DTMの総合情報サイト
DTM(デスクトップミュージック)は、初期には文字通り机の上で音楽をちまちま作っている、いわゆる打ち込みと言われるイメージでしたが、今や通常のかかせない音楽制作手段となっています。録音したいろんな楽器の加工やエフェクト、ソフトウェアシンセサイザーやハードウェアシンセサイザーをMIDIでコントロールして音楽を組み立てたりと、守備範囲は多岐にわたります。ここでは生録音以外のダビング(追加録音)の為の、主にMIDI/ソフトウェアシンセサイザーの説明をします。
音楽プロデューサー、レコーディング・エンジニア、マニピュレーターとして椎名林檎のレコーディングに参加。マニピュレーターとして松任谷由実のレコーディングに参加。レコーディング&ミキシング・エンジニアとして、シンセサイザープログラマーとして、また作品のサウンド・プロデュースなど多方面で活躍する。リットーミュージックより「Pro が教える Vision for Macintosh」執筆。
MIDIは1981年に策定された電子楽器の演奏データ等を楽器間で転送する為の規格で、Roland,YAMAHA,KORG,,KAWAI,Sequential Circuit,Oberheimの6社で協議され制定されました。
時折DAW上のインストゥルメントトラック(MIDIトラック)と、オーディオトラックを混同している方を見かけますが、MIDIデータもオーディオデータもコンピューターに取ってはデータとして扱われます。MIDIデータはシンセサイザーを鳴らす為の音符情報で、そのトラックに音は記録されていません。MIDIデータによってシンセサイザーが鳴らされて、初めて音(音楽)になります。
一方、Audio Trackは音(音楽)を記録された音自体の情報ですので、そのままが演奏された音のデータです。混同しない様に注意して下さい。
北城「MIDIが使われ始めて、初期には電子楽器の演奏データ等を楽器間で演奏情報を転送すると言うと大げさですが、1台目のシンセを弾いたら2台目も同じく鳴るけど、違う音色で。デビッドフォスターのピアノとエレピの重ねている音とか有名ですね。
その後すぐに、音源を持たない鍵盤と音源や、シーケンサーと音源等、いろいろな使い方がされる様になり、僕がシンセサイザープログラマーとして仕事をしていた頃は、シンセサイザーの音色をパソコンで管理編集したりして仕事していました。
当初はMIDIケーブルで楽器と楽器を繋いで使用していましたが、パソコンから数台へのMIDIインターフェースが登場して、今やUSBでもMIDIデータの転送は可能ですので、MIDIケーブルも必要なくなりましたので、MIDIを意識しない事もありますね。」
MIDIでは、鍵盤を押す・離すタイミングや強さ(ベロシティ)、音程の微調整(ピッチベンド)、音量のコントロールなど、さまざまな音楽表現をデジタル信号として扱うことができます。MIDIがどのような情報を伝送し、音楽制作にどのように活用されるのか、見ていきましょう。
まずは演奏データの送受信、どの鍵盤を押したか(ノートナンバー)、鍵盤を弾き始めたタイミング(ノートオン)と弾き終わったタイミング(ノートオフ)。弾き始めの弾いた時の強さ(ベロシティ)、対応している機種は少ないですけど、弾いている間に押し込んだ強さ(キープレッシャー)、鍵盤を離した時のスピード(オフベロシティ)も記録(伝送)出来ます。
ベロシティは1-127の127段階で記録されます。
ピッチベンドは連続的に音程を変化させます、上下に8192段階に細かく記録出来ます。
ピッチベンド以外のコントローラーはコンントロールチェンジという情報として127段階に記録されます。いろんなコントローラーがあるので、代表的な所では、
の様に番号が振られています。これ以外にも1番から127番まで番号が振られ、いろんなコントローラーが記録出来ます。
例えば、モジュレーションホイールを操作すると、コントローラー1番を0〜127段階で操作した事が記録されます。
DAWやマルチトラックレコーダーにも幾つかチャンネルがあって、別々の音を記録出来ますが、MIDIの場合は、1本のMIDIケーブルで、16パートの別々の音色の旋律を同時に送る事が出来ます。
ソフトウェアシンセサイザーやハードウェアシンセサイザーの音色データを エクスクルーシブメッセージとして 送受信する事も出来ます。ハードウェアシンセサイザーの場合はコンピューターに記憶しておいた音色データをMIDIを通して送ったりもしていましたが、ソフトウェアシンセサイザーになって、音色データもDAWのデータの一部として保存出来る様になったので、使う機会が少なくなりました。
