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現代の音楽制作に欠かせない存在となった「ソフトウェアシンセサイザー(ソフトシンセ)」。ハードウェアを必要とせず、DAW上で自由に扱えるこのバーチャル楽器は、初心者でも手軽に本格的なサウンドを作り出すことができます。本記事では、ソフトシンセの基本的な仕組みから、インストゥルメントトラックでの扱い方、複数トラックとの連携方法、さらには用途別の代表的ソフトシンセ(ドラム用、ループ用、ベース用など)までを網羅的に紹介。これから音楽制作を始めたい人や、DAWの操作にまだ不安がある方でも、ソフトシンセの世界をスムーズに理解できるよう丁寧に解説していきます。
音楽プロデューサー、レコーディング・エンジニア、マニピュレーターとして椎名林檎のレコーディングに参加。マニピュレーターとして松任谷由実のレコーディングに参加。レコーディング&ミキシング・エンジニアとして、シンセサイザープログラマーとして、また作品のサウンド・プロデュースなど多方面で活躍する。リットーミュージックより「Pro が教える Vision for Macintosh」執筆。
ソフトシンセという言葉が出てきましたが、ソフトシンセはハードウェアのシンセサイザーに対して、ハードウェアを持たない、コンピューター上で動作するソフトウェアのシンセサイザーです。DAWソフトウェアを買うと幾つか着いてきますが、基本的な分です。
ソフトシンセは正確にはプラグイン・ソフトウェア(バーチャル)・シンセサイザーと言います。 プラグインと言われるのは、DAWソフトウェアのメーカー以外からも発売されていて、いろんなメーカーのソフトウェアシンセサイザーを追加して使用する事が出来るからです。
DAWにはオーディオを録音するオーディオトラックと、リバーブ等のエフェクターを用意したりするAuxトラックとMasterFader,そして、MIDIトラックとMIDIトラックとAuxトラックを合わせた様なインストゥルメントトラックがあります。
インストゥルメントトラックを使って音源(ソフトウェアシンセサイザー)をインサート(用意)し、MIDIデータを演奏して入力したり、数値やマウスで入力するのが一般的です
図 Inst Track
以前のバージョンの様にAuxトラックに音源を用意し、MIDIトラックを用意して作業する場合もあります。
図 Multi Timber
KONTAKTやSampleTank等 音源が複数のMIDIチャンネルを扱えるマルチティンバーと呼ばれるシンセサイザーでは、インストゥルメント1つに対して複数のMIDIトラックで違うMIDIチャンネルでアサインします。
ストリングスのトラックを1stバイオリン、2ndバイオリン、ビオラチェロで1〜4MIDIチャンネル等と振り分けて入力します。
ドラム等1つのMIDIチャンネルでも(Kick,Snare,HighHat等と)分けて入力したい場合には、インストゥルメント1つに対して5つのMIDIトラックで、同じMIDIチャンネルにアサインします。
それぞれのトラックに各パーツの音程を入力します。
この時気をつけなければならないのは、ボリューム情報(Fader)を動かすのであればどれか1つのトラックにしましょう。
図 Drum Tracks
DAWソフトウェアには数種類から数十種類のソフトウェアシンセサイザーが付属されています。何種類かの楽器に特化されたソフトウェアシンセサイザーと何でも出るソフトウェアシンセサイザーがセットになっている場合が多くあります。
ProToolsではXPand!という広い楽器の種類をカバーするものが着いてきます。
図 Xpand 2
ソフトウェアシンセサイザーを作っているメーカー製では、IK MultimediaのSampleTankが有名です。
確かに広い楽器の種類をカバーするので便利ですが、広い楽器の種類をカバーしなければならないので1つずつの楽器のデータ量はどうしても少なくなってしまいますので、音色がチープになりがちです。この音色で十分か、もっとリアルだったり、シンセサイザーらしかったりする方がいいのか考えながら使いましょう。
