DTMの総合情報サイト
「レコーディング」、楽器をやっている人に取っては、嬉しい様な、緊張する様な響きですね。
楽しいレコーディングをする為に覚えておかなければならない事が少しあります。知識を持たずにレコーディングに臨んでしまうと、楽しいだけで、後で聞けたもんじゃない録音をしてしまうか、楽しいはずが、楽しくなくなっちゃったりするかもしれません。
最初の数回は「DTMの話じゃないの?」「ちょっと難しいかも?」と思われるかもしれませんが、「教えてほしい」と連絡があるのも、この辺りですし、楽しく、人よりちょっとかっこいいサウンドを作る為に、必要な事を少し説明しましょう。
音楽プロデューサー、レコーディング・エンジニア、マニピュレーターとして椎名林檎のレコーディングに参加。マニピュレーターとして松任谷由実のレコーディングに参加。レコーディング&ミキシング・エンジニアとして、シンセサイザープログラマーとして、また作品のサウンド・プロデュースなど多方面で活躍する。リットーミュージックより「Pro が教える Vision for Macintosh」執筆。
レコーディングしたいと、言うのは、人に聞いてほしいからでしょう。エジソンはレコードを発明した時に、「これで、いつでも、誰でも、コンサートに行った様な音を聞く事が出来る」と言ったそうですが、正にその感覚です。
しかし、ただ、録音しただけでは、リスナーにLiveを聞きに行った様な感覚にはなってもらえません。しっかり、丁寧に、録音して、初めてリスナーに伝わります。しかも、Liveと違って、何度も聞いてもらえます。
しかし、Liveなら勢いで聴けてしまうかもしれませんが、録音した物は、何度も聞けるので、間違った箇所があると、それすらも何度も聞く事になってしまいます。
音を記録するから録音。でもそれは記憶の中にでは無く、電気的に記録する訳ですから、電気を扱います。電気をうまく扱うと、上手い事記録出来る。じゃあ、電気の事も覚えなきゃいけない。あれ?音楽の記事じゃなかったのかな?それじゃあ、物理か電気の勉強。でも、そうなんです。音楽って、詞という文科系、歌う人は体力も要る体育会系、空気を振動してそれを拾って、電気で記録してって物理?、そして音楽理論は?系?と総合的なものなのです。
電気の話の前に空気の話、いつも楽器の音を聞く事が出来るのは空気があるからです。空気が無い、真空状態では、音は伝わりません。でも、風と違って音は小さな空気の動きです。
例えば、ドラムの皮を叩くと皮は前後に振動します。(胴も響きますが)振動した皮はそのすぐ周りの空気を押します。その周りの空気がさらに周りの空気を押して音が伝わります。
でもドラムの皮は前だけじゃなくて前後に振動するので、叩かれた皮は前にいった後、後ろに跳ね返ります。跳ね返ると今度は皮の周りの空気が少なくなって引っ張られ、その周りが引っ張られ、そんな事を繰り返して音は伝わります。
殆どの音は音が発生した場所から放射状に総ての方向に同様に散って行って、やがて、空気を動かせなくなる程小さくなっていきます。
楽器は振動を出す方法、振動の細かさ(音の高い低い=周波数)、大きさ、響く方向をコントロールして音楽を奏でているのです。
音の高い低いを表す単位は?「ドレミファ・・・」それも音楽の高い低いですが、録音等で使う単位はHz(ヘルツ)です。
1秒間に何回振動しているかの回数です。
人間は20Hzから20kHz(20000Hz)までの音が聞こえるとされていますが、20Hz以下は体で感じたり、20kHz以上を含むの音も聞き分けたりする事が出来るので、耳だけで聞こえる範囲は20Hzから20kHzと言った方が正解かもしれません。
楽器的に考えると真ん中の「ラ」の音が440(〜446)Hzです。オクターブ上が880Hzで、そのまたオクターブ上が1760Hz。オクターブ毎に周波数は倍に、オクターブ下は半分になります。
440Hzがラの音というのは基本の音程(基音)の事です。同じラの音でもギターのラの音、ピアノのラの音、声のラの音といろんな音を聞き分ける事が出来ます。
倍音を全く含まない音は時報等で聞く事が出来るピーという音です。
スペアナ A3 Signal
ピアノのラの音には基本の440Hzの音に加えて倍音と呼ばれる高い周波数の音が含まれます。 それらの倍音を聞き分けて、何の楽器かを聞き分けているのです。
ピアノのA3の音
ギターのA3の音