シンセサイザーにあらかじめ登録されているプログラム(パッチ)を瞬時に切り替えるプログラム(パッチ)チェンジという情報もあります。
映画や放送等で使用する、SMPTEという、時間を表す信号がありましたが、それを、MIDI上で伝送する為にMIDI Time Cordがあります。 複数の機器を時間単位で同期する為に使用します
タイミングクロック(MIDI クロック)はMTCと違って、何小節何拍目という単位で時間を表します。楽器(シーケンサーやドラムマシン)同士を同期する為に使用します。
サスティンペダルはピアノ、ハープ等で使用しますが、実はそれ以外には、あまり使用しません。オルガン等にサスティンペダルを使用している人が居ましたが、実際のオルガンにはサスティンペダルはありませんので、本物らしい演奏方法ではありません。
写真 YAMAHA FC4
サスティンペダルを用意していても、ボリュームペダルを用意していない人が多いと思いますが、シンセサイザーのデータ入力には欠かせない物です。息を使う楽器やストリングスや、Padまでも本来はボリュームが変化しています。
楽曲の盛り上がりやパートの消え際等、いろんな場面でボリュームペダルを使用します。
写真 YAMAHA FC7
ボリュームペダルはMIDIコントロールナンバー7番のボリュームを扱う事が多いと思いますが、ソフトウェアシンセサイザーによってはMIDIコントロールナンバー11番のエクスプレッションペダルを使用する場合があります。両方のタイプのソフトウェアシンセサイザーを使用している場合はボリュームペダルは2つ用意しなければなりません。
北城「私は更にブレスコントローラーも用意してあります。ブラスや木管等、息を使う楽器のシュミレーションや、息のニュアンスをシンセ音で表現したい時に使用します。
いろんなコントロールをする事で、たとえ、アナログシンセサイザーでも生々しく聞こえてきます。いろんなコントローラーを使ってデータを入力して下さい。」
Macの場合、MIDIの設定はハードディスク内のアプリケーションフォルダーの中のユーティリティフォルダの中にAudioMIDI設定というアプリケーションがあり、それで、設定します。
USB to MIDIインターフェース、もしくはUSBマスタキーボード(コントローラー)を接続すると画面上に現れます。MIDIインターフェースの場合、そこにマスターキーボードとなる機器を設定して下さい。外部シンセサイザーを使う場合もシンセサイザーに応じてセッティングが必要です。
図 MIDI Studio Setting
殆どのDAWは、CubeseはCubaseなりの、LogicはLogicなりの方法で自らのデータを保存し、それらに互換性はありませんが、スタンダードMIDIファイル(SMF)は、ノート情報、テンポ情報、マーカー、エクスクルーシブ(音色データ)などを、DAWの垣根を超えて渡し合う為のファイル形式です。
Cubaseで作られた曲のデータをLogicに渡して編曲してもらって、更に編曲されたシーケンスデータをProToolsに渡してソフトシンセを鳴らしていい音色で録音するなんて事が可能です。ノート情報(チェンネルボイスメッセージ)、テンポ情報、マーカー、エクスクルーシブ(音色データ)などが含まれます。
生楽器やボーカルを録音する前や後にコンピュータ内で生楽器以外のシンセサイザー音や生楽器を用意出来ない代わりをシンセサイザーで録音したりします。生楽器の代わりをする場合、生楽器をよく知って、シンセサイザーを扱う必要があります。
例えば、生ドラムの代わりにドラムのシンセサイザー音源がとても生の様な音がする物が用意出来ても、どんな風にドラムが演奏するかを知らなければ、生ドラムがやっている様には入力出来ません。間違うと、手足が何本あるか分からないドラマーになってしまいます。
ストリングスとかでもそうです。生のストリングの様な音のするソフトウェアシンセサイザーが用意出来ても、生ストリングスのアレンジが出来るぐらいでなければ、生かどうか聴き間違えてしまいそうな生々しいストリングのシンセサイザーアレンジも出来ません。生ストリングスは和音でパッと弾いてシンセサイザーで再現出来る訳では無いのです。