図 Sample Tank
ドラム、パーカッション等に特化したソフトウェアシンセサイザーも多数あります。生ドラムと聴き間違える程、究極的にシミュレートされたソフトウェアシンセサイザーが流行っていますが、ドラムマシーンの様な機械的なサウンドを得意とするソフトウェアシンセサイザーもあります。
いずれも2チャンネルで録音してしまうと、後でバランスや音質の変更は出来なくなりますので、マルチアウト(各楽器毎に出力する)機能が着いている物が殆どです。全部バラバラに録音出来ればいいですが、DAWの能力と相談ですね。
ちょっと紹介すると
Native Instruments Battery(どちらかというとドラムマシーンの様な音源)
図 Battery 3
Toontrack EZdrummer(安価だが、なかなか生っぽい)
図 EZ Drummer
Toontrack Superior Drummer(究極生っぽいが、それ故にエンジニアリング力も必要)
図 Superia
等、いろいろなドラム、パーカッション用ソフトウェアシンセサイザーが発売されています。自分の必要なドラムサウンドと対応出来るDAWのパワーとの相性で選ぶといいでしょう。
ループと言うとちょっと解りにくいですが、ドラムやパーカッション等を演奏したモノラルもしくはステレオで録音されている音を楽曲のテンポに合わせてくれるソフトウェアシンセサイザーです。
元々ループはフレーズサンプリングと言われ、ヒップホップやハウス系音楽から発生した表現方法です。1980年代後半に、ドラムが買えない、黒人キーボーディストがドラムの音をサンプラーに録音して1小節を繰り返して再生し、それにコードやメロディーを乗せて行ったのが発祥だと言われています。私も1990年頃から使い始めました。
最初の頃はサンプラーでのピッチを変えて、音のテンポと楽曲のテンポを一致させて演奏していました。
Propellahead の ReCycle!というソフトウェアが登場すると、ドラム等の音をアタックを検出して拍毎に切り刻み、使用する楽曲に合わせてストレッチして、サンプラーに送り、切り刻まれたサンプルをMIDIで演奏し直すという方法が使われ始めました。切り刻まれているので、パターンの変更も可能です。
図 RecyclePict
最近は多くのメーカーからループ専用音源が発売されています。
自分で録音した物を使用する訳では無く、最初からループ用に沢山の音が用意されています。
一時は一世を風靡しましたが、どうしても同じ音を繰り返すので単調になりがちなので、最近は、パーカションや特徴のある音を部分的に使う事が多い様です。
勝手にテンポに合わせてくれる音源も多いので便利ですが、多様すると単調になりますので、注意が必要です。
いろんなソフトウェアシンセサイザーがありますが、SpectraSonics StylusRMXを使用しています。REXファイルというReCycle!で作られたファイルをStylus用に変換して使用する事も出来ます。
図 STYLUS RMX
BassはSynthBassと生っぽいベースの代わりと両方あります。
SynthBassは アナログシンセサイザーをコンピューター上でシミュレートしたソフトウェアシンセサイザーが多数あり、MoogのMiniMoogをシミュレートした様なArturiaのminimoog Vやそのシリーズ、YAMAHA DX7をシミュレートしたNativeInstrumentsのFM8等、以前あったシンセサイザーを忠実にシミュレートした物やアナログシンセサイザーの発想を元に発展させた製品もあります。
図 Mini Moog V
エレクトリックベースやアコースティックベース用に作られたソフトウェアシンセサイザーも多数あります。
図 TRILIAN
どちらも、鍵盤で弾くだけでなく、ベンドやモジュレーションホイールを使って、本物のベースが演奏する様な表現をする事が大切です。
ベーシストがどんな事をしているか、シンセサイザーベースでどんな演奏が格好いいか、いろんなCDを聞いたり、Movieを見たりして、ベースを模倣する練習が必要です。
ベースの演奏を録音している時に時々気になるのが音を切るタイミングです。音を切るタイミングを注意して演奏すると、急に上手くなりますよ。
