コーネリアス(CORNELIUS)[記事公開日]2015年1月28日
[最終更新日]2021年06月21日

コーネリアス

CORNELIUSこと小山田圭吾は、小沢健二との音楽ユニット 「フリッパーズ・ギター」でデビューし、いわゆる「渋谷系」ムーブメントの一翼を(本人達の意思とは無関係に)にないました。「渋谷系」はそれまでのいわゆる「歌謡曲」が中心だった日本の音楽シーンに対して、非常に洋楽志向の音楽的潮流を生み出しました。CORNELIUSという名義でのソロ活動を開始してからは、国内外で精力的に活動し、今や日本を代表するミュージシャンのひとりです。

iTunes store で「FANTASMA」のスタッフメモに書かれている以下の言葉はCORNELIUSという存在とその活動を端的に表しているでしょう。

「さまざまな音楽要素を貪欲に取り入れ、自由な発想とテクノロジーを駆使して自在に配置することで構築されたサウンドは、にぎやかでありながらどこかクールで、同時にポップさも兼ね備えた、時代や国境を越えたユニバーサルなユニークさとオリジナリティに溢れている。」

CORNELIUS(小山田圭吾)のセンスは、音楽性だけでなく、アートワークやファッションにも貫かれています。日本人がマスメディアで配信されるものを安易に受け取らなくなり、「ライフスタイルとしてどんな音楽を聴くか、何を着るか、どう振る舞うか」を若者達が自分自身で探して選択することを始めた時代の象徴的存在と言えます。

バイオグラフィー

1969年1月27日 東京都出身

ミュージシャンであった父(和田弘とマヒナスターズのリードヴォーカル 三原さと志)の長男として東京都世田谷区に生まれました。和光大学附属中学校・高等学校卒業後、美術学校セツモードセミナーに通いながら、バンドを結成し音楽活動をスタートさせています。

フリッパーズ・ギター

1989年にポリスターよりアルバム『three cheers for our side〜海へ行くつもりじゃなかった』をリリースし、メジャーデビューします。このアルバムは小沢健二がイニシアチブを取って作られた作品で、当時では非常に珍しい全曲英語の歌詞というアルバムでした。そしてその時からバンド名を「フリッパーズ・ギター」と名乗っています。


three cheers for our side~海へ行くつもりじゃなかった~ より 「JOYRIDE – すてきなジョイライド」

しかし、それまでは5人編成のバンドでしたが、デビュー直後に音楽性の違いからメンバー3人が脱退し、小沢健二と小山田圭吾の2人となり、音楽ユニットとしての活動となりました。フリッパーズ・ギターは、1990年にセカンドアルバム『CAMERA TALK』をリリース。1991年にサードアルバム『ヘッド博士の世界塔』をリリース後に解散します。その後、小山田圭吾はCORNELIUSの名義でソロとしての活動を開始しています。

わずか数年の活動期間でしたが「フリッパーズ・ギター」の音楽性やファッションは90年代に起こった「渋谷系」と呼ばれる音楽・ファッションを中心としたカルチャーのムーブメントに大きく影響を及ぼしました。

ソロ以降

ソロ活動開始後は、他のアーティストのプロデュースや、楽曲のリミックス、及びコラボレーションなども精力的に行い、国境にとらわれない活動で、そのポップ・カジュアルでありながらも、実験的かつ独創的な音楽への評価を更に高めていきました。1998年に海外で「FANTASMA」リリースして以降は、多くの国内外の音楽フェス・ロックフェスに参加しており、世界的にもその音楽性が評価されている日本人アーティストの一人となっています。

2008年には映像作品集である「SENSURROUND + B-Sides」がアメリカ合衆国の「第51回グラミー賞」最優秀サラウンドサウンドアルバム賞にノミネートされ注目を集めました。2009年からはオノ・ヨーコおよび息子のショーン・レノンらと一緒に「YOKO ONO PLASTIC ONO BAND」のバンド名義でも活動をしています。

音楽的なスタイル

音響実験的な試みを、極めてポップかつカジュアルに、色彩感豊かな音楽作品へと構築してみせるセンスは特筆に値します。近年では salyu × salyu のプロデュースや、音楽を担当した「デザインあ」「GHOST IN THE SHELL ARISE」などで、その傾向はとくに顕著に現れています。


コーネリアス/GHOST IN THE SHELL ARISE


salyu × salyu/じぶんがいない

また近年のCORNELIUSライブでは、映像作家の辻川幸一郎とコラボレーションし、生演奏と映像がシンクロしたステージパフォーマンスに取り組んでいます。アートとしても極めて質が高く、世界的にも評価されています。
断片化されて発音される言葉は、もはや既存の音楽的な価値観ではメロディと呼べるものではありません。しかしそれをしっかりと音楽的に聞かせることのできるセンス、発想力、構築力は希有のものでしょう。

コーネリアスの使用機材

DAW:Apple Logic ProAvid Pro Tools
プラグイン・ソフトウェア:Native Instruments FM7
マイクプリアンプ:AMEK System 9098 DMA
シンセサイザー:KORG TRITON pro
モニタスピーカー:KRK V4
CDJ:Pioneer CDJ-800
ギター(シンセサイザー):Roland GR-20

DAWの併用をしているミュージシャンは今では(2015年1月現在)少なくはありませんが、90年後半〜2000年代前半に既にそれを行なっていたミュージシャンはそんなに多くはないでしょう。COUNELIUSはPro Toolsで録音して、logicで制作という使い方をしているそうです。
また、楽曲制作に使用しているかどうかは不明なのですが、KORGのエフェクター KAOSS PADをテレビに繋いで遊んだりしていたそうです。この辺りの実験精神・遊び心もCOUNELIUSらしいですね。

ディスコグラフィー


CORNELIUSが2006年リリースしたアルバム「SENSUOUS」をご紹介します。これは現在世界19カ国で発売されているCORNERIUSの代表作と言える作品です。

この作品から映像とのリンクしたステージパフォーマンスに力を入れるようになり、(前述のように)映像作品として発売した『SENSURROUND+B-SIDE』は、第51回グラミー賞の「ベスト・サラウンド・サウンド・アルバム賞」にもノミネートされ、まさに世界的活躍のブレイクスルー・ポイントとなったもので、会心の出来映えとなっています。

音楽の心地よさ、言葉遊び的な歌詞の楽しさ、音響実験的なサウンドの面白さ、そしてそれらの音楽的要素にシンクロした映像は、ライブ・エンターテインメントを新たな段階に進化させてしてしまったとも言えるかも知れません。音楽・映像・ライブパフォーマンスが渾然一体となってCOUNELIUSというアーティストにしかつくり出せない体験を世界に提供しています。

また、「SENSUOUS」制作時に24bit / 96khzでレコーディングされていそうですが、当時まだまだ主流であったCDの音質にして発売したとのことで、配信環境やリスナー側の環境が整ってきた2014年に、本来の音質で配信されることになりました。しかもリマスターエディットしたものではなく、当時のレコーディングのままの音質だそうです。