-2システムを構築しなければならず、ハードルはかなり高いものの、その繊細な質感と美しさは他の追随を許さない完成度を誇ります。ややわかりにくいユーザーインターフェースが採用されており、自在に扱えるようになるためにはそれなりの慣れも必要ですが、その価値が十分にあります。すでにUADのオーディオインターフェースを使用されている方には、真っ先におすすめしたいプラグインです。

sonible smart:reverb

前述したiZotope Neoverb同様、AI機能による自動セッティングを軸とした新世代リバーブ。sonible smartシリーズはいずれもAI機能を最大の特徴としており、その部分に非常に力を入れて作られていますが、このリバーブも例外ではなく、実際にソースを聴かせることで学習させ、そこから的確なセッティングを呼び出します。その後の微調整もXY軸のグラフ上をドラッグし、持続時間を決めるだけと簡単。複雑なパラメータを一つずつ探ることなく、理想的なリバーブを見つけることができます。

sonible smart:reverb – Supernice!DTM機材

Eventide Tverb / SP2016 Reverb

Tverbは1977年に送り出されたデヴィッド・ボウイ「ヒーローズ」のサウンドがモチーフとなり、開発されたプラグイン。開発に携わったトニー・ヴィスコンティの名を取ってTverbと名付けられました。その内実は独創的なルームリバーブで、コンプレッションと指向性を操作できるマイク1、ゲートを備えたマイク2、3の、計3本のマイクで作られるスタジオ空間内の残響をシミュレートしたもの。実際にスタジオで得られる残響から、現実には難しいセットアップまで、多彩なセッティングが可能で、無限の室内残響空間を作り出すことができます。

SP2016は同社が1982年に送り出したラック型ルームリバーブを、ソフトウェアとして現代に蘇らせたモデル。オリジナルと同じフェーダー状のパラメータは、MIXやEQを除くと基本的な4種類のみとなっており、シンプルに音像を作れるようになっています。その中でもPositionという設定項目は特筆すべきで、立ち位置を前後に動かしたときの残響の変化をシミュレートし、奥行きをこれ一つで制御できるよう、絶妙にチューンされています。地味なインターフェースですがシンプルなだけに使いやすく、世界中のスタジオで使われた銘機だけに音質は折り紙付き。初心者から上級者まで幅広くおすすめできるプラグインです。

Eventide SP2016 Reverb – Supernice!DTM機材

Eventide H9 plugin series

複数の空間系エフェクトなどをまとめたギター用マルチエフェクターとして著名なH9。H9はシリーズとして個別にプラグインとなっており、その中には独創的なリバーブが数種類含まれています。いずれも一癖あるものばかりで、ただの残響用エフェクトではなく、音を積極的に作っていく目的で使われます。すべてのプラグインに複数のパラメータを一挙に動かすRibbonという機能を備え、リアルタイムで質感を激変させることができ、制作のみならずライブでの使用も前提に置かれています。

ShimmerVerb

ピッチシフターはEventideのもっとも得意とする分野のエフェクトであり、それを残響に適用したこのシマーリバーブも、高い完成度を誇ります。ピッチシフターの信号は自由に発生を遅らせることもでき、テンポとの同期も可能です。

Eventide ShimmerVerb – Supernice!DTM機材

Blackhole

公式に銀河系サウンドと名が付いており、一見してもどのようなサウンドが判別が難しいリバーブ。実際には残響にモジュレーションやドローン効果を加え、Gravityコントロールによって減衰音を反転させるなどの処理で宇宙的なサウンドを生み出しているものです。その独創的なサウンドは大いに魅力的で、創作意欲を掻き立ててくれること間違いないでしょう。

MangledVerb

リバーブとディストーションが一体化するという、非常に興味深いエフェクトプラグイン。奥行きを与えるリバーブ成分のおかげで、通常のディストーションに比べ品がある歪みが特徴です。Overdrive部分を切ることで通常のリバーブとして使うこともできます。

Spring Reverb

ヴィンテージのギターアンプなどに搭載されたスプリングリバーブをシミュレートしたもの。減衰周波数を変更することで現実には難しいサウンドを作れるところなど、単なるシミュレートにとどまらない現代的な要素も含んでいます。


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