私たちが声を言葉として聞き取れるのも、声の倍音を聞き分けています。「あ」と発音される倍音と「う」と発音される倍音では倍音の構成が違います。それをフォルマントと呼びます。フォルマントはやはり基本の音程である基音と倍音があり、音程が変わってもその倍音との関係は維持されますので、高い音程の「あ」でも低い音程の「あ」でも「あ」と、聞き取れるのです。
子供の声の基音は大人の声の基音の倍ぐらい高いので、ハーモナイザーで大人の声をピッチを上げると子供の声の様になってしまいます。
最近のピッチ系エフェクターでは声用にフォルマントを崩さず(人格を変えずに)ピッチを上げ下げするエフェクターもあります。
Vocal Speana 1: 「あ」
Vocal Speana 2: 「う」
空気の振動はマイクで拾われ、電気信号として扱います。
電気は空気の様に、押したり引いたりする物質で伝わります。伝わる物は空気中の空気の粒子から、金属の中の電子に変わりますが、行ったり来たりしている交流と呼ばれるのは空気の場合と同じ現象です。
コンピュータのDAWの画面では、それを、グラフ化して表示してます。+に流れた時は上向きにーに流れた時は下向きに、そしてグラフの左から右へと時間が流れて行きます。
空気の振動も、電気の信号も、時間軸に対して連続的に変化するアナログ信号です。しかし、コンピューター等のDAWで処理する場合、それらは0と1のデジタル信号でしか記録出来ません。
その為に電気信号は、マイクアンプ等を通った後でADコンバーター(アナログtoデジタル コンバーター)でデジタル信号に変換され、初めてコンピューターで扱える様になります。
DAWで、曲を真っ新な状態から作り始める時に出てくるサンプルレートとかビットとか、分からずに使ってませんか?
デジタルで録音する時、それは殆どの場合、PCMと呼ばれる方法で記録されます。
PCMとはpulse code modulationの頭文字で、アナログである音声をデジタルで記憶する一般的な方法です。
PCMでは音という電気のアナログの波形を、一定時間軸毎にレベルを計測してデジタルデータとして記録します。
サンプリング周波数と言われるkHzで表示される値は、音を1/44100秒毎に記録するか、1/48000秒毎に記録するか、と、言うのが44.1kHzと表示されたり、48kHzと表示されたりします。数値が大きくなればなるほど細かい時間毎に計測されるので、高い周波数の繊細な音まで録音出来る事になります。
波形を輪切りにしていく時間軸はkHzで表示されましたが、音量はBitで計算されます。無音部分から録音出来る最大までをどれぐらい細かい段階で分割して計測するかを示します。
デジタルは0と1の2段階なので、16Bitの場合、2の16乗、2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2=65536段階で計測します。Bitが大きくなると、その分同じ無音から最大までをもっと細かく計測しますので、24Bitの場合、2の24乗の16,777,216段階で計測します。8Bit足されただけなのに256倍も精細に記録します。
デジタルで録音された音を扱うのはコンピューターですので、サンプリング周波数が高くなればなるほど、大きなBit数で細かく記録すればする程、データ量は多くなってしまって、コンピューターに負担が増えて、DAWが出来る事が少なくなります。
コンピューターのパワーや、ソフトウェアシンセサイザーの使用出来る量から言って、48kHz/24Bitが一般的な様ですが、出来れば、もっと細かい値、96kHz/24Bit等で録音すると繊細な録音を残す事が出来ます。
私は殆ど96kHz/24Bitで録音しています。
誤解しやすいので、ここで一遍にご紹介しておきましょう。
空気の振動で紹介した、441Hz(441ヘルツ)、ヨンヨンイチと言われるこの値はピアノの真ん中のA(ラ)の音の周波数です。ギターやベース、ピアノの調律の時に使う基準値で1分間にピアノやギターの弦が何回振動するかの値です。
先ほど紹介したサンプリング周波数の44.1kHzはヨンヨンイチやヨンジュウヨン・テン・イチ・ケーとも言ったりしますが、正確にはヨンジュウヨン・テン・イチ・キロヘルツで、44100Hzです。数値は10倍ですが、こちらはサンプリング周波数ですので、デジタル録音の時間軸の細かさの値です。
全く違う現象を扱う値ですが、混同しやすいので注意して下さい。
では、WAVやAIFFやMP3、AACって言うのは何の記号でしょう。