ピアノ、エレクトリックピアノも頻繁に使う楽器でしょう。
ピアノに限定されたソフトウェアシンセサイザーも多数ありますし、最初から着いてくるDAWも多くあります。ProToolsにもMiniGrandが着いてきます。
SynthogyのIvoryやBest ServiceのGalaxy等多くのメーカーから発売されています
Steinway
前述のピアノの録音方法のマイクの解説の所で書いた様にいろんなピアノの音がありますので、自分のイメージにあったピアノ音源を選ぶ必要があります。
ピアノ音源は当然ながらピアノタッチの鍵盤で入力した方が、ピアノらしいデータ入力が出来ますが、絶対必要という訳ではありません。
サスティンペダル(ダンパーペダル)を用意して居ない人を時折見ますが、ピアノを入力するかぎりはサスティンペダルは絶対用意しましょう。
音をサンプル(デジタル録音)して、エディットするからサンプラーで、ソフトウェアシンセサイザーの場合、サンプル(録音)するのはDAWでソフトウェアサンプラーはプレイバックする(録音しない)だけなので、サンプルプレイバッカーと言うのが本当かもしれませんが、ソフトウェアサンプラーと呼ばれる事が多いと思います。
いろんなデータが用意され、いろんな音が出ます。一度に数十パート(MIDIチャンネル)も楽器を用意出来る物もあります。
代表的な物ではNative InstrumentsのKontaktやLogic Pro(Apple)のEXS24、Steinberg(Cubase)のHALionやMOTUのMachFive等があり、最初にオーケストラやロックやジャズに使う様なコンテンポラリーな楽器のデータが一緒に着いてくる物が多くあります。
更にサンプラーはサンプラーの為のデータが他のメーカーから(サンプラーメーカー以外)も発売されいます。使用しているサンプラーの機種あったデータを買わないと使えない事もありますので、注意が必要です。
KONTAKT
オルガンに特化したソフトウェアシンセサイザーも多くあります。多くはHammond社のB3をシミュレートした物です。ファルフィッサやVOXのオルガン等もあります。
プロなら本物を使用するチャンスもありますが、なかなか触る事の出来るチャンスは多く無い楽器です。
ドローバーでの音作りやレスリースピーカー(回転スピーカー)の格好の良い使い方等、やはりCD等で聞く事が出来ますので、聞いて、やってみて、の繰り返しで勉強する必要があります。
B4 II
ギター音源も多数出ていますが、なかなか本物らしくならないのは、やはり、本物のギターは直接弦を触っているので、表現の幅が広いからでしょう。シンセサイザーで表現する場合、やはり、本物のギターがどんなするかを勉強する必要があります。
Clis Hain Guitar
ブラス専用音源も多く出ています。生のブラスも音質の変化や音量の変化が大きい楽器なので、コントローラーを多用する必要があります。
大きく分けて2種類あります。
ブラスの演奏法毎にセッティングされて、弾いても音が出ない部分の鍵盤を使って音色を切り替えるキースイッチという方法やMIDIチャンネルで音色(ブラスの演奏方法)を切り替えます。AMG Kick Ass Brass / Big Fish irst Call Horns等多くあります。
比較的新しい技術のアコースティックモデリングという方法を使っている音源もあります。アコースティックモデリングやバーチャルアコースティック等と呼ばれる方法はYAMAHA VL-1,VL-70等から製品化されましたが、ドライバーと呼ばれる音を発生させる所を計算上でシミュレート、(ブラスで言うところのマウスピースや木管楽器のリード)それを、更に共鳴管部分を計算上でシミュレートする方法で、録音されている音(Sample)を使う訳では無いので連続的な音色変化を作る事が出来ます。ブラスの音が伸びている間に音色が変わるのに有効です。
MrSax T
