ボーカルレコーディングのコツ[記事公開日]2014年11月8日
[最終更新日]2021年06月21日

ボーカルレコーディング

ボーカルレコーディングで最も重要なのはクリアな音で録音するためのマイク環境と、オケの音を正確に聞き取るためのヘッドフォン環境です。ボーカルものの楽曲をレコーディングする機会が多い人はさらっと目を通してみて下さい。自宅でレコーディングする際は、近所迷惑にならないために防音材を部屋に敷き詰めることは重要です。

必要な機材それぞれについては以下のリンクで詳しく解説していますのでそちらをご覧下さい。


ボーカルレコーディングに必要なもの

1. 作業環境を整える

パソコンにオーディオインターフェイス及びヘッドフォンを接続、オーディオインターフェイスにマイクを接続します。
Dawソフトを起動させこれからボーカル録音を行う楽曲のデータを呼び出します。
オーディオトラックを録音待機状態にセットしマイクから音が出ていることが確認できれば準備完了。

ボーカルのセッティングについて

コンデンサーマイクの場合は作業に集中できるようにマイクスタンドを使用しましょう。ハンドマイクだと、どうしても音ムラや「吹かれ」が出てしまうので。マイクとポップガードの距離は10〜20cmにするとベスト!

楽譜スタンドもあれば立ったまま歌詞を見ながら録音できるので便利です。

マイクとオーディオインターフェイスを繋ぐケーブルは、自宅で作業するには少し余裕がある1.5〜3mくらいの長さのものを選ぶとストレなく作業できます。

2. オケの音量を調節する

トラックを再生、ヘッドホンでオケ(ボーカルが入る前のカラオケ状態のトラック)の音量を確認します。マイクから声を出してみて、少しでも歌いづらかったりコード感が捉えられない場合は、オケの音量を調節します。

オケに対して自分の声がどれくらい聞こえているかも重要。両社のバランスが悪いと音程が聞き取りにくくなりピッチを外す原因になります。オケに程よく埋もれながらも少しだけボーカルのほうが音量が大きい状態が理想的です。

3. ボーカルレコーディング開始

ボーカル録音を開始します。

メインボーカルを録音する

メインボーカルを録音します。「途中までは良かったけど後半ミスった」という場合でも途中から取り直し後で編集して良い部分だけを繋ぎ合わせる「パンチ・イン」作業が可能です。

3、4テイクを目安に頑張ろう

3,4テイク以降はあまり良いテイクが出ないと筆者は感じています(レコーディングエンジニアの方も同じことを仰っていました)。納得がいかず何度も取り直している内に1テイク目のような勢いやフレッシュさが失われていくからです。「いいテイクが出ないのは練習が足りないから」と考えて後日にまわしましょう。神経質になり過ぎないことも重要です!!

お金を払ってスタジオに入っているのと違い、時間を気にせず作業できる自宅レコーディングのいいところですね。

ピッチのずれを”味”と見るかどうか

録音作業が進むにつれ、耳はどんどん研ぎすまされていきます。ほんの少しのピッチのずれも気になって作業が進まない場合は一旦作業を止めて気分転換しましょう。またピッチのずれ自体が歌い手の”味”、つまり魅力である場合もあります。判断を急がずに、2,3日経ってから聞き直してみたりすると感じ方が変わったり…

同じ日に録り終えよう

声帯を自在に操れる人はいいですが、あまり訓練されていない人は歌って行くうちに”歌い方”にクセがどんどんついてきます。作業を中断し「残りのパートは次の日でいいや」と考えて、前の日/次の日に録音したものを聞き比べると声質や声量が大きく変わっていた、なんていうことも。そのようなデータを繋ぎ合わせると楽曲が不自然になってしまいます。
メインボーカルはいっぺんに録音するように心がけましょう。

ダブルを録音する

メインボーカルに物足りなさを感じる場合は、ダブル(メインボーカルに音を重ねる)を録音してみましょう。ダブルの音とメインボーカルをミックスすることで歌の量感や音像が広がり、コーラス・エフェクトがかかったような印象になります。付け加えたい厚み具合によって2,3回重ねます。
ブレスの位置、音の長さなどをそろえて歌うことに注意しましょう。

コーラスを録音する

コーラスパートを録音します。

4. ボーカルによく使われるエフェクト

録り終えた素のままのボーカルにエフェクトをかけることで楽曲にボーカルを馴染ませます。イコライザーとコンプレッサーについてはミックス時のエフェクターの使い方ページで詳しく解説しています。

イコライザー

歌い手の声質を活かし、かつオケにも馴染むようにイコライジングします。必要のない帯域はカット。コーラスやハモリのパートを意図的に高音域に押しやることでメインボーカルとの分離感がよくなります。
イコライザーの使い方

コンプレッサー

ボーカルに欠かせないエフェクターです。コンプをかけることで声が前に出るようになります。メインボーカルとダブルにそれぞれ違う量のコンプをかけたり、色々と工夫してみましょう。
コンプレッサーの使い方

リバーブ

オケとボーカルを馴染ませる為に薄くかけます。

ディレイ

ボーカルに質感とツヤを与える為に薄くかけます。ギターのように遅れて聞こえる効果を狙う場合はガッツリかけましょう。

ピッチ補正ソフト

必要がある場合にはピッチを補正するソフトを用います。またケロケロボイスやその他の特殊効果を狙うこともできます。

ボーカルのミックスダウン

録音されたオーディオデータの無音部分をカット、ダブルの定位を左右にずらす・もしくは中央に置いて奥行きを調節する、などなど…工夫してみましょう。