イコライザーの使い方のコツ[記事公開日]2021年3月22日
[最終更新日]2021年04月20日

イコライザー

DTMでの音作りに欠かせないプラグインの筆頭であるイコライザー。各楽器の音質を変化させて、不要な帯域をカットしたり、楽曲の分離をよくしたりすることで楽曲のクオリティを高めることができます。ミックス作業で最も地味な部分ですが、この作業をしっかりすることによって楽曲はより生き生きと、説得力を持ったものに仕上がります。

このページでは、ボーカル/ギター/ベース/ドラムなど、ポップスを中心とした現代音楽に使用される楽器でのイコライジング例を紹介していきます。

イコライザーの種類とパラメータの説明

イコライザーにはおおまかに、グラフィックイコライザーとパラメトリックイコライザーの二種があり、グラフィックはあらかじめ特定の周波数ごとにフェーダーが並んでいるもの、パラメトリックは増減できる周波数帯域を自分で調整できるものです。前者はギターのエフェクターやベースアンプに内蔵されたもの、PAシステムでよく見ることがあるので、プレイヤーにはなじみ深いものですが、楽曲制作については後者が使われることがほとんど。以下の説明も基本的にパラメトリックをメインに行っています。

イコライザーのパラメータ

周波数・・増減する周波数帯域を選択。
ゲイン・・増減の程度を調整。
Q・・カーブの角度を調整。低いほど角度がゆるく、周辺を巻き込んでなだらかに変化し、高いほど山がきつくなりピンポイントに増減させられます。
カーブ・・ピンポイントで狙った帯域を増減するPeak、一定以上以下の帯域を全て増減するシェルビング(Low/High Shelf)、ばっさりと切り捨てるLow/High Passの3種があります。

アナライザー

アナライザー

ほとんどのイコライザープラグインで、再生されている周波数がリアルタイムでグラフのように表示されるアナライザーが搭載されています。音を聴きながらチェックしつつ調整することで、正確なイコライジングの手助けとなってくれます。

イコライザーでトラックの分離を良くしよう!

イコライザーをかける時はバランスが悪くなるのを防ぐ為、一つのトラックだけを聞いて作業していくのでなく、常に全体を聞きながら作業しましょう。

《使い方その1》うるさい場所のカット

イコライザーを使うにあたって重要な事は、音を持ち上げることよりも不必要な音をカットする作業であるという事です。不必要な音域をカットすることでアンサンブルをスッキリと聞かせることができ、よりクオリティの高い楽曲に仕上げることができます。まずトラック単体に特定の周波数だけを強調するようにイコライザーをかけ、かけるポイントを左右にずらして最もうるさい位置を特定します。

左右にずらして聞き比べるLogic Proの旧イコライザー「Channel EQ」
ハウリングしたりキンキンと耳障りなポイントが1,2カ所見つかればその部分をカットします。

ハウリングする場所をカットうるさい場所の音量をちょっと下げる

また低域が必要でない楽器にはハイパスを掛けて低域をすべてカットしておくことで、最終的なミックスの段階での低音のだぶつきが防げます。特に30hz以下の超低音は人間の耳の可聴範囲を超えるため、あらかじめカットしておくのが一般的です。

他にも気になるトラックに全て施してあげればOK。ベース、ギター、ボーカルなどがゴチャっとして聞こえる時は以上の方法を試して下さい。劇的に聞こえ方が良くなります。

《使い方その2》必要な帯域を持ち上げる

不必要な帯域をカットしすぎると、逆に曲全体が物足りなくなる場合があります。カットしつつ欲しい帯域は持ち上げると良いでしょう。帯域カットと同じ要領でブーストさせたい帯域を探します。特に生楽器は倍音を持ち上げると音に艶が出ます

また、補正という枠組みをこえた大胆なブーストも、音色作りという観点からは有効です。もともとイコライザーは平均化という意味ですが、現在ではもはや均すどころか音作りのための積極的なツールとして扱われており、大胆なブーストはある意味で当たり前になっています。

具体的にはベースの低域(50~100Hz)をブーストしパワフルな低音を得る、ギターの倍音部分(2khz~4khz)を持ち上げツヤのある音を得る、ボーカルの倍音部分を持ち上げ、ヌケの良い歌の音質を得るなど、楽器によって様々な使い方ができます。

イコライザーの使用例

では実際に各楽器に対してどんなふうにイコライザーを使っていけば良いでしょうか。いくつか使用例を見ていきましょう。またEQプラグインの中には予めプリセットが用意されているものがあり、ドラムのキックやスネア、男性ボーカル/女性ボーカル、エレキギターに適したプリセットを選択することができます。手持ちのプラグインでプリセットがあれば参考にしてみましょう。

ボーカルトラック

ボーカルの基音は100Hzよりも上から始まるため、それよりも下の帯域はカットします。音のコシを出すために200hzより少し上を若干持ち上げ、3khz以上の倍音部分をブーストすることでヌケのよい質感が得られます。10khz以上の高域は空気感などを調整することができる帯域で、ここも少し上げてやると存在感を増すことができるでしょう。