コンピューターのパワーが大きくなってきたおかげでソフトウェアシンセサイザーでも発売される様になってきましたが、やはり、コントロールしなければそれを変化させる事が出来ないのでコントローラーは重要です。コントローラーがアサインされていないと鍵盤を弾いていても音が出ないソフトウェアシンセサイザーもあります。私はボリュームペダル、エクスプレッションペダル以外にブレスコントローラーも使って演奏データを作ります。Samplemodeling The Trumpet/TheTrombone/TheSaxBrothers等を使用していますが、生ブラスのミュージシャンでさえ、「これ誰?」って聞く程です。
デジタルシンセサイザーはハードウェアシンセサイザーの物をソフトウェアだけ抽出コンピュータに適合させればいいので、多く出ています。
KORG M1/WAVESTATIONはKORGから発売されていた同名のシンセサイザーをそのままソウトウェアにした物です。
KORG M1
FM8はYAMAHA DX7で有名なFM音源です。もちろんコンバートしてDX7の音色も使う事が出来ます。
YAMAHA FM8
Absynth 5/Specrasonics Atmosphers等ハードウェアのシンセサイザーを録音(Sample)して使い易くしてあるソフトウェアシンセサイザーも多くあります。
Native InstrumentsのPro-53はソフトウェアシンセサイザーの老舗ですが、シーケンシャルサーキットのProphet5を忠実にアナログモデリングしたソフトウェアシンセサイザーです。
Pro53
他にもアナログシンセサイザーをモデリング(シミュレート)したシンセサイザーも多数出ています。ArturiaのARP2600 V/CS-80V/Jupiter-8V/minimoog V/Moog Modular V 2/Prophet Vは実際にあったアナログシンセサイザーをシミュレートしています。NativeInstrumentsのMassive等はアナログシンセサイザーの可能性を更に広げてシミュレートしています。
EastWestやGarritan,Viennaの様なオーケストラ専用のソフトウェアシンセサイザーもあります。それぞれにオーケストラの演奏法を表現すべく工夫されています。殆どが専用サンプルプレイバックシンセサイザーですが、KONTAKT等のソフトウェアサンプラーのデータとして売られている物もあります。
シンセサイザーに思えないシンセサイザーがいっぱい
Kore2の様にカテゴリーや楽器の種類を選ぶと目的の音を探し出してくれるソフトウェアシンセサイザーもあります。イメージに近い音を素早く探す事が出来ます。
ソフトウェアのシンセサイザーもハードウェアのシンセサイザーも基本的には同じです。
サンプラーの場合、ハードウェアのサンプラーはメモリーの増設出来る限界次第で、読める楽器の数、楽器のクオリティが決まってしまうが、ソフトウェアのサンプラーの場合はハードディスクからストリーミングする為に限界量が基本的に無くなり、ピアノ1台で1GBのデータを使ったり、オーケストラで数十GB使うライブラリーを一度に使う様なパッチも作る事で、サンプラーのライブラリーの品質は飛躍的に良くなりました。
アナログシンセサイザーやFMシンセサイザーの場合、ハードウェアはその物自体が本物ですが、ソフトウェアシンセサイザーはシミュレートですから、どうしても本物には叶わない音質変化はあります。ハードウェアは計算外に歪む場合もありますが、それが良い結果をもたらす場合もあります。しかし、本物は高価ですから、何台も買う訳には行きませんが、ソフトウェアシンセサイザーは安価で、コンピュータのパワー次第で何台も使う事が出来ます。又、今までのハードウェアシンセサイザーに無かった発想のシンセサイザーを作る事も出来ます。
My MoogIIIc
Moog III V
アコースティックモデリングやハードディスクストリーミング式のサンプラー等の新しい方式のシンセサイザーは、2、30万円ぐらいの発売額でハードウェアシンセサイザーとして作る事は難しく、ソフトウェアシンセサイザーならでは新しい仕組みのシンセサイザーを生み出す事が出来る新しい方法です。
シンセサイザーの売れ筋を…
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