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2026年9月24日、Synchro Arts の VocAlign(ボーカライン)が 7 になりました。
EQ やコンプと違って、使っている人は比較的少なく、話題になることも少ないプラグインです。
けれど、ボーカルにダブルやハモを重ねる曲を作っている人なら、エディット中に一度は「ダブルのタイミングが合わない」「ハモの語尾がずれる」と思ったことがあるはず。
VocAlign はまさにその作業のためのツールです。
今回は VocAlign 7 Pro を Pro Tools 2026 で検証し、7 で大きく変わった複数トラックの扱いを中心に、実際の手順と使ってみて分かったことをレポートします。
音楽プロデューサー、レコーディング・エンジニア、マニピュレーターとして椎名林檎のレコーディングに参加。マニピュレーターとして松任谷由実のレコーディングに参加。レコーディング&ミキシング・エンジニアとして、シンセサイザープログラマーとして、また作品のサウンド・プロデュースなど多方面で活躍する。リットーミュージックより「Pro が教える Vision for Macintosh」執筆。
公式サイト:
Synchro Arts VocAlign 7 – synchroarts.com
VocAlign は、Vocal = 声、Align = 揃える、整列させる、という名前のとおり、声のトラックを別の声のトラックに揃えるプラグインです。
お手本になるトラックを「ガイド」、それに合わせて動かしたいトラックを「ダブ」と呼び、ダブのタイミングをガイドに追従させます。
字ハモと言われる、歌詞が着いているボーカルに対して、ハーモニーになっていたり、ユニゾンだったりする、声のトラックをボーカルに追従させるのが得意です。
私が最初に VocAlign を買ったのは、記憶ではおそらく1999年、Pro Tools 24 Mix の頃でした。
当時は映画のセリフのアフレコや、異言語の吹き替えができるという触れ込みで記事になっていて、「だったらコーラスも合うんじゃないか」と買ってみたのがきっかけです。
ちょうど、メインボーカルを聴くとハモが歌えなくなるという歌手を録音していた時期で、ハモをかなり重ねても大丈夫になったのはありがたかったのですが、ガッチリ合うか、完全に外れるかのどちらかで、多少苦労したのを覚えています。
調べてみると、VocAlignの初代は、1995年10月、Ver.2.03は遅くとも1999年に、2025年に発売30周年を迎えた、かなり歴史の長い音声編集ツールです。
今回のバージョンアップで VocAlign は 7 になりましたが、6 までと違う大きな進化がありました。
従来版でも複数のDubを取り込んで処理することは可能でした。VocAlign 7では、複数のボーカルトラックをひとつの画面で表示・管理し、ガイドとダブの関係を見渡しながら調整できるようになりました。
メインボーカルにダブルを2本とハモを2本、といった組み合わせを一度に編集できます。
さらに、曲の別の部分を歌っているボーカルと、そのハモも同時に設定できます。
組み合わせ次第では、1曲のほとんどの部分のボーカルとハモをひとつの画面で調整できるわけです。
複数のボーカルトラックを一つの画面で表示・管理し、ガイドとダブの関係を見渡しながら複数のダブルやハーモニーを調整できる。
ここが 7 の大きな進化です。
Introducing VocAlign 7 | The Professional Standard of Vocal Alignment Redefined
今回用意したセッションは、一番上がメインボーカル、2番目から5番目までがそのダブルボーカル。
6番目の「Lead overlap」は、メインボーカルが重なってしまう部分を別チャンネルに分けたもので、7番目がそのダブルです。
VocAlign 7 は ARA に対応しているので、Pro Tools のエディット画面の下部分に連動して表示させられます。
クリップとプラグインの画面を行き来しなくていいので、編集が楽です。
Pro Tools のエディット画面下部に VocAlign 7 Pro を連動表示したところ
まず、メインボーカルのクリップの中央あたりを選び、右クリックから ARA Plugins → VocAlign を選びます。
Melodyne や RePitch と同じ並びに出てきます。
クリップを右クリック → ARA Plugins → VocAlign
このメインボーカルのトラック(Lead_1)のCaptureボタンを押すと、VocAline 上に波形が表示されます。
Lead_1 の Capture を押すと VocAlign 上に波形が出る
次にこのトラックが目標のトラックと認識させる為に、Guide(Lead_1)を選びます。
これで、ガイドトラックの準備は完了です。
プルダウンで Guide (Lead_1) を選べばガイドトラックの準備は完了
エディットしたいダブルのトラックも、同じように ARA Plugins から VocAlign を選びます。
ダブルトラックも同じく ARA Plugins → VocAlign
メインボーカルの時と同様にキャプチャーをした後、プルダウンで Dub track(Lead_1)を選びます。
