DTMの総合情報サイト

宅録経験者であれば、すでにオーディオインターフェイスをお持ちかと思います。手持ちのインターフェイスの入力端子はおそらく1〜2系統、ギターやボーカルの録音、宅録でモニターミックスを複数作る程度であれば4チャンネル前後で十分まかなえる範囲です。
一方、ドラムを含むバンドの一斉録音、緻密な打ち込みフレーズを同期させたライブ、マニピュレーターとして演奏メンバーの一員になりサウンドを統括する場合などには、8チャンネル以上の入出力を備えたモデルが必要になります。
このページでは、8系統以上のアナログ出力を搭載したマルチチャンネル対応オーディオインターフェイスにフォーカスして、選び方と現行モデルを整理します。
まずは目的の用途に合わせて、必要なチャンネル数を見積もりましょう。購入後にチャンネル数の増設はできないため、ここでの判断がそのまま使い勝手を左右します。
大規模なインターフェイスはコンピューターからミキサーとして制御するのが普通なので、ミキシング用付属ソフトの完成度も重要なポイント。また、最近のハードウェアはどれも高品質ですが、マイクプリの仕様(搭載数・ゲイン量・歪み感)は特にしっかりチェックしておきたいところです。
バンドのレコーディングでは、ドラムを録るか否か、全員で一斉に録音するかどうかで必要な入力数が大きく変わります。ドラム以外の楽器はせいぜいステレオ入力があれば事足りますが、ドラムを丸ごと録ろうとすると、ざっと数えても以下の通り。
最低でも8系統、さらにスネア裏/ハイハット/ライド/チャイナまでマイキングするなら10系統以上が必要です。
8チャンネル入力はあくまで最低限と考えるべきで、しかも8本のマイクを立てる前提なら、ライン入力ではなくマイクプリを介したマイク入力8系統が要件になります。
オケや効果音、シーケンスフレーズをDAWからリアルタイムに走らせるライブ運用では、メインのステレオ出力に加えて、各パートを個別に送り出すための出力が必要になります。
クリックはドラマー専用のヘッドフォン送り、シンセや同期音色はPAミキサーの個別フェーダーへ、エレドラなどはサブミックスへ、といったルーティングを組むには8系統以上の出力が前提です。
SMPTEやMTC、Abletonのlink機能で他機材と同期させながら走らせるケースでも、フリーズトラックの増加と比例して出力数が要求されるため、ステージ規模と曲構成にあわせて余裕を持ったチャンネル数を確保しましょう。
マニピュレーターは、ステージで必要なサウンドをリアルタイムに流して支える裏方プレイヤーです。クリックやエレドラ、シンセベースなどを束ねてバンドの音を成立させる役割で、近年はステージ上に立ってDJのように効果音やトラックを足していくケースも増えてきました。
DAWソフトとMIDIパッド、そしてマルチチャンネル出力のオーディオインターフェイスが必須装備となります。
この場合のインターフェイスは、鳴らす音色/パートの数だけ出力が必要になります。エレドラ1セットでもキック・スネア・金物で4チャンネル、そこへベース・クリック・スクラッチが乗れば7チャンネルというように、すぐ8系統前後を消費します。
どのような音楽を扱うのかをイメージしながら、出力数に余裕を持たせて選びたいところです。
TASCAM US-16×08のLINE OUT端子。アナログ出力端子が8つ搭載されている。
カタログに「8チャンネル出力」と書かれていても、純粋なモノラルジャック×8とは限りません。ヘッドフォン端子を2チャンネル分として数えていたり、デジタル端子(オプティカル/コアキシャル)を含めた合計値として表記されていたりするケースが多々あります。