PCM変換された、デジタル音をファイルとして記録する形式がWAVやAIFFと呼ばれるパソコンの書類です。
WAV (RIFF waveform Audio Format) は、マイクロソフトとIBMにより開発された音声データ記述のためのフォーマットです。一方、AIFF (Audio Interchange File Format) は、アップルコンピュータにより開発された音声データのファイルフォーマットです。最近はWAVを使用する事が多いですね。
一方、MP3(MPEG-1 Audio Layer-3)やAAC(Advanced Audio Coding)はリニア(実データ)であったWAV,AIFFに対して、圧縮され、小さくなったオーディオファイルです。
MP3圧縮は一度圧縮してしまうと元には戻りません。1/10に削られた情報量の残りの9/10は取り戻す事は出来ませんので、メール等で送らなければならない時や、大量にコンピューターに音楽を保存しておく時以外はおすすめ出来ません。DAWソフトウェアではMP3として、出力する事は出来ても、直接扱う事は出来ないし、MP3を変換して音声として素材にするベキではありません。
CDは音がいいと言われています。 デジタルが音がいい、音も画像もテレビもデジタルの方がと、世の中はどんどんデジタルへと移行していっていますが、本当にデジタルは音がいいのでしょうか?
ラジカセやテレビの様なコンシューマー用(アマチュア用)の場合、デジタル機器は、安価にある程度の音質を得る事が出来ます。しかし、プロ用のオーディオ機器やハイファイオーディオ、LPプレーヤー等、高額の機器はもっと繊細な音を記録出来ます。
プロ用のアナログレコーダーの音をそのままCDと同じ44,1kHz/16Bitでデジタルで記録した場合、その全てを記録する事は出来ません。
DVD-Audioの96kHz/24BitやBlu-rayの192kHz/24Bitのハイサンプリング/ハイビットの音やSACD等のDSD/1ビット録音等では、CDよりいい音質のデジタル録音を聞く事が出来ます。
私の家で同じタイトルのLPをCDと聴き比べて貰うと全員(税理士さんまでも)がLPの方がいいと口を揃えていいます。
LPは感動するけど、CDはがっかりするとまで言われます。
では、CDでは感動は伝えられないのでしょうか?
LP > SACD(DSD) > DVD-Audio(HiRes) >CD>MP3の順で情報量は少なくなります。
ですから、たとえ、CDと同じクオリティだからと言って、気を抜くとすぐに良くない音になってしまいます。録音からマスタリングまで、丁寧に作業しなければなりません。丁寧に録音されたCDなら感動は伝えられる可能性はあります。
96kHz/24Bit等で、聞こえない40kHzまで記録する事が出来ます。と、言われますが、これには若干の語弊があります。
聞こえないのに、わざわざ録音する事の意味は、丁度、デジカメの画素数に例えて考えると解るでしょう。同じ大きさの写真でも、大きい画素数の写真は細かい所まで記録され、画像の1つずつのつぶを見分ける事が出来なくなり、引き延ばして、大きくしても、ディティールが損なわれる事はありません。
画素数の様にBitとサンプリング周波数をかけ算してみると48kHz/16Bitでは3,145,728,000。96kHz/24Bitでは1,610,612,736,000。と実に512倍も高精細で記録されています。
誤解してほしくないのは、聞こえない高い周波数が記録出来る事よりも、最初に紹介した音の倍音をどこまで正確に記録される事が重要なのです。
電気はdBという単位で表します。
VUメーターの右側の方に0dBってありますね。赤くなる直前の所です。
VU Mater 2ch
電気の場合は0.775V(ボルト)を0dBとして表示し(正確にはdBuとかdBvと表示します)、半分になると-6dB,4分の1になると-12dBと表示します。倍だったら+6dBです。
でもDAWのメーターの表示は0dBまでしか無くて、+6dBとかはありませんよね。0dB以上は歪んでしまいます。
アナログをデジタルに変更する時ADコンバーターの調整をします。アナログの卓等のアウトが0dB(0dBu)の時、DAW側で-16dBとか-18dB,欧米では-20dB等に設定します。
写真 ProTools メーター
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