これで Dub 1 のトラックが、Lead_1 をお手本にタイミングを修正してくれます。
キャプチャー後に Dub track(Lead_1)を選ぶ
Editが反映されると、Dub_1 のトラックの中に緑色の波形が現れます。
これが揃えたあとの出力です。
Edit が反映されると Dub_1 の中に緑色の波形が現れる
同様に Dub_2、Dub_3、Dub_4 も関連付けます。
エディット画面の右下にあった、クロスするボーカルトラック(Lead overlap)とそのダブルトラックも、同じ手順でガイドとダブに指定します。
右側の Track Panel。紫の Lead_1 に4つ、Lead overlap に1つのダブルが関連付けられている
右側のトラックパネルでどう関連付けされているか確認出来ます。
今回のセッションでは、紫色の Lead_1 に対して4つのダブルトラックが、Lead overlap トラックに対して1つのダブルトラックが関連付けられています。
1つの画面にガイドとダブの関係が並ぶ
揃え終わったあと、それぞれのトラックをどれぐらい元のトラックに近づけるのかも、トラックごとに細かく調整できます。
タイミングを決めるのが Match timing パネルです。
Max difference のノブが LOOSE から TIGHT まで動き、ほかに Alignment rule、SmartAlign、Max shift、High resolution が並びます。
Match timing パネル。どれぐらい元のトラックに近づけるかを調整する
試しに、ルーズな方向に最大の 200ms にしてみました。
緑の出力波形は、上の紫のガイド波形とあまり変わらない位置にあります。
緑の枠で表現されたオリジナルトラックとは随分違うのが分かります。
LOOSE 側に最大(200ms)。緑の出力が上の紫の波形とあまり変わらない位置にある
今度はタイトな方向に最大の 0ms にしてみました。
緑の枠と、緑の濃い部分がバッチリ合います。
TIGHT 側に最大(0ms)。緑の枠と緑の濃い部分がぴったり合う
ただ、あまり合わせすぎても人数感は増えなくなってしまいます。
数字で決め込むより、聞いた感じで調整するといいでしょう。
ここからは Pro 版だけの機能です。
ピッチマッチング、フォルマント調整、Sync Pointsは Pro 版の機能となります。
ピッチも同様にガイドトラックに追従させる事ができます。
どれぐらいガイドに近づけるのかを調整できます。
Match pitch パネル(Pro 版)。ピッチもガイドにどれぐらい近づけるかを調整できる
フォルマント調整では、声の響きや音色を変化させることができます。
同じ人が歌ったダブルに音色の違いをつけるなど、タイミング合わせだけでなく、表現面でも活用できる機能です。
波形画面の中にシンクポイントを追加して、自分の思っている通りにタイミングを変化させることもできます。
同社のピッチ補正プラグイン RePitch 2 Standard との連携機能、SynchroLink 2.0 も Pro 版に搭載されています。
Sync Points(Pro 版)。波形画面に追加して、タイミングを自分の思うとおりに動かす
ざっくりと VocAlign 7 の機能を見てきましたが、数日では発見できない機能がまだまだありそうです。
さらに細かく修正していけるプラグインです。
今回の検証は、ボーカル1本に対して4つのダブルトラック、クロスするボーカルに対して1つのダブルトラックという構成でした。
この範囲では追従はしっかりしてくれましたし、途中で関連付けが崩れることなく作業できました。
ちょっと意地悪ですが、自分で録音した女性デュオのデータを引っ張り出して VocAlign 7 を試してみました。
録音した当時も部分的には VocAlign を使っていたはずですが、調整は昔より遥かに楽になっていました。
しかしデュオとなると、この部分は A さんがボーカルで B さんがハモ、サビはその逆、2番はさらに逆、と頻繁にボーカルとハモが入れ替わります。
関連付けをどこまでできるか試してみたのですが、メインボーカルが、さっきまでハモだったトラックに代わった時点で関連付けが崩れてしまいました。
今回のProTools 2026では、意図した関連付けを維持できませんでした。
その場合は、ARA ではなく AudioSuite として、非リアルタイムで細かく書き換えていったほうが作業が早そうです。
従来のガイドとダブとアウトプットの3トラック方式になってしまいますが、それはそれで早く作業出来ました。
AudioSuite として開いた VocAlign 7 Pro。従来どおりのガイド・ダブ・アウトプットの3トラック方式
ざっくりの検証でしたが、コーラスのタイミングが合わないと悩んでいる方には必須アイテムだと思います。
EQ やコンプのように毎日触るプラグインではありません。
けれど、ダブルを4本重ねて、波形を見ながら一本ずつ手でずらしていた人なら、ガイドを1本決めて残りを任せ、あとは聴きながら寄せ具合を決めるだけ、という作業の変わりようがすぐに分かるはずです。
公式サイト:
Synchro Arts VocAlign 7 – synchroarts.com
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