サ行、タ行などの耳障りな音(歯擦音)が8khz以上に存在しますが、これを抑制するために、ディエッサーと呼ばれる専用のコンプを使用することもあります。

男性ボーカル

男性ボーカルのイコライジング

低域をカットし、高域を上げることでヌケをよくする方向で処理します。2khz~5khzあたりをブーストした上、5khz以上の高域をシェルビングで軽くブーストし、100hz辺りから下はすべてカット。500hz~1khzあたりの中域に耳障りな成分が出ることがあるので、Qを大きくしたピンポイントでカットできると良いです。

女性ボーカル

女性ボーカルのイコライジング

基本的には男性ボーカルと似たような処理になりますが、200hz~500hzあたりを少しブーストすることで、どっしりとしたボーカルになります。高域のヌケを良くしたい場合は8khz辺りから上をシェルビングで持ち上げると良いでしょう。耳障りな成分は1khzよりも上に出ることがあるので、こちらも探し出してピンポイントでカットできると良いです。

ドラム

家でDTMとして作業する場合は、生ドラムではなく音源であるケースが多いですが、マルチ出力でパラアウトしつつ以下のように丹念にイコライジングを施すことで、驚くほど見違えたドラムトラックが得られます。

バスドラム(キック)

バスドラムのEQ

バスドラムの主な周波帯域は75Hz周辺
50〜100Hzあたりに”ドスっ”というローエンドの音が存在します。ほんの気持ちだけ持ち上げることでキックの圧力が上がります。その他250〜500Hzあたりに胴鳴りの部分が、1〜2.5kHzにアタック音、8〜10kHzにビーター音があります。それぞれ曲に合わせて必要な部分を上げ下げしていきましょう。

スネア

スネアのEQ

200hz周辺を上げ下げすることで、スネアの重みをコントロールできます。ブーストの場合、重くなりすぎないようにバランスを考えてその少し上の帯域をカットしておくと中低域の不要なだぶつきが防げます。いまいち抜けてこない時は、2khzから5khzの上の部分をブーストすると効果的。スネアはセンターに定位している上に、ボーカルやギターと帯域がかぶる楽器ですので、それぞれの音をよく聞きながら音決めしていきましょう。

ハイハット

ハイハットのEQ

400Hz以下のロー部分をバッサリとカット。8〜10kHzをブーストすることでハイファイになります。

オーバーヘッド

オーバーヘッドのEQ

ドラムの上からマイクを2本立てて、主にシンバル類を中心に全体を集音するのがオーバーヘッド。シンバルを中心とした音作りをするため、ハイハットと似たような処理になります。

ベース

ベースのEQ

ベースは楽曲でもっとも下を支えているため、80Hz付近を軽くブーストして太い低域を確保します。その少し上の200hz周辺は低音が膨らみやすいポイントなので、場合によってカットすることでスッキリさせることもできます。1khz辺りにピッキングの際のアタック音があるため、場合によってブースト、カットを施しましょう。ピック弾きの場合は600hz~1khzあたりにゴリゴリとした成分が現れやすく、こちらもカットしておくと良いでしょう。

ギター

ディストーションとクリーン、バッキングとソロでそれぞれ異なる設定が考えられます。共通しているのは低音域の大胆なカット。特にディストーションギターのバッキングは低音をそのままにするとアンサンブルを壊しかねません。250〜500Hzでふくよかさが、1.5〜2.5kHzで張り出した感が、5kHzでジャリっとした感が、10kHz以上でクリーントーンの質感が、それぞれ強調されます。

エレキギター

歪みギターのイコライジング ディストーション・ギターのイコライジング例

まず無駄な低域である100hz以下をカット。400hz周辺あたりは、上げると膨らんだ音になり、カットするとすっきりした音になります。ディストーションギターのバッキングなどではカットが有効です。1.4khz~2.5khz辺りは歪んだギターのツヤを出すために重要となる部分で、特にリードギターでは上げてやると魅力的な音になります。ボーカルと被る場合は下げるのも良いでしょう。

クリーントーンのEQ クリーントーンのイコライジング例

クリーントーンのアルペジオやカッティングなどの場合は高域部分が要になってきます。6khz以上をブーストすると煌びやかになり、10khzは質感、空気感を強調できます。1khz~2khzあたりはブーストすると抜けやすくなりますが、耳に痛くなりやすいポイントなので全体を聴きながら慎重に調整しましょう。低域はハイパスでばっさりカットしても良いでしょう。

アコースティックギター

バンドアンサンブル内に含まれるアコースティックギターのストロークは低域を大きくカットし、右上がりになるように調整。アコギの低域はパワーが大きく、そのまま出すとバンドアンサンブルが壊れてしまいます。

アコギのEQ

ソロギターや弾き語りなど、伴奏が一人か、あるいは少数の場合は逆に低域をしっかり出して、ベースの居ない分の帯域をカバーするという方法を考えます。どちらの場合でも、8khz以上の高域がアコギのシャリシャリした成分に相当しますので、不自然にならない程度にブーストすると良いでしょう。

EQの重要性

有償EQプラグイン

イコライザーの使い方について見てきましたが、次のページでは有償で手に入るEQプラグインについて見ていきます。ソロ視聴/ダイナミック処理/MS処理など、無償プラグインでは対応できない高機能なイコライザーの導入を考えている人はチェックしてみてください。

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