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ドラマーとして「spAed」「SHOGUN」「SUGIZO」等のバンドやミュージシャンをサポートする傍ら、自らもシンガーソングライターとしてCMソングやアニメの曲などを手掛けるマルチプレイヤー「Eric Zay(エリック・ゼイ)」氏。今回エリック氏全面のご協力のもと、自宅兼スタジオでのインタビューを行わせていただきました。
─本日はどうぞよろしくお願いいたします!早速ですが、まずはエリックさんの生い立ちから聞かせてください。─
エリック・ゼイ氏(以下敬称略) よろしくお願いします!出身はニューヨークのブロンクスなんですけど、その後カリフォルニアの方にちょこっとだけ行って、2、3歳の頃にはもう日本で暮らしていました。父親はニューヨークにいる頃からバンドマンをやっていて、ツアーで日本に来た時に気に入って移住したみたいです。
エリック氏の父親はプロミュージシャンである「ケーシー・ランキン」氏。在日外国人ミュージシャンによるバンド「SHORT HOPE」や「芳野藤丸」氏、「山木秀夫」氏が結成したロックバンド「SHOGUN」のギタリストとして活躍していました。
─やはり音楽にも小さい頃から触れていたんですか?─
エリック 4、5歳の頃に父親にギターをやりたい!と言って、子供用のクラシックギターを買ってもらいました。すごいスパルタで辞めるのは絶対許さないって言われてましたね。でも辞めちゃいました(笑)。その後、8歳頃かな?ドラムを始めたんですけど、父親からもう二度と楽器はやらせないって言われてたので、スティックだけ買ってもらって、布団とかを叩いていました。ちょうど父親は「SHOGUN」でギター弾いていた頃なんですけど、山木さんとか「ゴダイゴ」のトミーと仲良くさせてもらっていて、ドラムの隣に座ってプレイを見ていました。スタッフに連れて行かれたりしたけどね(笑)。
─すごい幼少期ですね!羨ましい(笑)。ドラムセットは買ってもらえたんですか?─
エリック それを1年くらい続けて9歳の時に子供用のドラムセットを買ってもらいました。その時にすごいドラムが上手い2歳年上の友達がいて、その先生を紹介してもらってヤマハのミュージックスクールに通ったんですけど、ルーディメンツばっかりで半年で辞めちゃいました(笑)。その後、10歳くらいの時かな?ポンタさんから小口径のドラムセットをもらったり、トミーから「TAMA / Artstar」のツーバスセットをもらいましたね。好きなバンドの曲をテープで何回も繰り返して聞いて完コピする練習をしていました。
─その頃はどんな音楽を聴いていましたか?─
エリック 「TOTO」や「タジ・マハール」をよく聴いていましたね。ハードロックとかヘヴィメタルを聞き始めたのは高校生くらいの時で、その時に「LOUDNESS」にハマって完コピバンドを組んでいました。12、13歳の頃から常に5、6個のバンドを掛け持ちしていて、アメリカンスクールだったからマーチングやジャズバンドが強くてそっちのバンドはあんまりやりたくなかったけど、参加したら授業を緩くしてくれるっていうので、中学の時から入ってましたね。同じ時期にダンスクラブの箱バンもやっていたので、ギャラをもらいながら叩くこともあったし、掲示板とかに貼ってあるメンバー募集に応募して参加したりもしていました。
─自ら積極的に動かれていたんですね!その頃はどんなドラマーに憧れていましたか?─
エリック 「ジェフ・ポーカロ」はもちろん、「樋口宗孝」「山木秀夫」「トミー・スナイダー」「スティーブ・スミス」とかかな?名前は知らなくてもプレイが良いなーと思ったドラマーはバンドとか知名度問わず好きでしたね。
─その後、バークリー音楽大学に進まれるわけですね。─
エリック そうです。メインの楽器はドラムなんですけど、専攻はソングライティングで作曲などを学んでいました。作曲するにあたってギターも再開して、在学中に日本に帰ってきた2週間くらいの期間で、CM音楽のレコーディングの仕事などもこなしていましたね。大学を卒業して日本に戻って来てからも「spAed」や「SHOGUN」のドラムサポートや様々なプロジェクトのレコーディングをしつつ、作曲での仕事を続けるために自分で制作会社にデモテープを売り込みに行ったりもしていました。父親の名前を使わずに自分の力だけでやっていきたかったという想いが強かったのもありますね。
エリック氏が手がけたCM音楽一覧
エリック氏の自宅スタジオ
─それでは現在作曲やミックスなども手掛けているということですので、仕事へのこだわりを聞かせていただいてもよろしいでしょうか?─
エリック やっぱり一番は低音ですね。バスドラとベースのバランスが大事で、アタックがしっかり聴こえて、粒立ちのあるサウンドになるように、あとはなるべく奥行きや楽器間にある空気を感じられる、分離しつつまとまりがあるようなミックスを心がけています。最初は自分以外の方にミックスをお願いしていたんですけど、だんだん自分でやるようになっていって、気づいたらミックスまでできるようになっていましたね。昔からプロの現場に入っていたから耳が良くなったっていうのもあるし、レコーディングをしながら大体のイメージが出来上がっていくので、それが経験として良かったのかもしれません。
─ミックスに関しては誰かに教わったりしたんですか?─
エリック 最初は北城さんにPro Toolsの使い方から始まっていろいろなことを教えてもらいました。教えてもらうってよりかは彼の作業を見て覚えたっていう方があっているかもしれません。
北城氏はDTM博士のライターとしても活動している、レコーディング、ミキシング、マスタリングエンジニア。シンセサイザープログラマーやプロデューサーも経験。