生ストリングのアレンジをするなんて事は音楽大学に入ったり、個人で猛勉強しなければ出来そうにありませんが、生ストリングがどんな事をやっているかはCD等からでも聞く事は出来ますし、編曲方法の本も多く出ていると思います。
シンセサイザーらしいアナログシンセのリード音や、口笛の音みたいな音、ハーモニカみたいな音等いろんな音がシンセサイザーは出せますが、それらを弾いたり入力したりする場合でも生演奏を良く知っている事は大切です。
詳しく口笛の演奏や、ハーモニカの演奏等を聞いてみた事がありますか?ちょっとしゃくってベンドアップしてみたり、ビブラートを掛けてみたり、クレッシェンドやディクレッシェンド、生演奏は実にいろんな表現をしています。
シンセサイザーっぽいリード音ですら、生楽器の様な多彩なコントロールをすれば生々しく聞こえますし、生の様なストリングスの音でもコントロールをしなければ、シンセサイザーストリングスだとすぐ見破られます。
DTMでMIDIデータ(音符データ)を入力する場合、鍵盤を弾いてMIDIかUSB経由で入力します。前述の様なシンセサイザーの多彩なコントロールをしたい場合、コントローラー(鍵盤)選びは重要です。
例えばAnalog Synth Soloやハーモニカの演奏、鍵盤は早めに動くオルガンタッチの鍵盤の方が向いているでしょう。ハーモニカのビブラートはモジュレーションホイールを使って演奏します。ハーモニカが途中でしゃくり上げるのはピッチベンドを使って入力します。ハーモニカのディクレッシェンドはボリュームペダルを使って入力します。
シンセサイザーを演奏するのは両手両足を使って沢山コントロールしなければ、シンセサイザーは思い通りには動いてくれないのです。
セッティングがうまくいったら、初めてシンセサイザーをうまくコントロールする事が出来る様になります。でもセッティングしただけじゃなくて練習もしなきゃ駄目ですよ。シンセサイザーが楽器になりうるかどうかは、どれだけコントロールするかの練習次第です。
ギターやピアノはいっぱい練習しましたよね。シンセサイザーのコントローラーも沢山練習しましょう。突然上手くなったねって言われますよ。
キーボードを両手で演奏するのは、ピアノやエレクトリックピアノぐらいでは無いでしょうか?その他のパートは殆どの場合、ベースですら右手で弾きます。空いている左手はピッチベンドとモジュレーションホイールを担当します。
左手で本体を掴む様にし、親指でピッチベンドとモジュレーションホイールを操作します。ピッチベンドはバネで元の位置に戻りますが、モジュレーションホイールは自分で戻さなければなりません。
スティービーワンダー等のビデオを見ると解ると思いますが、ピッチベンドは音の出始めでシャクリ上げたり、音の終わりで使用しますが、モジュレーションホイール(ビブラート)はピッチが安定してから掛けますから、ベンドしながらモジュレーションホイールを掛ける事は殆どの場合ありませんので、親指で掛けるのが安定して掛けられます。
DAWの多くはMIDIを記録する時に、オーディオと同じ様にパンチインして作って行きますが、オーディオとの大きな違いは、そのモードが2つ用意されています。リプレイスモードとマージモードです。
リプレイスモードはオーディオのパンチインと同じ様に前にそこにあったデータを消しながら新しい演奏を記憶します。
マージモードはMIDIトラック独特の機能で、前にそこにあったデータは消さずに、新しい演奏のデータを追加します。
ドラムのトラック等を作る時に便利な機能ですが、同じ音程を何度弾いても記憶するので、同じタイミングに同じ音程のデータが存在しない様に注意が必要です。同じ所にデータが存在すると、突然そこだけ大きくなったり、フランジャーが掛かった様になったり、長い音のはずが途中で鳴らなくなったりします。グラフィックエディットモード(MIDI画面)で見ると発見しやすくなります。
図 MIDI Error
グラフィックエディットモードで作業をすると、ミスタッチも見つけやすくなります。和音を弾いた時に、隣に小さくベロシティも小さいデータがミスタッチです。選んでカットすれば、弾き直す必要はありません。
図 ミスタッチ
ピアノ等で、和音を弾く一部の音程を弾くのが短くて、サスティンペダル(コントローラー64番)が間に合わないと途切れてしまう事があります。サスティンペダルオンのタイミングを前にずらして間に合う様にするか、サスティンペダルが効く所まで短いノートを伸ばして和音が揃って伸びる様に修正しましょう。