ハーフラックサイズで16ch出力などの表記がある製品は、ほぼデジタルチャンネルを含んだ合算値です。アナログのみで何系統あるのかはスペック表と本体写真の両方で必ず確認しましょう。入力側も同様で、特にマイクプリ搭載のマイク入力数はチェック必須のポイントです。
デジタル端子には、光ファイバーケーブルで伝送する四角いオプティカル端子と、通常のRCAピン形状のコアキシャル端子の2種類があります。送受信できるフォーマットは複数ありますが、オーディオインターフェイスで遭遇するのはほぼS/PDIFとADATの2種類に絞られます。
S/PDIFは1980年代前半にソニーとフィリップスが共同開発した規格で、後にIEC 60958 type IIとして標準化されました。1本のケーブルで2系統の音声(通常はステレオLR)を伝送できる仕組みで、コアキシャル端子の伝送はほぼこの形態です。
ADAT(エーダット)は、1992年に登場したAlesis社の8トラックレコーダー(ADATレコーダー)で採用された光オプティカル伝送方式「ADAT Lightpipe」が規格名として定着したもの。
Lightpipeは24bit/48kHzで8チャンネルを1本のオプティカルケーブルで送れるため、オーディオインターフェイスのオプティカル端子はほぼADAT対応です。ADAT端子が1系統あれば入出力8チャンネルが追加できる計算となり、ADAT出力を持つマイクプリアンプを増設したり、対応ミキサーへチャンネル単位で送出したりと運用の幅が大きく広がります。
サンプリング周波数を上げる代わりにチャンネル数を半減させるS/MUX(マルチプレクサ)にも触れておくと、88.2/96kHzでは4ch、176.4/192kHzでは2chへと圧縮される仕様で、ハイレゾ運用時のチャンネルプランニングに直結する重要な仕様です。
ここから紹介するのは、アナログ8out以上を備えた現行クラスのマルチチャンネル機。マイクプリ搭載数・DSPの有無・ADAT拡張余地という3軸で見比べると、自分の用途に必要なグレードが見えてきます。
| モデル | アナログ入出力 | マイクプリ | 最大サンプリングレート | DSP |
|---|---|---|---|---|
| TASCAMUS-16×08 | 16in / 8out | 8基 | 24bit/96kHz | なし |
| FocusriteScarlett 18i20 (4th Gen) | 8in / 10out(+ADAT/SPDIF) | 8基 | 24bit/192kHz | なし |
| PreSonusStudio 1824c | 8in / 10out(+ADAT/SPDIF) | 8基 | 24bit/192kHz | なし |
| MOTU828 | 11in / 12out(+ADAT/SPDIF) | 2基 | 24bit/192kHz | 24chミキサー |
| RMEFireface UCX II | 8in / 8out(+ADAT/SPDIF) | 4基 | 24bit/192kHz | TotalMix FX |
| SSL 18 | 18in / 8out(+ADAT/SPDIF) | 4基(4K) | 32bit/192kHz | SSL 360° |
| Universal AudioApollo x8 Gen 2 | 8in / 8out(+ADAT/SPDIF) | 4基(Unison) | 24bit/192kHz | HEXA Core UAD |
| AntelopeDiscrete 8 Pro Synergy Core | 14in / 16out(+ADAT/SPDIF/MADI) | 8基(ディスクリート) | 24bit/192kHz | Synergy Core |