プロに学ぶ!中級者からのDTM入門講座
─ミックスが上達するコツってありますか?─
エリック ABするのが良いってよく聞くと思うけど僕もそれが良いと思います。「ピーター・ガブリエル」の「So」っていうアルバムのミックスが傑作なので、プロのエンジニアはだいたいそれをリファレンスにしてチェックしていました。それが一番勉強になるんじゃないかな?僕もドラムのレコーディングの時にそれを経験していたのが活きましたね。あとは「Char」さんとレコーディングした時は機材も良かったし、マイキングも素晴らしかったからほぼラフミックスでリリースしたこともありました。良いエンジニアはEQもほとんど触らずに仕上げることができるっていうのもその時経験できましたね。
─他にはミックス中に注意していることはありますか?─
エリック 長時間の作業は耳へのダメージが大きいので、気をつけるようにしています。時間を決めて作業するということと、ヘッドホンやモニタースピーカーでもそこまで大きい音を出さない。爆音で確認するのは最終確認の時くらいですね。スピーカーで大まかに作っていって、細かい部分をヘッドホンで調整って感じです。
─ミックス時はどういったフローで作業しますか?─
エリック 最初はある程度ドラムの音を作ってからベースと合わせていきます。次にリズムギターのパンチが出るように、ベースとギターの分離やベースとバスドラの分離のチェック、その後にシンセなど上物を乗せていきます。最後はボーカルですが、他の楽器をミックスしている際に薄く出しておいてだんだんイメージを掴んでいくというような流れです。もちろんジャンルや曲調によってやり方を変える時もありますが、基本はこの形です。日本では三角ミックスとも言われる、ボーカルが一番前にくるポップス寄りなミックスも良いですが、グランジやオルタナティブのようなドラムが前面に来るミックスが個人的には好きですね。
─打ち込みのドラムを生っぽくさせる方法とかあるんでしょうか?─
エリック そういったテクニックはありますよ。例えばバスドラをデュプリケートして1トラックは歪ませて薄く出したり、スネアも音圧を上げたり、フラムっぽさを出す時などにダブらせて若干ズラしたりすることもあります。元がドラマーなのでそういったミックスは得意分野ですね。あとこれはドラムだけじゃないんだけど、曲の要所要所でボリュームを書いて調整することもあります。
IMOCD! – Anunnaki
UberTonik – Bien Soutenu
TETSUO – find me again
─エリックさんが普段使用しているDAWなどのDTM機材を教えていただけますか?─
エリック DAWはPro Tools 12で昔からずっとPro Toolsを使っています。
アウトボードはDANGEROUS D-BOX, APOLLO 8p x2, UNIVERSAL AUDIO 6176, Thermionic Culture Vulture, Mutronics Mutator, DBX 166Aなど。
プラグインはUniversal Audio, Fabfilter, Waves, UAD, Plugin Alliance, Eventide, Celemonyなどのメーカーで、具体的にはTape simulation & drum bus workflowやAbbey Road Studios TG12345 tone shapingなどですね。
ドラムのレコーディング時にはソニーのMDR-CD900ST、ミックス時にはゼンハイザーのHD700やHD599など、モニタースピーカーはADAMのS2AがメインでサブでBOSEも繋いであります。
エリック氏のスタジオではドラムセットでのレコーディングも可能
─ドラムのレコーディングマイクやセッティングへのこだわりはありますか?─
エリック ドラムには全部で12本マイクをセットしています。スネアとハイハットはSHURE「SM57」、タム類はAKG「D440」、バスドラムにはAudio Technica「ATM25」と「AT871R」、エアーマイクはAUDIX「F9」を使用しています。特に面白いのがバスドラムの中に置いてあるアタックを拾うためのマイク(AT871R)なんだけど、これが良い音で録れるんですよね。ドラムセットはPearl「Masters」を使っています。
※他にもギターやエフェクターなど様々な機材が多数ありましたが、個別の紹介は割愛させていただきます。
─貴重な機材ばかりですが、どのような依頼にも応えられるスタジオになっているわけですね!─
─最後に今後の展望などお聞きしてもよろしいでしょうか?─
エリック今まで行ってきたCMソングなどの作曲、制作やドラマーとして参加している「IMOCD!」での活動はもちろんですが、今後はミックスやマスタリング、プロデュースの依頼を多く受けていきたいなと思っています。これまで多くのアーティストやミュージシャン等と仕事をしてきたけど、もっといろんなアーティスト達と一緒に仕事がしてみたいですね!ご依頼お待ちしています!
─今回はお時間いただきありがとうございました!─
エリックこちらこそありがとうございました!また遊びにきてね!
人柄がとても良く、ユーモアに溢れたエリック氏のおかげで勉強になりつつ、楽しい取材をさせていただきました。ミックスやマスタリング等に困っている方、特にプロ仕様の作品に仕上げたい方は是非エリック氏に依頼をしてみてはいかがでしょうか?
Eric Zay Official Web Site:
Online Mixing & Mastering Service
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