図 サスティンペダルエディット
ピアノ等のデータを作っている時に、なりっぱなしになってしまう事ありませんか?サスティンペダルのサスティン・オンのデータの後、オフのデータが無くなっている為におこります。
MIDIデータもパンチインして作って行きますが、サスティン・オンの後でパンチインして、その後から弾いた為にオフのデータが無くなってしまいます。サスティン・オンの後でリプレイスモードでパンチインする場合、パンチインする前にペダルを踏んでおいてサスティン・オフも記録するか、後で、エディットして直すかしなければなりません。
図 Sustain Pedal Error
なるべく、ベンドやモジュレーションホイール、ボリュームペダル等を使っては欲しいのですが、間違ってマージモードでそれらを何度も記録してしまうと、変な動きをします。トレモロ以上に細かいボリューム変化やピッチベンドだとランダムにピッチが変わる様な事になります。
写真 Vol Marge
図はボリュームをマージモードでレコードしてしまった例です。ボリュームのカーブが2つ見えるかと思います。鍵盤と同時にうまくコントロール出来るのが一番いいですが、鍵盤を弾いた後でボリュームをマージモードで追加するとか、ボリューム用のトラックを用意するのも一つの手です。
Quantizeは便利な機能です。多少、揺れている演奏でもピッタリと拍に合わせてくれます。ドラムやパーカッション等には有効ですが、何にでも掛けてしまうとテクノの様ないわゆる打ち込みといわれる、味気ない演奏になってしまいます。Quantizeを掛けたい楽器、掛けたくない楽器、判断しながら進める様にして下さい。
Quantizeには多くの数値があります。何部音符で揃えるか、どの程度強く掛けるか、スウィングの割合、何も設定を変えずにギチギチで掛けてしまうより、弾いたニュアンスを残しつつ揃えてみるといいと思います。
トラックを一編にQuantizeしてしまうと、分散和音やグリッサンドまで掛かってしまう事がありますから、聴きながら部分的に掛けていく方がいいでしょう。
オリジナルのトラックを残しておいて、コピーしたトラックをエディットすれば、間違えても元に戻る事も出来ます。
シーケンスフレーズ(人間が弾けなさそうな、複雑なアルペジオのフレーズ)やドラム等の入力する場合、ステップレコーディングも有効です。分解能を8分音符等にして、鍵盤で入力したり、音符の無い所はスペースバー等で休符を入れていくと作業が早いでしょう。
シンセサイザーに寄っては、オートアルペジエーター機能が付いていて、和音を入力するだけで、アルペジオ的になってくれるシンセサイザーもあります。
ソフトウェアシンセサイザーはコンピューターのパワーをかなり必要とします。コンピューターがどんどんパワーが大きくなって、同時に使えるソフトウェアシンセサイザーの数も増えて来ましたが、それでも同時には動いてくれないぐらいのソフトウェアシンセサイザーを使わなければならない時や、そんなにパワーの無いコンピューターで作業をしなければならない場合。
ソフトウェアシンセサイザーの音をオーディオトラックに録音してしまって、ソフトウェアシンセサイザーは一旦インアクティブ(オフ)にし、オーディオトラックから再生すると、コンピューターに取ってはソフトウェアシンセサイザーを動作させるよりオーディオを再生する方が遥かにパワーが少なくて済む為、更に別のソフトウェアシンセサイザーを使う等する事が出来ます。
しかし、一旦オーディオにしてしまったトラックはオーディオ上では音程等は変更が効かないので、変更したい時は、一旦、MIDIトラックとソフトウェアシンセサイザの組み合わせに戻って変更する必要があります。
これらの作業をボタン一つでしてくれるFreezeという機能もあります。
図 Freeze ソフトウェアシンセサイザーを録音する場合でもレベルは重要
ソフトウェアシンセサイザーもデジタルでDAW内部でデジタル録音するので、音がいい、と、思われがちです。しかし、コンピューターは全部演算処理で音を扱っていますので、演算が少ない方が原音に近い事になります。ソフトウェアシンセサイザーの用意されているアウトプット(トラックのフェーダー)は0dBにして、演算させない事にするのが、ソフトウェアシンンセサイザーの一番いい音を録音出来ます。
シンセサイザーの売れ筋を…
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