コストパフォーマンスが光る1Uラックサイズのモデル。マイクプリ付きXLR入力8系統+ライン対応フォン入力8系統で計16入力、出力は8系統、加えてMIDI in/outも装備しています。この価格帯で高品質マイクプリを8基搭載するモデルは希少で、ドラムレコーディングやハードウェアシンセの大量接続を1台でまかなえます。
専用ソフトウェアではコンピューター制御のミキサーをコントロールでき、レベル調整はもちろん、各チャンネルにコンプレッサーとEQを内蔵した本格的なミキサー設計。PCに接続していないスタンドアロン動作時にもマイクプリのみを利用できる柔軟性も魅力です。
特徴的な筐体デザイン(ハニカム構造のサイドパネル、卓上で見やすい角度のフロント)は、ドイツ人デザイナー Axel Hartmann氏が1995年に共同創業したデザイン事務所「designbox」が手掛けたもの。iPadなどのiOSデバイス接続にも対応し、Apple純正のLightning-USBカメラアダプタやUSB-C接続を使うことでモバイル環境でも8入力のマイクプリ群をそのまま活用できます。
TASCAM US-16×08 – Supernice!DTM

オーディオインターフェイス最大手Focusriteの上位機。2024年に4th Genへと刷新されたScarlett 18i20は、18in/20out(アナログ・デジタル合算)の1Uラックサイズで、アナログ入力8系統+出力10系統、ADAT入出力8ch、S/PDIF入出力2chを備えています。4th Genでは入力ダイナミックレンジが120dB台に引き上げられ、約69dBの広いゲインレンジ、入力レベル超過を未然に防ぐAuto GainおよびClip Safe、トークバック用マイク内蔵、A/Bスピーカー切り替えなど、現場運用を意識した機能が大きく拡張されました。
同梱のFocusrite Controlでは簡易ミキサーを構築でき、バンドルにはPro Tools Intro+、Ableton Live Lite、Pro Tools Artist 3ヶ月、Splice Sounds 3ヶ月、Auto-Tune AccessやMelodyne Essential・Addictive Drums 2・MASSIVEなどを含むHitmaker Expansion Bundle、Landrのマスター無料5回といった大型パッケージが付属。ADATはS/MUX対応で、48kHzで8ch、88.2/96kHzで4chと、ハイレゾでも拡張入力を活用できます。
FOCUSRITE Scarlett 18i20 (4th Gen) – Supernice!DTM

DAWソフトStudio Oneを開発するPreSonusの大型インターフェイスで、18in/24outを謳う1Uラックサイズの本格機。Scarlett 18i20と入出力構成・ルックスがほぼ同等の競合製品で、出力数が4系統多く見えるのはヘッドフォン出力をカウントに含めているためです。
スペック面の差は接戦ですが、同梱ソフトの構成で性格が分かれます。Scarlettがバンドルプラグイン側に強い一方、Studio 1824cはStudio One Artistが付属し、Studio Oneユーザーにとってのワークフローの一体感は強力。同社のFAT Channel風プラグインやStudio Magicバンドルなどミックスの即戦力ソフトもまとまっており、Studio Oneを軸に据えるなら自然な選択肢となります。
PreSonus Studio 1824c – Supernice!DTM

MOTUの定番828シリーズが2024年にフルリニューアルされた最新版。USB 3.0/2.0 ハイスピード接続で、計60チャンネルのI/O(うちアナログ11in/12out、ADAT・S/PDIF・ヘッドフォンを含む)を扱える汎用ハイエンド機です。
マイクプリは2基ですが、ADAT入力をフル活用すればドラムレコーディングにも対応可能です。
ESS Sabre32 DACによる125dBダイナミックレンジ、フロントには3.9インチのカラータッチスクリーンを搭載し、本体単独でレベル監視やルーティング切替が行えます。
内蔵DSPには24インプットの本格ミキサー+7バンドEQ・ゲート・コンプ・リバーブを装備しており、レイテンシーを気にせずモニターミックスを構築できる点もMOTU 828系の伝統を継承しています。
MOTU 828 – Supernice!DTM機材

業務用機材で絶対的な信頼を得ているドイツのRMEが手がける、ハーフラックサイズのハイエンド機。
アナログ8in/8outに加え、ADAT・S/PDIF・AES/EBUを備えた20in/20outの構成で、コンパクトでありながらADAT 8ch拡張でドラムレコーディング相当の入力数を確保できます。
24bit/192kHz対応、4基のマイクプリは75dBの広いゲインレンジ、PADなしでクリーンに増幅できる設計が特長。
SteadyClock FSによる超低ジッターのクロック性能、USBメモリへ直接マルチトラックレコーディングできるDURec、強力なルーティングミキサー「TotalMix FX」など、出張現場でもスタジオでも妥協のない運用ができる1台です。
RME Fireface UCX II – Supernice!DTM機材

