Rolandが販売開始したAUDIXマイクの特徴

[記事公開日]2022/9/23 [最終更新日]2026/5/10
[編集者]神崎聡

AUDIXマイク

アメリカ・オレゴン州生まれのマイクブランド「AUDIX(オーディックス)」は、ボーカル用ダイナミックから楽器用、ドラムマイクパッケージ、スタジオ用コンデンサーまで幅広いラインナップを擁するプロオーディオブランドです。
日本国内では2022年10月よりRoland株式会社がプロオーディオ製品の輸入・販売代理店となっており、Roland Online Storeや全国の楽器店・サウンドハウス等で正規流通品を購入できる体制が整っています。
※「AUDIX」設備用マイクロホン(インストレーション系)は引き続き「オーディオブレインズ」が代理店を継続しています。

Roland AUDIXプロモページ

AUDIXとは|1984年創業のアメリカ製マイクブランド

「AUDIX」は1984年にアメリカ・カリフォルニアで創業し、現在はオレゴン州ウィルソンビルに本社・工場を構えるマイクとその周辺機器の専業メーカーです。
製品の多くを米国内で設計・組み立て・テストしており、独自開発のVLM(Very Low Mass)ダイアフラムによる素直で正確な音響変換が同社マイクの共通キャラクターとなっています。
VLMダイナミック・マイクには5年保証、コンデンサーマイクおよびFusionシリーズには3年保証が付帯するなど、長期使用を前提とした品質設計も特徴のひとつです。

ボーカル用ダイナミック(OMシリーズ)、楽器用ダイナミック(i・D・f・Fireballシリーズ)、ドラム集音に最適化したマイクパック(DP・FPシリーズ)、スタジオ用コンデンサー(A・SCXシリーズ)など、ライブからレコーディング、宅録・配信まで幅広い用途をカバーするフルラインナップを展開。
Roland国内取扱開始以降、店頭で実機を試せる機会も増えており、これまで国内で入手しづらかったマイクパックや指向性別のラインアップにもアクセスしやすくなりました。

AUDIX使用アーティスト

数々の有名アーティストやミュージシャン、エンジニアからも愛用されているメーカーであり、特にパーカッショニストやドラマーの愛用者が多いのが特徴です。
以下に「AUDIX」使用アーティストをピックアップしてみました。

  • アラニス・モリセット氏(シンガーソングライター)
  • トーマス・ラング氏(ドラマー)
  • アンドリュー.W.K氏(ボーカリスト)
  • THE DOOBIE BROTHERS(ロックバンド)
  • トラヴィス・バーカー氏(ドラマー)
  • 川口千里氏(ドラマー)
  • ベン・フィンドリー氏、ション・ハートマン氏(Jeff Beckのエンジニア)

Roland国内取扱の現行AUDIXラインナップ

Roland Japanが取り扱う現行AUDIXは、用途別に大きく3カテゴリに整理されています。本記事ではその中から国内入手しやすく実用度の高い代表モデルを領域別にピックアップして紹介します。

カテゴリ 主なシリーズ 主な用途
ハンドヘルド・ボーカル OM/OMX/f50/VX ライブボーカル、MC、配信
楽器用ダイナミック/コンデンサー i/D/f/Fireball/ADX/DP/FP スネア・タム・キック・ギターアンプ・ドラムセット集音
スタジオ・コンデンサー/その他 A/SCX/PDX/HT/ADX ボーカル・アコギ・ピアノ・オーバーヘッド・ヘッドセット

ハンドヘルド・ボーカルマイク(OMシリーズ)

AUDIXの顔とも言えるOMシリーズは、ステージ用ハンドヘルドダイナミックの主力ライン。すべてハイパーカーディオイド指向性を採用し、ステージモニターからのかぶりとハウリングを抑えながら、VLMダイアフラムによる素直なサウンドを得られるのが共通の特徴です。価格帯と用途で6機種(OM2/3/5/6/7/11)が展開されていますが、最初の1本としては「定番のOM2」「中堅のOM5」「フラッグシップのOM6」の3つを抑えておけば十分でしょう。

項目 OM2 OM5 OM6
形式 ダイナミック(VLM) ダイナミック(VLM) ダイナミック(VLM)
指向性 ハイパーカーディオイド ハイパーカーディオイド ハイパーカーディオイド
周波数特性 50Hz – 18kHz 50Hz – 18kHz 40Hz – 19kHz(広帯域フラット)
感度 1.9 mV/Pa 1.6 mV/Pa 1.5 mV/Pa
最大SPL ≧140 dB ≧144 dB ≧144 dB
インピーダンス 200Ω 290Ω 290Ω
主な用途 ライブ/リハ/宅録 ライブ全般/中音圧の歌い手 大音量ライブ/プロ現場

楽器用ダイナミックマイク(i/D/fシリーズ)

AUDIXは楽器集音、特にドラム周りで強いブランドとして知られています。
ドラマー・パーカッショニストの愛用率が高いのもこのカテゴリの完成度の高さによるもの。代表的な3本を押さえておけば、スネアからキック、ギターアンプまで幅広くカバーできます。

