DTM初心者向け入門講座

音圧が欲しいならこれを使え!超簡単にMS処理ができるプラグイン特集

「なぜ自分の曲は音が小さいのだろう…」と思ったことはありませんか?オリジナル曲の「音圧不足」はDTMをやっている人なら一度は悩んだことがあるはず。どうすれば市販のCD並の音圧を得ることができるのでしょうか。

音圧を得るためのテクニックは様々ありますが、最も有名なのが「MS処理」です。これはステレオの楽曲(LR)を「MとS」に分けて処理する考え方で、音圧の高い現代の楽曲には欠かせないテクニックです。昨今の巨大な音圧を誇るダンスミュージックは、MS処理によって実現しているといっても過言ではありません。

そんなMS処理ですが、最近では「トラックに挿入するだけでMS処理ができるプラグイン」が続々と登場しており、DTM初心者の方でも簡単に施せるようになっています。ここでは処理の基礎知識に加え、音圧稼ぎにオススメのMS処理対応プラグインを紹介します。

そもそもMS処理って何だろう?

プラグインの紹介に入る前にMS処理がどういうものなのか学んでおきましょう。ここをしっかり押さえておくことで、ナチュラルな音圧稼ぎが可能になります。

さっそくですが、以下の図をご覧ください。

LRをMSで考えた場合の図 LRをMSで考えた場合の図

私達が普段聴いている音楽はステレオ(L+R)になります。それを「S(side)+M(middle)+S(side)」に分けて考えるのがMSです。レフトとライトではなく、「センターと両サイド」に分けて処理を施していきます。

MS処理で音圧を得られる仕組み

「どう頑張っても音圧が上がらない曲」があるとします。ミキシングが終わり、マキシマイザーを挿して音圧を稼ごうとするものの、十分な音圧を得る前に「音割れ」や「歪み」が起こってしまう。このままでは、市販のCDに並ぶ音圧を確保することはできません。

音圧が上がらない原因は様々ですが、「ミキシング時点で失敗している」のが大半です。こうなった場合、1からミキシングをやり直すのが定石ですが、ひとまずMSに変換して様子を見ることをオススメします。それでは下記の図をご覧ください。

MS処理前の音量レベルを表した図 MS処理前の音量レベルを表した図

音圧の上がらない曲をMSに変換してみると、多くが「Mのみ天井(0dB)に張り付いている状態」となっています。つまり、Sの音量レベルが十分に確保できていないため音圧を感じないのです。逆を言えば、「Sの音量レベルを稼げれば必然的に音圧が上がる」ということになります。

次の図をご覧ください。

MS処理後の音量レベルを表した図 MS処理後の音量レベルを表した図

Mが天井に張り付いている状態では音圧を稼げないので、「コンプレッサーでMだけを圧縮」します。その後、マキシマイザーなどで全体の音量レベルをメイクアップします。すると、Mを圧縮した分だけ「Sの音量レベルが引き上げられている」ことが図を見れば分かるかと思います。

改めて処理前と処理後の図を見比べてみましょう。Mは同じく天井に張り付いているものの、Sの音量レベルは処理後の方が大きくなっています。上述にもあるように、全体の音量レベルが上がると必然的に音圧も上がるので、処理後の曲は十分な音圧を確保出来ているはずです。

つまり、LRでは限界を迎えていても、MSにすることでさらに音圧を稼げる余地があるということになります。ただし、過度なMS処理は楽曲全体のダイナミクスを失わせたり、奥行きの無い平坦なサウンド変化させてしまうので、やりすぎには注意しましょう。

オススメのMS処理対応プラグイン

以上のことを踏まえ、次からオススメのMS処理対応プラグインを紹介します。

WAVES S1 MS Matrix

最もポピュラーなMSエンコーダー・デコーダープラグインです。MS処理を施したいトラックにS1を挿入すると、LRからMSに変換されます。次にMS個別に掛けたいプラグイン(コンプレッサーやイコライザーなど)を挿入し、最後にまたS1を挿入。これによってMSからLRに戻されます。2つのS1に挟まれているプラグインだけが、MS処理に対応できるようになるイメージです。

このプラグインが収録されているバンドル:
WAVES Silver
WAVES Gold
WAVES Platinum
WAVES Diamond
WAVES HORIZON

WAVES CENTER

挿入するだけでMS処理ができるプラグインの代名詞といえばWAVESのCENTERです。使い方はとても簡単で、ミキシングあるいはマスタリング時にこのプラグインを挿入し、画面左右にある大きなフェーダーを調節するだけです。ちなみに、左側のフェーダーはMに、右側のフェーダーはSに対応しています。

また、本プラグインにはMS個別に処理できるイコライザーも搭載しており、簡易的なイコライジングが可能です。難しいことは分からないけど、とにかくMS処理を試してみたいという方にオススメです。

このプラグインが収録されているバンドル:
WAVES Diamond
WAVES Grand Masters Collection
WAVES HORIZON
WAVES Mercury

WAVES PuigChild 670

PuigChild 670はFairchild 670というヴィンテージコンプレッサーをモデリングした製品で、豊かな倍音を加えてくれる高品位なコンプです。本プラグインにはMSモードが搭載されており、MS個別に圧縮を掛けることができます。

画面中央にあるLAT/VERと書かれた位置にツマミを動かし、上下にある2つのコントロールで操作します。ちなみに上のコントロールがM、下のコントロールがSに対応しています。LR状態でMS処理ができる便利なコンプレッサーです。

このプラグインが収録されているバンドル:
WAVES HORIZON
WAVES Mercury

WAVES H-EQ

MS個別にイコライジングができるハイブリットイコライザーです。アナログ機器をモデリングしたプラグインですが、デジタル特有の便利な機能も兼ね備えているため、ハイブリットと称されています。

本プラグインのM/Sモードを使用することで、Mの4kHz付近をブーストし、Sの100Hz付近をカットする、といった処理が可能です。アナライザーも搭載されており、周波帯を視覚的に捉えながら作業できる優秀なイコライザーです。

このプラグインが収録されているバンドル:
WAVES Mercury

Universal Audio「Brainworx bx_saturator」

様々なMS処理関連のプラグインを世に送り出しているBrainworxですが、同社のbx_saturatorは世界中のプロから高い評価を得ているサーチュレーターです。コントロールの数が多く、上級者向けのプラグインであるものの、ズバ抜けた音質とエフェクトの効きを持ちます。

画面を見るとMid High、Mid Lo、Side High、Side Loという4つのセクションに分割されていることが分かります。LRの状態でMS処理ができ、さらにMとSはHigh(高音域)とLow(低音域)の2つ分離されます。

基本的には、各セクションにあるXLあるいはDriveというコントロールを操作して、ゲインアップおよびサーチュレーションを掛けていきます。特に注目したいのがXLコントロールで、これは立体的な音像を保ったままレベルを稼ぐことができる非常に優秀なツマミです。

マキシマイザーで一気にレベルを稼ぐよりも、本プラグインでセクション毎にレベルを稼いだ方がナチュラルかつ奥行きのある仕上がりになります。高価な製品ですが、それに見合うだけの性能を持っている素晴らしいプラグインです。

今回のまとめ

いかだったでしょうか。MS処理という技術自体は昔から存在していましたが、現代の音圧競争により、その需要が一気に高まりました。そこに目を付けたWAVESなどのメーカーが、簡単にMS処理ができるプラグインの開発に力を入れ、今に至ります。オリジナル曲の音圧に不満がある方は、これらのプラグインを導入することで解決できるかもしれませんよ。

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