伝説的なミキシングコンソール「SSL 4000」「9000」「Origin」の設計思想を受け継ぐSolid State Logic製のラックマウントUSB-Cインターフェイス。
アナログ18in/8outに加え、ADAT入力16ch・S/PDIF・MIDI in/outを備えた26in/28out構成で、32bit/192kHz対応の高精細なオーディオ品質を実現しています。
4基のマイクプリには名機SSL 4000由来の「Legacy 4K」モード(高域のエア感とハーモニックサチュレーションを付与)を搭載。スタンドアロン動作にも対応し、ハードウェアモニターコントロール用ノブとしても優秀です。
ソフトウェアミキサー「SSL 360°」、SSL 2 MIDI Padプラグイン、SSL Production Pack(SSL Native VocalstripやChannel Strip 2等、SSLの定番プラグイン)が同梱されるバンドル価値も大きく、SSL系プラグインを使い込みたいユーザーにとっては魅力の高い選択肢です。

内蔵DSPでコンピューター負荷を抑えて高品質UADプラグインを走らせられる、Universal AudioのApolloシリーズ上位機。2024年10月にApollo X Gen 2へと全面刷新され、x8 Gen 2はHEXA Core UAD DSPを搭載した8入力のラックモデルとして引き続きラインナップの中核を担っています。
マイクプリ入力は4系統で、各chに搭載されたUnisonテクノロジーによりNeve・API・SSLなどのヴィンテージプリアンプを高精度にエミュレート可能。ギターを繋ぐためのHi-Z入力、ライン入力を含めアナログ入力は計8系統、アナログ出力は8系統に加え、ADATオプティカル入出力(S/MUX対応で最大8ch)とコアキシャルS/PDIFを装備します。さらにSonarworks SoundIDを統合した「Apollo Monitor Correction」によるルーム補正にもGen 2世代から対応。マイクプリ4基はドラムフル収録には不足するため、フル8マイク運用ならマイクプリ8基搭載の上位機「Apollo x8p Gen 2」も視野に入れたい構成です。
UNIVERSAL AUDIO APOLLO Xシリーズ – Supernice!DTM

ブルガリア発のAntelope Audioが擁する、録音特化型のフラッグシップ機。アナログ14in/16outに、ADATとS/PDIFに加え64ch対応のMADI入出力までを搭載する26×32構成で、Thunderbolt 3とUSB 2.0のデュアル接続に対応します。
最大の見どころは8基のディスクリート・マイクプリと、Synergy Core DSPによる「かけ録り」エフェクト群。FPGA+DSPのハイブリッド処理により、ヴィンテージマイクプリ/EQ/コンプ/キャビネットなど50以上のエフェクトをほぼゼロレイテンシーで適用しながら録音できます。Antelope自慢のクロックジェネレーター技術によるタイト&クリアな音像、24bit/192kHz対応のオーディオ品質に加え、Power on Ethernet(PoE)にも対応。ドラム録音をマイクプリ単体で完結させたいプロ現場向けの構成です。

DTM君「マイク入力を増やしたいなら、本体のマイクプリ数で選ぶか、ADAT拡張前提で選ぶかをまず決めると迷いません。8マイク同時に立てるドラム録音は本体マイクプリ8基、それ以下なら4プリ+ADATマイクプリ増設という運用も現実的です。」
オーディオインターフェイスは大半の製品が2〜4ch I/Oで、8チャンネル以上のマルチアウト機まで広げると一気に候補が絞られます。逆に言えば腰を据えて吟味しやすい価格帯/グレードでもあるため、必要なマイクプリ数・接続形式・DSPの有無を整理し、自分の制作スタイルに合った1台を選びましょう。
オーディオインターフェイスの売れ筋を…
Aアマゾンで探す
Sサウンドハウスで探す
R楽天で探す
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。