項目 i5 D6 f5
形式 ダイナミック(VLM) ダイナミック(VLM) ダイナミック
指向性 カーディオイド カーディオイド スーパーカーディオイド
周波数特性 50Hz – 16kHz 30Hz – 15kHz 55Hz – 15kHz
感度 1.6 mV/Pa 0.8 mV/Pa 2.2 mV/Pa
最大SPL ≧140 dB ≧144 dB ≧137 dB
インピーダンス 280Ω 280Ω 580Ω
主な用途 スネア・ギター/ベースアンプ・ボーカル兼用 キック・大口径タム・ベースキャブ スネア・タム・パーカッション

ドラムマイクパッケージ「DP7」

AUDIX DP7 ドラムマイクパッケージ

AUDIXがプロ・セミプロ問わず指名買いされる最大の理由のひとつが、ドラム集音用にチューニングされた「DPシリーズ・ドラムマイクパッケージ」の完成度。
なかでも7ピース構成の「DP7」は、ドラムセット1台をワンパッケージで集音できる定番セットです。

  • D6×1:キックドラム用
  • D2×2:ラックタム用
  • D4×1:フロアタム用
  • i5×1:スネア用
  • ADX51×2:オーバーヘッド/シンバル用コンデンサー

スネア・タム用のリムマウント「D-Vice」クリップ4個と、その他マイク用のヘビーデューティ・マイクホルダー3個、フォーム入りアルミ製ロードケースが同梱されており、これ1セットでセットアップから収納・搬入までシームレスに対応できます。
単品でDP7と同等の構成を組むよりもコストパフォーマンスが良く、ライブハウスやリハーサルスタジオの常設マイク、または個人スタジオのドラム録り用マイクとして導入されるケースが多いパッケージです。
同じ7ピース構成でも上位機種の「DP7 PLUS」「DP Elite 8」、エントリーの「DP4」「DP5A」などラインナップが豊富なので、規模・予算に合わせて選びやすいのも特徴。

スタジオ・コンデンサーマイク(A/SCXシリーズ)

AUDIXはコンデンサーマイクのラインも充実しており、宅録ボーカル向けの実用機から、本格的なスタジオ用ラージダイアフラムまで揃います。48〜52V ファンタム電源が必要なので、対応するオーディオインターフェースまたはミキサーと組み合わせて使用します。

項目 A131 SCX25A
形式 ラージダイアフラム・コンデンサー プレミアム・ラージダイアフラム・コンデンサー
指向性 カーディオイド カーディオイド
ダイアフラム/カプセル 33mmカプセル/29mm 金蒸着ダイアフラム 25mmカプセル/5μm 金蒸着マイラー振動板(特許カプセル・サスペンション)
周波数特性 40Hz – 20kHz 20Hz – 20kHz
感度 23 mV/Pa 28 mV/Pa
最大SPL 140 dB ≧135 dB
インピーダンス 150Ω 200Ω
電源 48-52V ファンタム 48-52V ファンタム
主な用途 ボーカル・コーラス・ピアノ・アコギ・配信 ボーカル・楽器ソロ・スタジオワーク全般

用途別おすすめ|AUDIXマイクの選び方

ライブボーカルが中心

ハンドヘルドダイナミックのOMシリーズから選ぶのが王道。コストを抑えたい初心者・宅録・配信兼用ならOM2、ライブ中心で抜けと音圧両立を狙うならOM5、プロ現場や大編成での声の押し出しを求めるならOM6が指針です。
すべてハイパーカーディオイドなのでハウリング耐性は高く、ステージモニターの位置が厳しい現場でも安心。

宅録ボーカル・配信・ポッドキャスト

PCにオーディオインターフェース(48Vファンタム電源対応)を組み合わせる前提なら、コンデンサーのA131がコスパに優れる選択肢。
広帯域な特性と140dBの耐入力で、歌・ナレーション・ポッドキャストに加えてアコギや鍵盤も録れます。
本格的なスタジオワークまで視野に入れるならSCX25Aへステップアップ。

ドラム集音

1本ずつ揃える場合は、キックにD6、スネアにi5またはf5、タムにD2/D4を組み合わせるのが定番。
ドラムセット全体を一気にマイキングしたいなら、これらの組み合わせが7本セットで揃うDP7のパッケージ買いがコスト・実用性ともに有利です。

ギターアンプ・ベースキャブ

ギターアンプはi5がShure SM57のオルタナティブとして好相性。ベースキャブには低域の余裕が大きいD6を組み合わせると、サブローからアタックまで余裕で拾えます。
i5は単体でもギター録りに使える素直なキャラクターで、SM57を持っている人ならi5は2本目のマイクとして組み合わせる楽しみもあります。

アコースティックギター・ピアノ

ホーム・スモールスタジオではA131 1本でアコギ・ピアノ・コーラスまでこなせます。
ステレオ収録を想定するならSCX25Aのマッチドペア「SCX25AMP」やピアノ用キット「SCX25APS」、または楽器用コンデンサーのADX51のペアが候補。ハイハットやシンバルのオーバーヘッドにも同じADX51を流用できます。

総評

「AUDIX」は1984年創業ながら、Roland国内取扱開始以降は日本でもグッと身近な存在になりました。
VLMダイアフラムによる自然なサウンドと、ボーカル/楽器/ドラムパック/コンデンサーまでの隙のないラインナップで、SHURE・SENNHEISER・AKGといった老舗ブランドに並ぶ第4の選択肢として確かな地位を築いています。
1本目のボーカルマイクから本格的なドラム録り、スタジオワークまで、用途に応じて選びやすいブランドなので、Roland Online Storeや楽器店で実機をチェックしてみてください。

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